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2024年10月12日20:39

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日本の被爆者団体がノーベル平和賞を受賞する 緊迫する中東レバノン情勢(10月8日から10月11日) 米国のカーター大統領、オバマ大統領 トルコのエルドアン大統領

 今回取り上げるのは 第1章にノーベル平和賞と核兵器問題について。第2章は2024年10月8日からのレバノン情勢である。世界各地域で紛争が起こる中、核兵器の使用が懸念された。ノーベル賞委員会も、世界へメッセージを発するべく、2024年の同賞に日本の被爆者団体へ送ったとみられている。核廃絶への取り組みを紹介する。

 ・前回中東情勢 10月9日付 https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1988561081&owner_id=32437106

・2023年ノーベル平和賞 イラン人モハンマディ氏について 2024年5月22日付
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1987643106&owner_id=32437106

・核実験を取り上げ 2019年11月21日付
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1973734988&owner_id=32437106

第1章 日本の被爆者団体がノーベル平和賞を受賞する
 
      (1)ノーベル平和賞に日本の被爆団体が選ばれる

 10月11日(金)、ノーベル平和賞の発表が行われる。メディアでは、中東で活動する団体を候補に挙げていた。また戦争が続いている日常から1972年以来、52年ぶりに該当者なしの可能性も指摘していた。日本時間午後5時30分頃、ノルウェーの首都オスロにあるノーベル賞委員会は、2024年の平和賞に日本全国の被爆者らでつくる被団協=日本原水爆被害者団体協議会に授与すると発表した。日本の個人や団体のノーベル平和賞は、1974年に非核三原則を提唱した元佐藤栄作首相以来、丁度50年振りである。

 一報を聞いて、日本原水爆被害者団体協議会の代表委員の箕牧智之は、未来を担う高校生から選ばれた3人の平和大使と共に、記者会見に望んだ。こみ上げてくる思いから、頬をつねりながら、姿勢を正して、話始めた。「核兵器は絶対になくしてほしい。訴えても訴えてもなかなか世界に届かない、歯がゆい思いの毎日でした。ノーベル平和賞となると世界中の人が注目して、核兵器はなくすべきという考えに政治家はなっていただきたい」

82歳の箕牧智之氏は、1945年8月6日、広島で被爆した際、3歳だった。翌8月7日、焼け野原の広島市内で父親の捜索に当たっていた際、放射能を含んだ黒い雨に打たれて、被爆した。

 被団協は、1956年に結成されて以降、広島と長崎を中心に、被爆者の支援に当たってきた。また海外へも出向き、公演を通して、被爆の悲惨さについてアピールし、核廃絶を訴えてきた。1982年6月24日、第2回国連軍縮特別総会にて、山口仙二(2013年82歳で死去)氏が、団体の一員としてスピーチした。14歳時に長崎市で被爆した体験を語りだす。ケロイドが生々しく残る自らの写真を掲げて「ノー・モア・ウォー、ノー・モア・ヒバクシャ(戦争をなくせ、被爆者を二度と出すな)」と訴えかけた。彼の言葉は、被爆者のスローガンになった。また「ヒバクシャ」も世界共通言語のように使用され始めた。山口仙二氏自身、爆心地から1,1km、強い閃光を浴びて、皮膚のやけどを含め、後遺症が残ったのである。

 詳細 国連演説 読売新聞 2024年3月27日付け 
詳細 2012年8月7日 長崎新聞より



演説が行われた1982年時点、東西冷戦の最中だった。米ソの核実験から「世界滅亡」が懸念された。SFの世界では、核実験後の世界が頻繁に取り上げられた。危機意識の高さから、核廃絶の機運が高まっていた。1981年に西ドイツでは30万人規模で核廃絶を目指して運動が起こる。1982年の国連総会中のニューヨークでも、100万人規模のデモが起こったのである。被爆者の体験談は、人々の心に突き刺さった。1989年に東西冷戦が終結したものの、宗教や国境問題から、戦争は後をたたない。

