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2025年06月27日16:04

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あの歌を憶えている(Memory)

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 忘れたい記憶を抱える女と忘れたくない記憶を失っていく男が出会い、互いに支えあいながら希望を見いだしていく姿を優しいまなざしでつづったヒューマンドラマ。

ニューヨークで13歳の娘と暮らすソーシャルワーカーのシルヴィアは、若年性認知症で記憶障害を抱えるソールと出会う。家族に頼まれてソールの面倒を見るようになったシルヴィアは、ソールの穏やかで優しい人柄と、彼が抱える抗えない運命への哀しみに触れ、次第にひかれていく。しかしシルヴィアもまた、ある過去のせいで心に傷を抱えていた。それぞれ自分の殻に閉じこもって生きてきた2人は、互いに寄り添いながら自身の過去や人生と向きあっていく。

ジェシカ・チャステインがシルヴィア、ピーター・サースガードがソールを演じ、2023年・第80回ベネチア国際映画祭にてサースガードがボルピ杯(最優秀男優賞)を受賞。テレビドラマ「ゴッドレス 神の消えた町」のメリット・ウェバー、「サスペリア」のジェシカ・ハーパーが共演。「或る終焉」「ニューオーダー」などで知られるメキシコの俊英ミシェル・フランコが監督・脚本を手がけた。(映画.comより)





<2025年2月23日 劇場鑑賞>

 名優二人の共演作。「心に傷を」なんて聞き飽きたことばで形容されてるし、いったいどんな映画だろうと思っていました。しかし正直に言うと、想像していたものとまったく違う展開でした。

 ジェシカ・チャスティンは、ソーシャルワーカーでシングルマザー。仕事はかなりできる感じで、いつもさっさと行動していますし、娘も聡明な女性のようです。しかし、どこか肩肘張ってるようにも見えるし、娘も年齢よりも大人な感じがします。そんな中、ジェシカがアルコール依存症のグループワークに参加している描写が入ります。もうずいぶん長い間断酒できてるみたいで、嘘でなければ、もう脱退してもいいんじゃないかと思うくらいです。

 さて、世間とそんなに積極的に関わりたがらないジェシカ・チャスティンですが、地元の同窓会のような集まりに誘われて(妹も近くに住んでいる)、ちょっと顔を出しました。早々には退散したのですが、なぜか男性が後をついてきています。これがピーター・サースガードです。彼女が帰宅した後も、家の外にいるみたいです。これはかなり気持ち悪い。でも騒ぐわけでもない感じなので、彼女はそのままにしておきました。明朝外に出てみると、なんとそのまま彼はそこで眠り込んでいるではありませんか。彼が持っている携帯をさっと取り上げ、関係者に電話しました。すると、彼の弟がすぐに迎えに来てくれました。ジェシカは勇気がありますね。わたしなら警察を呼んだかもしれません。弟によると、彼は若年性認知症で、亡くなった妻がジェシカと同じ髪の色だったとのこと。そうだったのね・・・。

 そんなこんなで、彼女が優秀なソーシャルワーカーだと知った弟に彼の世話を頼まれたジェシカ。家族も巻き込んだつきあいが始まります。

 とまぁ、こんな感じで温かいお話が始まるのかと思いきや、映画は意外な展開を見せていきます。



<ここからネタバレ>

 実はジェシカはティーンエイジャーの頃、学校の男の子たちにレイプされていたようです。それで、ピーター・サースガードのことも「そのなかの一人だった」と彼を責め立てます。彼は記憶になくても、自分が認知症だとわかっていますから「えぇっそうなのか」と戸惑うばかりです。今の”いい人然”とした感じからは想像できません。しかし、その後ジェシカの妹が調べると、事件が起きた時は彼は転校していたことがわかり、ジェシカに伝えます。彼女は記憶が混乱している?

 ジェシカ(と妹)の母親も登場します。なにかとジェシカを責め「小さい頃から嘘つきな子だった」とか「男遊びする子だった」とか言うのです。でも、実際ジェシカは娘には外出時などとても厳しくしていて、そんな感じではないんですけどね。そして話が進んでいくうちに、ジェシカだけが父親から性的虐待を受けていたことがわかります。「パパは姉さんだけ連れて部屋に入り、鍵をかけていた。その間、入ることは絶対に許されなかった」「私は一度ママに話した。そしたらあなた(ママ)は私を平手打ちした」・・・妹の独白を全身で否定する母親。でも、事実は事実なのです。映画では、よくそういう場面が描かれますね。少し裕福なおうちに多いと思うのですが、夫のそういうことを認めたがらない、いや絶対に認めず今の生活を維持しようとする母親、素知らぬ顔をして子供(娘だけではなく息子の場合もある)を「変わった子」扱いする母親。最近では「グレース・オブ・ゴッド」にそういう母親がいました。この映画でも、そのシチュエーションにそのまま当てはまる態度を取っていた母親でした。

 ジェシカの娘は妹(つまり叔母)をも責めていました。「あなたは知っていた」と。難しいところですね。子供だったし、母に平手打ちされたし。でも、少し大きくなったところで打つ手はあったのかもしれませんね。

 とにかく、そういういろいろなことが明らかになって行きます。

<ネタバレおわり>



 映画は最終、それでも前を向く主人公たちを描写します。もちろん、そうですよね。でも、私は最初に抱いていたイメージと違い過ぎるあまりな展開と、性的虐待が起きる家のあまりな類似に、頭が混乱したまま映画のラストを迎えたのでした。チラシには「観る者の心を温かく抱擁する愛のヒューマンドラマ」って書いてあるんです。そ、そうかなぁ。
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