今回は、ガザ紛争がテーマである。関連勢力のレバノン南部を実効支配するヒズボラ、イエメンのフーシー派とイスラエルの戦いにも焦点を当てていく。
以下直近の中東関連日記
・2024年10月26日付 イスラエル・ヨルダン平和条約 締結30周年記念日記
テーマ「20世紀以降のレバノンの歩み」
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1988673898&owner_id=32437106
・2024年10月12日付 日本被団協がノーベル平和賞を受賞する 緊迫する中東レバノン情勢(10月8日から10月11日)
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1988580928&owner_id=32437106
以下 ガザ紛争開始時の日記 フーシー派について
・2023年10月21日付 �C羚颪涼翕譴任留洞僧蓮.ぅ┘瓮麁眄�
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1986175388&owner_id=32437106
全6章
第1章 ヒズボラとイスラエルの間で発行された停戦協定
イスラエルとレバノンのシーア派民兵組織ヒズボラとの間では、11月26日に、イスラエルの閣僚会議にて、60日間の停戦案を受諾した。中立的な立場に立つ陸海空合わせて7万1000の舞台を率いるレバノン軍が、監視に当たった。仲介に当たったのは米国のホックスティーン特使だった。17日にレバノンの首都ベイルート入りして、19日からイスラエル軍とヒズボラ双方の代表者と交渉に当たった。
写真=11月23日レバノンで交渉の進捗状況を説明するホックスティーン特使(ロイター通信より)
レバノン南部から中東部へかけて流れるリタニ川より南までイスラエル軍は引き上げることに同意した。27日から効力を持つ停戦発行を受けて、レバノン国内の住民は帰還を急いでいた。ところがレバノン南部の国境沿いで、ヒズボラとイスラエル軍の間で散発的に銃撃があった模様である。
写真=国境沿いの緩衝地帯 掲載元 読売オンライン 2024年12月26日付
ヒズボラから排出されたレバノン国会議員は、「イスラエルが停戦協議に反している」との非難声明を出した。対して、ベンヤミン・ネタニアフ首相は、地元テレビ局のインタビューにて強気の態度を示した。「停戦協議が破られた場合に備えて、激しい戦闘を行う準備をするように命令した」と明らかにしている。停戦合意文章に基づくと、ヒズボラ側はリタニ川以北へ撤退が含まれていた。つまりはイスラエルとレバノンの国境付近を「緩衝地帯」に定めたのである。ただし12月になっても、互いに衝突が起こり、条約破綻の兆しがあった。それでも中立のレバノン軍や国連治安維持部隊が仲裁に入り、辛うじて大規模衝突を免れている現状である。
詳細 停戦協議後 2024年11月29日 読売オンライン
https://www.yomiuri.co.jp/world/20241129-OYT1T50047/
第2章 2024年12月 ガザの人道危機 国連でのイスラエルへの非難決議
ガザでの方は、戦闘は続いている。国連でも、冬を迎え、ガザに取り残された民間人の健康状態を気遣い、緊急対策を練る必要性を感じていた。12月11日に、ガザにおける現在の人道危機に関する2つの決議を採択した。一つ目は、イスラエル国会が10月28日に採択した国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)のイスラエル、パレスチナ自治区での活動を禁止する法案である。UNRWAの特権と免除を尊重し、ガザ地区全体であらゆる形態の人道支援を完全、迅速、安全かつ円滑に行う責任を果たすよう求めていた。イスラエルのダノン大使は、法案の正当性を訴えた。「決議に賛成することは、人道的価値を守るためではなく、テロの巣窟となった組織を守るために投票することになる」
ダノン大使の弁解は通じず、日本を含む159カ国が賛成して採択された。反対は9カ国(アルゼンチン、イスラエル、ミクロネシア連邦、ナウル、パラオ、パプアニューギニア、パラグアイ、トンガ、米国)、11カ国が棄権している。