ロシア軍によるウクライナ侵攻、中東のパレスチナガザ地区やレバノンで軍事衝突が起こる中、世界に渡って民族の分断が進む。各国軒並み防衛力を強化することにより、国民生活を脅かす増税を行うか、または医療や介護を含め、社会保障費の削減で、対応している。

 先進国を中心に軍拡へ傾きつつある中、核武装論が唱えられている。核開発の中止や廃絶を求める団体が、抗議の声をあげることにより、踏みとどまる傾向にあった。世界を牛耳るアメリカの意向が世界に影響を与える。2009年4月5日、就任1年目にして、核廃絶を訴えたプラハ演説が評価され、同年のノーベル平和賞には、アメリカのオバマ大統領が選ばれた。オバマ大統領は、現職の大統領として初めて、2016年5月27日に被爆地広島を訪問した。被爆者の身に立ち、平和記念公園にて、演説に望んだ。
「私自身の国と同様、核を保有する国々は、恐怖の論理から逃れ、核兵器のない世界を追求する勇気を持たなければなりません。」
7年前のプラハ演説に立ち返った内容だった。大統領自身は、任期満了まで広島に訪問する意向を示していた。

写真左 ノーベル平和賞の授賞式にて 2009年 掲載元 米国のバラク・オバマ(2009年受賞)=Doug Mills/コピーライト2020 The New York Times
写真右 2016年5月27日 広島平和記念公園にてオバマ大統領の演説 掲載元 国際平和拠点広島より 
フォトフォト

当時のオバマ大統領は、 2021年に96歳で亡くなった被爆者の一人、坪井 直 代表委員に寄り添うかのように抱擁を交わした。オバマ大統領との短い会話で「核なき世界の実現へ向けて一緒に頑張りましょう」と誓い合ったという。坪井代表は、亡くなるまで、核廃絶に向けて、信念を貫きとおした。その意思は若い世代へと受け継がれている。


      (2)核兵器使用の危険性

 関連日記 共にノーベル平和賞に繋がる 1978年キャンプ・デービッド合意 1993年オスロ合意 https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1988097546&owner_id=32437106

国際平和拠点広島の情報によると、2024年1月時点の核兵器保有数は1万2,121、2023年1月時点の1万2,512と比較して391減少した。東西冷戦の構図のように、世界の核兵器保有数の約90%を米露で占めている。保有数が下がった理由について、米国とロシアが引退した核弾頭を解体したことにある。世界各地で紛争が勃発している状態から、軍事力削減には各国否定的だった。運用可能な核弾頭数に限ると、増加傾向にある。
オバマ大統領のプラハ演説で語ったように、核兵器の削減について、米国は実施していない。彼の時代から現状維持にとどまる。つまり使えるものはそのまま保有しているのである。対照的に、ウクライナへの軍事作戦をにらみ、ロシアは増加に転じていた。2023年5月25日には、同盟国ベラルーシとの間で、戦術核ミサイルを配備する協定に調印した。侵攻を続けるウクライナの北に面するベラルーシ領内にロシア軍は核兵器を持ち込み、いつでも使用できる準備を整えた。もう一つ欧米をけん制する目的もある。核兵器を使用すると脅しをかければ、ウクライナ支援を思いとどまる可能性もある。2023年3月にロシアのプーチン大統領とベラルーシのルカシェンコ大統領との間で、互いに核武装することで合意に達していた。6月からベラルーシ国内に搬入し、10月迄に完了したとみられている。2024年4月25日、ベラルーシの議会にて、ロシアの戦術核兵器が数十発配備されたことを明かした。いまや戦術核の使用は、自己防衛と訴えながら、他国へ武力攻撃の道具として使用されようとしている。