もう一つは、「ガザ地区の即時・無条件での停戦」である。日本を含む158カ国が賛成して採択された。反対は9カ国(アルゼンチン、チェコ、ハンガリー、イスラエル、ナウル、パプアニューギニア、パラグアイ、トンガ、米国)、棄権は13カ国だった。
米国側も停戦へ向けて働きかけを続けている。米国のジェイク・サリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)は12月12日にイスラエルを訪問して、ベンヤミン・ネタニヤフ首相と会談した。会談後の記者会見で「現在、人質解放と停戦協定を締結しようとしており、これからドーハ、カイロに移動し、この努力をさらに進めるつもりだ」進捗状況を明かした。「ウォールストリート・ジャーナル」紙電子版(12月12日)によると、ハマスの方も、仲介国の説得により、妥協を示しつつある。停戦中にイスラエル軍がガザに一時的に駐留することを認めた。停戦協定に基づいて解放する人質リストを提出したという。最新の提案によると、イスラエルとハマスは、米国人を含むガザで拘束されている最大30人の人質を解放する60日間の停戦期間を設ける。恒久停戦へ向けて、イスラエルはパレスチナ人の囚人を解放し、ガザへの人道支援の流入拡大を許可するとしている。
詳細 写真掲載元 国連の非難決議 サリバン報道官のイスラエル訪問 2024年12月13日付 JETROより
https://www.jetro.go.jp/biznews/2024/12/1dd11e70db771953.html
ハマスは、人質を解放には、イスラエル軍のガザ全面撤退を要求していた。米国とパイプのあるカタールに説得されたのか、妥協を示しつつある。イスラエル側も、国民からの人質解放を求める抗議が止むことはない。戦時内閣のネタニアフ首相は、人質解放を優先的に考えるガラント国防省を解任し、腹心の外相を務めていたカッツ氏を充てた。理解を示すアメリカからも、停戦へ働きかける以上、態度を軟化しつつある。
国際司法裁判所(ICJ)の方も、イスラエル軍のガザ侵攻は、ジェノサイドに当たるか、審理されている。提訴したのは、人種差別アパルトヘイトが長かった南アフリカのラマポーサ大統領だった。12月11日には、正式にアイルランドが、南アフリカの案に賛成して、追随するかのように、引き続きICJに審理を要求した。
自らの軍事侵攻を自衛権と主張するイスラエルは、アイルランドの動きを否定する。報復として、アイルランドにある在イスラエル大使館を閉鎖し、友好関係を築いたモルドバに移転すると表明した。イスラエルの突発的な発表に、アイルランドのサイモン・ハリス首相は、X(旧ツィッター)を通して、声明を出した。「非常に遺憾。アイルランドは、平和を愛し、国際法を擁護している」
読売オンライン 2024年12月16日付
https://www.yomiuri.co.jp/world/20241216-OYT1T50036/
ナチスのホロコーストによりユダヤ人に同情してきた欧州各国は、イスラエル離れが起こりつつある。ただし、アメリカをバックに、ウクライナへ軍事侵攻するロシアのように、強い制裁を免れていた。欧州の国々も、アメリカを無視して、制裁発動する度胸はない。
停戦により、自身の進退がかかるネタニアフ首相は、今後の展開について、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルのインタビュー(21日付)で語った。「テルアビブから30マイル(約48キロ)にあるガザで、ハマスが権力を持つのを容認しない」と従来からのハマス殲滅論を語る。「我々は最後まで勝利する」
12月8日にシリアで反政府勢力の首都ダマスカス制圧により、アサド政権崩壊を例に上げ、「我々の作戦は中東を変えた」との認識を示した。
詳細 読売オンライン 12月22日付
第3章 イエス・キリスト生誕地ベツレヘムでのクリスマス式典 年末の戦闘
12月24日、戦闘が続く中、イエス・キリストの生誕地ヨルダン川西岸地区のベツレヘムでは、2年連続粛々とクリスマス行事を開いた。世相を反映するかのように、地区の協会の一つは、敷地内に積み上げた瓦礫に人形を置いた。ヨルダン川西岸でも、イスラエルからの制裁が始まっている。西岸から仕事のためにイスラエルに通っていた労働許可書数万件が取り消しになった。経済的にも人々は困窮している。
詳細 クリスマス行事 BBC NEWS JAPAN 2024年12月26日付
https://www.bbc.com/japanese/articles/c9vk0dy2ygro
写真=12月17日に礼拝する人 掲載元 ARAB NEWS 2024年12月13日付け
https://www.arabnews.jp/article/middle-east/article_137148/
ガザでの悲惨な現状を報じるべく、各国ジャーナリストは危険を顧みずに、取材を続けている。12月26日未明のことだった。中部ヌセイラトの難民キャンプにて、地元テレビ局の車両が空爆を受けた。乗車していたジャーナリスト5人の死亡が確認されている。イスラエル軍は、ハマスの戦闘員が乗っていたと、主張している。
27日は、前日に爆撃の被害を受けた北部で唯一機能しているカマル・アドワン病院が、ハマスの戦闘員の潜伏先として、イスラエル軍に包囲された。世界保健機関(WHO)によると、院内には医療従事者約60人と重篤な患者ら25人がとどまっているという。ガザ保健当局によると、病院長は28日、同軍に拘束された。
WHOは27日に生命を出して、窮状を訴える。「ガザ北部最後の主要医療施設の機能が停止した。同地域の医療システム解体は何万人ものパレスチナ人にとって死を意味する」とイスラエル軍に作戦停止を要求した。
12月27日のイスラエル軍によるカマル・アドワン病院での作戦について 写真掲載元(ロイター通信)読売オンライン 2024年12月28日付
https://www.yomiuri.co.jp/world/20241228-OYT1T50100/
12月29日までにイスラエル軍は、カマル・アドワン病院で240人を拘束したことを、メディアに向けて発信した。拘束した15人は、2023年10月7日に越境攻撃した戦闘員と断定し、院長もその一人だと主張している。ガザ当局は、27日にイスラエル軍によって包囲され、一部は機能停止していた。29日には全面停止し、患者は別の病院に移されたと、報告した。新たな病院の施設は不十分と訴えている。
詳細 読売オンライン 12月29日付
https://www.yomiuri.co.jp/world/20241229-OYT1T50079/
第4章 2025年の幕開け 進む停戦交渉
年が明けた。ガザ紛争も2023年10月7日のハマスによる越境攻撃から、15ヶ月を迎えた。寒さの中で、戦火で生まれた新しい命が消えようとしている。12月末日まで6人の乳幼児が死亡したと現地から伝えられている。中部ディール・アルバラハの難民キャンプでは、双子の赤ちゃんが、粉ミルクの不足から、栄養失調に陥り、共に命を落とした。
詳細 2025年1月3日付
1月2日にイスラエル軍は大規模攻撃に出る。ガザ各地へ、30回空爆を行い、90人が死亡したとみられている。ガザの保健当局によると、2023年10月7日の戦闘開始以降、ガザの死者は4万5500人超となる。
攻撃を一段と強めながら、イスラエルは停戦交渉には形だけ応じた。ネタニアフ首相は、1月3日にカタールで再開される停戦交渉に、モサドの幹部らを派遣すると表明した。12月29日に前立腺摘出手術を受けた首相は、2日に退院している。
ハマスの方も、新たな手法を見出した。1月4日付けで、人質にとった女性兵士の動画を公開したのである。人質は動画にて、450日拘束されていると、声を出して、伝えた。ハマスは、イスラエル国内から、よりネタニアフに対する圧力をかける狙いがある。女性の家族は即座に反応し、「一刻も早く帰ってきて欲しい」と停戦合意に望みをかけた。
詳細 写真 掲載元 女性への人質 1月5日付
https://www.yomiuri.co.jp/world/20250105-OYT1T50027/