詳細 ベラルーシの戦術核について 読売ONLINE 2024年4月26日10時54分付



太平洋地域の影響力拡大を狙う中国の核兵器数は90増加したとの報告がある。また新たに、24の核弾頭を配備し始めた可能性が指摘されている。軍拡路線を辿る中国は、今後10年間で、米露と同じ数の大陸間弾道ミサイル(ICBM)を潜在的に配備できるといわれている。覇権主義的なインドと共に、軍事大国を掲げる北朝鮮も核兵器の保有数が上昇の一途を辿る。北朝鮮の核弾頭数については、正確な把握が難しい。90の核兵器を作るのに十分な核分裂性物質を生成したといわれている。実際に核兵器として組み立てた数は、これよりも少ない50程度と推定されている。

 詳細記事 https://hiroshimaforpeace.com/nuclearweapon2024/



大統領の経験者としては、1984年に、ジミー・カーター第39代大統領が、広島へ記念公園を訪問している。カーター氏自身は、1977年1月19日から1981年1月19日まで、一期4年大統領職を務めた。人権外交を掲げ、武力闘争に介入せず、国際情勢の安定化に貢献する。1979年3月26日には、中東情勢の緊張緩和の第一歩となるエジプト・イスラエル平和条約の締結にこぎつけた。彼自身の取り組みは、1978年から始まった。9月11日から9月18日にかけて、大統領の別荘があるアメリカのメリーランド州にあるキャンプ・デービッド荘に、エジプトのサダド大統領とイスラエルのベギン首相を呼んだ。サダド大統領は、和平を模索し、その条件として、アラブ人によるパレスチナ統治を上げた。もう一つは、シナイ半島の返還を要求する。一方ベギン首相は、ガザ地区とヨルダン川西地区の主権を放棄する意思はなく、1967年の第3次中東戦争時にエジプトから占領したシナイ半島の入植地解体も拒否した。カーター大統領は、難題に直面したものの、公平な視点に立ち、妥協案を探った。エジプトのサダド大統領には、アラブ人によるパレスチナ国家の樹立を諦めるように説得した。対してベギン首相には、段階的なシナイ半島の入植地解体により、エジプトと良好な関係を築けると訴えた。
周囲を敵に囲まれたイスラエルは、防衛にも力を費やす。砂漠地帯のシナイ半島は、南にエジプトが、東はサウジアラビアとヨルダン王国と接する。領土保全には警備隊を危険にさらすと判断した。エジプトのサダド大統領も、アラブ人のパレスチナ自治区統治より、エジプトの国家としての領土保持が優先事項だった。最終日の1978年9月17日に、双方妥協した末に、和平を結んだ。場所名から「キャンプ・デービッド合意」という。イスラエルのベギン首相とエジプトのサダド大統領は、早くも同1978年にノーベル平和賞を受賞した。

 写真=左からベギン首相、カーター大統領、サダド大統領 掲載元 東洋経済ONLINE https://toyokeizai.net/articles/photo/710848
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 カーター大統領は、ユダヤ人によるイスラエル国家とアラブ諸国の共存を理想として掲げていた。現実には、エジプトとイスラエルの間では確かに和解した。中東全域でみると、イスラエルとイスラム諸国は2024年時点でも亀裂が深まったままだった。

 核兵器廃絶に向けても取り組んだ。1994年6月に、アメリカと敵対する北朝鮮へ大使としての役割を引き受け、金日成総書記と会談した。同年10月に成立した「米朝枠組み合意」に基づくと、核開発の中止と引き換えに、2003年までに100万キロワットの軽水炉2基を日本と韓国の費用で建設すると約束した。完成までの9年間代替エネルギーとして、1年あたり50万トンの重油を提供する。軽水炉では、放射性物質のプルトニウムは抽出できなくなる。新たに燃料としてウランを使う必要があった。米国と同盟国は、ウランを輸入していないか、監視に当たった。原子力発電所において、黒鉛減速炉と重水炉は、天然のウラン238を使用する。ウランは、通常陽子と中性子の数が等しい238が自然界で多数占める。一方0,7%の割合で、中性子が3つ抜けた235が存在する。軽水炉に関しては、ウラン235の濃度を3%から5%高めた低濃縮ウランを生成する必要があった。