何度も頓挫した停戦交渉だが、1月14日付け、ロイター通信は、「合意間近」と報じた。1月19日に1期4年で退任する米バイデン大統領も、自身の口から述べた。
関係筋によると、現地時間1月13日に、同じ建物内で、仲介国とイスラエル政府、ハマスの代表者、それぞれと会談し、概ねまとまったという。
以下 ロイター通信 2025年1月14日付 引用
https://jp.reuters.com/world/security/CQFTKNVEMZMOZBEQZWOKF6F5WQ-2025-01-14/
合意の最終草案をイスラエルとイスラム組織ハマスに提示した。米国の現政権と次期政権の双方の特使が参加したこの日の協議で「突破口」が開かれたという。
イスラエル当局者は合意案について、第1段階では子どもや兵士を含む女性、50歳以上の男性、負傷者や病人など33人の人質が解放されると記者団に説明した。
停戦発効から16日後には第2段階の交渉が開始され、その間に残りの人質が解放され、死亡した人質の遺体が返還されることになる。
イスラエル軍はガザ地区から段階的に撤退するが、一部は境界にとどまり付近の町や村を防衛する。ガザ地区南部とエジプトとの境界沿いの緩衝地帯「フィラデルフィ回廊」については、イスラエル軍は合意から数日以内に一部から撤退する。
<引用終わり>
第5章 イランの代理勢力 フーシー派が、イエメンから奮戦する
イスラエルに敵対する勢力では、他にイエメンのフーシー派が、ハマスに呼応するかのように立ち上がっている。イスラエルメディアによると、2023年12月21日未明、フーシー派が発射したとみられるミサイルが、テルアビブに着弾した。幸い死傷者は出ていないものの、20人が負傷した。フーシー派は声明にて「軍事施設を標的にした」と明らかにしている。イスラエル軍は、迎撃に失敗したと認めた。
詳細 時事通信 2024年12月21日付
https://www.jiji.com/jc/article?k=2024122100399&g=int
同じイランから支援を受けるヒズボラとイスラエルとの間は確かに停戦条約が発行した。フーシー派は、断固として攻撃姿勢を貫き、イスラエルを標的にミサイルを撃ち込んでいる。
イスラエル側も黙ってはいない。26日にイスラエル軍は、イエメンの首都サヌアのフーシー派関連施設を狙って空爆した。当時は、WHOのエチオピア国籍テドロス事務総長が、サヌアの国際空港で便を待っていたところだった。テドロス氏は、「我々の搭乗機の乗務員1人が負傷し、空港にいた別の2人が死亡した」と状況報告した。フーシー派が運営するメディアによると、イスラエルは複数の発電所や港も空爆し、少なくとも3人が死亡、十数人が負傷した。フーシー派のイエメン最高革命委員会トップ、ムハンマド・アリ・アル・フーシ氏は、イスラエルの空爆に対して、徹底抗戦する構えを見せた。「野蛮」で「好戦的」だと表現した。続けて{「アメリカとイスラエルの傲慢(ごうまん)さとの対決」は、パレスチナ・ガザ地区での戦闘が終結するまで続くだろう}」とさらなる報復攻撃を予告した。
写真左=テドロス事務総長 詳細 BBC NEWS JAPAN 2024年12月27日付
https://www.bbc.com/japanese/articles/cd0e39p3gvxo
写真右=ムハンマド・アリ・アル・フーシー氏 掲載元 X Pars Today Japanese 2024年12月23日付
https://x.com/ParstodayJ/status/1871072763559195002

国連もイスラエル軍によるイエメンの首都サヌア空港の空爆について、即座に反応した。グテーレス事務総長は、緊張の高まりを懸念した。世界保健機関(WHO)は27日、イエメンの首都サヌアの国際空港の爆撃により、重症を負った国連職員が治療のためにヨルダンに移送されたと発表した。フーシー派のメディアによると、少なくとも爆撃を受けて6人が死亡したと報じている。
2024年12月30日に、年内最後の国連安全保障理事会にて、イスラエルのダノン大使は、一方的に軍事作戦を正当化し、フーシー派を非難した。フーシー派が攻撃を続ければイスラム組織ハマスや親イラン武装組織ヒズボラ、シリアのアサド政権と同じ「悲惨な運命」をたどる恐れがあると警告を発する。イスラエルはイランの代理勢力による攻撃を容認しないと言明した。