 詳細記事 現代ビジネス 2020年11月3日付 https://gendai.media/articles/-/76970?page=5

以下 参考文 防衛省 情報検索サービス 第1章わが国を取り巻く安全保障環境より http://www.clearing.mod.go.jp/hakusho_data/2006/2006/html/i11c1000.html
 
軽水炉から核兵器の原料として使用するには、天然ウランから235だけを抽出する作業(濃縮)が必要になる。ウランの濃縮は、一般的に、数千の遠心分離機を連接した大規模な濃縮施設で行う。ウラン235の濃度を兵器級(90%以上)に高める。
 一方、プルトニウムは自然界には存在せず、ウラン238に中性子を照射して吸収させることにより、人工的に作り出される。原子力発電用原子炉は、ウラン燃料棒に中性子を照射する。ウラン235の核分裂に伴い、欠陥質量の0,1%が発電に必要なエネルギーとして放出されていく。ウラン燃料棒に含まれる大量のウラン238は、さらに大きな役割を果たす。中性子を吸収する過程で生じる、副産物としてプルトニウムを生成した。つまり、発電に使用した後の使用済燃料棒には、ウラン235、ウラン238、プルトニウムが混在しているのである。再処理施設において化学的処理を施すことにより、プルトニウムの抽出が可能となる。

詳細 画像掲載元 電気事業連合会より https://www.fepc.or.jp/smp/nuclear/cycle/about/kakou/index.html
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 核分裂を起こすのは、中性子だった。ウラン235の核分裂時には平均約2.5個の中性子が放出される。対して、プルトニウムの核分裂時には平均約2.8個の中性子が放出される。したがって、ウランよりもプルトニウムの方が核兵器の小型化に適している。現在、世界のほとんどの核兵器はプルトニウム型に変わった。
                             <参考文 終わり>

カーター大統領は、退任後にも大統領時代の宿題だった核廃絶への取り組み、人権拡大に向けた活動が評価され、2002年にノーベル平和賞を受賞した。2024年10月1日には、米国の大統領・副大統領の経験者として、初めて100歳を迎えている。10月15日から始まる大統領選挙戦にて、出身母体の民主党から出馬したカマラ・ハリス氏に投じて、女性初の大統領が誕生する瞬間を見届けることを楽しみにしているという。


ひとたび戦争で核兵器を使い出すと、武器を持たない市民の被害が拡大する。ノーベル平和賞委員会も、核廃絶運動を注意深く見守ってきた。2017年には、核兵器を廃絶する条約の制定に尽力してきたNGO団体の「核兵器廃絶国際キャンペーン」=ICANに平和賞が贈られていた。受賞時の2017年10月1日現在で世界101カ国468団体が加わった。核戦争防止国際医師会議(IPPNW)を母体に2007年、オーストラリアで発足した。2011年にジュネーブに国際事務所を設置して以来、核兵器の非人道性を訴える諸国政府と協力して、国際法で使用を禁止するキャンペーンを世界的に展開した。2017年に核兵器禁止条約が国連の会合で成立した。

 詳細 PEACE BOAT https://peaceboat.org/21213.html

2024年時点で、唯一の被爆国である日本政府は、2017年7月に国連会議で採択された「核禁止条約」への署名を拒否していた。その理由は、署名しても、核廃絶に繋がらないからである。確かに条約を批准することは意思表示に過ぎない。それでも核廃絶を掲げる国との間で一体感が生まれる。被爆者の平均年齢は85歳、体験談を語り継いだことにより、今若い世代へ核廃絶に向けた取り組みが受け継がれている。

   第2章 最新レバノン情勢

    (1)首都ベイルートでの空爆

今、世界はパレスチナのガザ地区と共に、レバノンに視線を注いでいる。周囲をアラブ諸国に囲れれたユダヤ人が中心のイスラエルは、アラブの武装組織と長年戦ってきた。2023年10月7日にガザ地区を実効支配するハマスの越境攻撃を受けて以降、報復感情を抑制できず、民間人を巻き添えにしてまで侵略行為に走った。

 イスラエル軍は10月10日、レバノンの首都ベイルートの中心部に空爆を行った。レバノン保険省によると、死亡者22人、負傷者117人、ヒズボラの連絡部門の中枢のトップ、ワフィク・サファ氏を狙ったとみられている。レバノンの情報筋がCNNに語ったところによると、この数日激しかったベイルートの南郊から中心部へ避難する住民が多かったという。平時よりも人口が過密な状態から、被害が拡大したとみられている。1棟の建物は全壊した。
 
 ガザ地区でも依然として戦闘は収まる気配はない。10月10日、同地区中部デールバラハの学校が空爆の被害にあった。ガザ保険当局によると、死亡者28人、負傷者54人になる。学校を狙った理由について、イスラエル軍は「ハマスの司令部」があったと、正当化した。6日から10日の間、イスラエル軍は、ハマスの戦闘員50人を殺害したと、成果を強調した。ロイター通信によると、軍隊を北部ジャバリアから周辺地域へ展開し、ハマスとの戦闘を続けた結果、130人の民間人が巻き添えになった。
 
 確かに複雑な地下網に潜むハマスは、神出鬼没のゲリラ戦を展開できる。抜け穴の一つが、学校や病院といえる。イスラエル軍は、ハマスの戦闘員の目撃情報や集会場所を突き止めると、民間人を省みず、徹底して空爆した。西欧諸国も悪化する中東情勢を懸念している。
 スペインのペドロ・サンチェス首相は10月9日、議会演説にて、イスラエルに対して、「侵略」の言葉で、批判した。戦火がレバノンに及んだ事態について、国際社会が一致団結して、制裁と圧力を加えるように求めていた。国連人道問題調整事務所(OCHA)によると、レバノン全土の4分の1が避難命令の対処地域になった。2024年9月からの戦闘で、死者は1500人にのぼったとみられている。

 写真=2024年9月に国連で演説するサンチェス首相
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 もはやイスラエル軍は、自制がきかなくなっている。10月8日には、レバノンの東隣のシリアの首都ダマスカス西部にある住居ビルをピンポイントで空爆した。ロイター通信は、7人が死亡し、11人が負傷したと報じた。狙いは、ビルに潜むヒズボラの幹部だという。特定の人物を狙った攻撃により、民間人が犠牲になれば、国際法にも抵触する。
10月10日のことだった。レバノン南部ナクラ市のUNIFIL本部の監視塔を砲撃した。当時任務に当たっていたインドネシアから派遣された2名の兵士が、負傷したものの、命に別状はないと現地から報告されている。

この日、アメリカのニューヨーク・シティにある国連本部では、レバノン情勢を巡って、緊急会合が開かれた。負傷した2名の兵士を送り出したインドネシアは、イスラエルを厳しく非難した。フランスと中国が追随した。フランスのマクロン大統領は、10月5日にパリで開かれた仏語圏首脳会議の場で、イスラエルへの武器禁輸措置を下すように呼びかけていた。2023年10月7日の軍事衝突以来、イスラエルに自衛権があると理解を示していたフランスは、180度方針を転換している。今回のUNIFILに派遣された兵士が、砲撃される事件について、アメリカはフランスやスペインに足並みを合わせ「深く懸念している」と述べたものの、イスラエルの軍事行動についての言及を避けた。イタリアのクロセット国防相は10日、記者会見し「戦争犯罪に該当する可能性がある」とイスラエルに対する厳しい対応を求めた。UNIFILには、イタリアの兵士も参加している。自国の兵士に危険が及ぶ可能性から、イスラエルのガラント国防相に抗議したことを明かした。中国外務省の毛寧副報道局長は11日の記者会見で、イスラエルに「深刻な懸念と強い非難」を示すと強調した。UNIFILは、1978年の国連安保理決議に基づき設立された平和維持活動(PKO)の一環である。2006年7月から8月にかけて、イスラエル軍とヒズボラの間で大規模衝突が起こっていた。国境沿いの緩衝地帯に、50カ国、計1万人に上るUNIFILの兵士が任務に当たっていた。イスラエルは、ヒズボラとの戦いに向けて、UNIFILの兵士に撤退を求めていた。治安維持に貢献する目的から、兵士は引き続き任務に当たっていたのである。ただし、戦争の介入はせず、静観していた。