詳細 ダノン大使の言葉 REUTERS 2024年12月30日付
https://jp.reuters.com/world/us/AMRE7OSKL5KRNMDJ3U242FL2A4-2024-12-30/
イスラエル側は、過去にもフーシー派が、米英軍の空爆にもひるまずに、攻撃を繰り返してきた事実から、年明け以降も注意深く防空体制を整えていた。2025年1月10日に動きがあった。
イスラエル軍は、フーシー派が利用していたとみられる発電所と2つの港を爆撃した。フーシー派によるドローン(無人機)とミサイル攻撃に対する報復措置だと国際社会に訴えた。フーシー派のメディアによると、少なくとも3人が負傷している。
イスラエルのネタニヤフ首相は「フーシー派はイスラエルに対する攻撃の代償を払っている。今後も重い代償を払い続けることになる」と警告を発した。フーシー派が運営するアル・マシラテレビによると、イエメンの首都サヌアにあるヘジャズ中央発電所が13回にわたり空爆を受けた。同発電所の作業員を含む3人の民間人が負傷し、多数の家屋が損壊したと伝えた。このほか、ホデイダ港なども空爆を受けたと報じている。
イスラエル軍の見方では、ヘジャズ中央発電所はフーシー派の軍事活動に必要な電力を供給していた。港湾施設はフーシー派が、航海を航行する船舶を取り締まる拠点だった。
フーシー派のヤヒヤ・サリー報道官によると、過去48時間以内にイスラエルの商都テルアビブに向けドローン3機を発射したほか、紅海で米軍空母「ハリー・S・トルーマン」に対しドローンとミサイルを発射した。被害状況が明らかになっていない事実から、フーシー派のドローンとミサイルは撃迎された模様である。
詳細 2025年のフーシー派とイスラエル軍の応酬REUTERS 2025年1月11日付
https://jp.reuters.com/markets/commodities/TEKIYNKYDZKAZOB2SLV5KG64YM-2025-01-10/
イスラエルは、諜報機関モサドの情報網を駆使して、ハマスの最高指導部ハニヤ氏、ガザ地区トップのシンワル氏、軍事部門カッサム旅団のトップとなるモハメド・ディウウ氏を殺害した。レバノン南部ヒズボラに対しても、最高指導者ナスララ氏、その従兄弟サフィディエン師の殺害にも成功している。スパイを潜りこませて、極秘に情報を得ているとみられている。フーシー派のトップである1982年生まれのアブドル・マリク・フーシー氏の行方は掴めていないのか、殺害したとの報は入ってこない。実は2009年12月に、敵対勢力のサウジアラビア空軍に狙われ、一時は死亡説が流布していた。当時山岳ゲリラとして、反政府勢力の急先鋒だったフーシー派は、生存を示すビデオ映像を公開している。2015年から始まったイエメン内戦では、政府勢力と大規模衝突が起こり、首都サヌアを制圧し、国内最大勢力となった。ガザでの停戦協定の行方を見守りながら、自らの存在意義を高めるため、イスラエルへの攻撃を続けていく。
第6章 いよいよ42日に渡る停戦合意発表
詳細 NHK NEWS WEB 2025年1月16日付
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250116/k10014694571000.html
2023年10月7日から続いたガザ紛争は、ようやく終焉を迎える。仲介に当たってきたカタールを代表して、ムハンマド・サーニ首相は15日、首都ドーハで記者会見を開く。
写真=ムハンマド・サーニ首相(ロイター通信より)
過去の交渉によって提示された合意案について、イスラエルは、ガザ地区から概ね撤退することを否定していた。年明けになって、国内からの人質解放を求める声を無視できず、要求を呑まざるを得なくなった。一方多くの戦闘員を失ったハマスも、折衝を重ねた末に、ガザ地区の窮状から、妥協を示してきた。最後の詰めの協議にて、撤退させる地域が曖昧だと、留保していた。新たに人口密集地域から軍を引き上げるとの文言が入ったのか、要求を呑むと返事をしたとみられる。同じく仲介を務めてきたエジプトのシーシ大統領とアメリカのバイデン大統領は14日に電話会談をした。人質を帰還させ、ガザへの人道支援を増やすため即時停戦する必要があると、目的を共有する。
日本時間16日の朝方、ネットやテレビ番組を通して、「ガザ停戦」と報じられた。恒久停戦を睨み、1月19日から42日間の期限を設け、双方合意内容を履行する。ハマスはこれまで渋っていた人質33人を解放する。戦闘停止は、2023年11月24日から12月1日以来、13ヶ月振りになる。当時の休戦期間は当初3日に設定され、ハマスはイスラエル人の人質を、イスラエル政府はパレスチナ人を刑務所から釈放した。次に延長2日間を2回繰り返し、双方決裂して、戦闘が再開された経緯がある。
停戦条約がまとまったことを受けて、ハマスは声明を出した。「ガザへの侵略を止めるという合意は、我が抵抗勢力、イスラム国家そして自由な世界の成果だ」とイスラム教徒を代表して、ユダヤ教との宗教戦争だったと位置づけた。「15ヶ月以上に渡る勇敢な抵抗の結果だった」と締めくくった。
イスラエルのヘルツォーグ大統領は15日に、停戦合意間近であるとの報を受けて、「正しく、重要で、必要な働きである」と休戦協定を歓迎した。
交渉の仲介役に当たったエジプトのシーシ大統領は、ラファ検問所を解放し、搬入物資を投入する準備を進めると、強調した。
国連のグテーレス事務総長は、15日に予定していた定例会見を急遽とりやめ、ガザ地区の休戦後の対応について述べた。「私たちの最優先事項はこの紛争によって引き起こされた途方もない苦しみを和らげることだ」とガザ市民への連帯を示した。「この合意によりガザ地区での支援物資の輸送を妨げている安全保障上や政治的な障害が取り除かれることが不可欠だ」と締めくくった。
水や食料も不足し、暖房器具も使えないまま、簡易テントで避難生活を送っている人々にも、「停戦」の一報が入った。路上からは歓喜の声が上がり、抱き合う人々の姿がある。国連によると、2023年10月7日の衝突以降、ガザ地区では4万7000人の命が奪われた。停戦が42日を越えて続けられても、亡くなった人々は帰ってこない。停戦後の復興計画もまとまっていない今、人々が元の暮らしに戻るまでには長い年月を要する。
仲介役を代表して記者会見に望んだカタールのムハンマド・サーニ首相は、エジプトの首都カイロにて、アメリカとエジプトと共に、3カ国による監視団を置くと明らかにした。
ガザ地区でハマスが実権を握ったのは2006年、イスラエル軍との間では、過去にも何度も衝突が起きた。2023年10月7日に、ハマスの戦闘員による越境攻撃に伴う、イスラエル人の無差別殺害により、犠牲者数は一説によると1200人に達した。過去に類を見ない被害を受けたイスラエルは、報復の度合いが激しかった。過去には、イスラエルと平和条約を結ぶエジプトが間に入り、1ヶ月から2ヶ月の間に戦闘は収まっていた。今回は、全方位外交を展開するカタール、イスラエルに影響力のあるアメリカを駆使して、3カ国による仲介で、停戦へとこぎつけた。隣国シリアでは、2024年12月8日にアサド政権の崩壊により、イスラム過激派出身ながら、各宗教宗派に歩み寄る姿勢を示した1982年生まれのジャウラニ氏を主導とする暫定政府が立ち上がった。イスラエルの北に接するレバノンでは、ヒズボラの影響力が低下し、1月9日にようやく2年3ヶ月振りに大統領が選出された。レバノン国軍トップを務めたキリスト教マロン派のジョゼフ・アウン氏が、任命されている。1月12日には、首相の座にICJの裁判官ナワウ・サラム氏を選出した。定数128の議会で、84人の議員が、サラム氏を支持した。14日に国外から帰国し、アウン新大統領の要請を受けて、新内閣を組閣する。
写真=2025年1月9日に大統領に任命されたアウン氏 出展:AP通信より
中東地域は、互いに宗教や宗派が混在し、時に利益を巡って争いが起こる。国を束ねるには強いリーダーが必要との声も強い。2025年1月15日に長かったガザでの停戦を機会に、大きく変わろうとしている。
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