  (2)強気のイスラエル 

 イスラエルは、アメリカを後ろ盾に、強気の姿勢に打って出る。同国のカッツ外相は10月2日付けで、国連のグテーレス事務総長を、ペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)」に指定し、入国を禁止すると宣言した。制裁の理由について、10月1日にイランのミサイル発射による報復攻撃を非難しなかったことにあると説明した。

 孤立を深めるイスラエルは、アメリカから武器供与を受けることにより、ガザやレバノンでの戦闘能力が支えられている。

レバノンの国家自体は、ポジションが長く空白状態が続く大統領の代わりに、首相が外交の責任を果たす。イスラム教スンニー派のミカーティー首相は、10月2日付でヒズボラに即時停戦に応じるように求めた。レバノンは議会の力が弱く、軍事権を握るヒズボラを抑制できない。ミカーティー首相は、X(旧ツィッター)を通して、アメリカとフランスと接触し、イスラエルへ停戦を働きかけるように求めたことを明かした。アメリカとフランス側のコメントはない。イスラエル軍は、レバノン南部の住民に避難勧告を出して、戦闘が落ち着くまで戻らないように警告を発した。

 写真=10月2日にメッセージを発するミカティ首相(出展:ロイター通信より)
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 1948年の建国宣言以来、周囲のイスラムの国々からは、敵対的な態度をとりつづけ、和解できる余地はない。後はハマスとヒズボラ殲滅に向けて、まっすぐ進むだけである。

 イスラム色が強い、ムスリム同胞団から支援を受けるトルコの公正発展党に属するエルドアン大統領は、9月24日の国連演説にて、イスラエルのガザ攻撃を止めるように訴えた。当時は、レバノンでのポケベル爆破事件が起こり、ヒズボラとの衝突目前だった。エルドアンは、レバノン国民の行方を懸念し、停戦を求めていた。

 イスラエルが、グテーレス事務総長に入国禁止措置を下した件について、10月4日付けで意見を発する。「恥知らずにもグテーレス事務総長に楯突いている。世界の196カ国は国連の事務総長側に立つはずだ」
 エルドアン大統領は、バルカン半島を歴訪する。10月10日付けでアルバニアを訪れ、エディ・ラマ首相と会談した。アルバニアは、人口の57%がイスラム教徒である。ラマ首相との間で対イスラエル姿勢を確認した。記者会見にて「われわれ国際社会は、恒久的な停戦を至急保証し、イスラエルに対して必要な圧力をかけるために全力を尽くさなければならない」。ガザでジェノサイドが1年間続いているのは、全人類の恥だ」と最大限の言葉でイスラエルを非難した。

 写真=エディ・ラマ首相(左)とエルドアン大統領(右) AFBPより
フォト

 トルコ自体も、前進のオスマン帝国時代、1次大戦中アルメニア人の砂漠への共生移住政策について、西欧諸国からジェノサイドとの見方をされている。大統領自身は、当時帝国時代の政府を擁護し、敵対行為の取り締まり行為だと正当化していた。NATO諸国でありながら、西欧との関係にもゆれている。

 過去ではなく、今起っていることに目を向けさせるべく、再三に渡って、イスラエルの軍事行動を止める必要性を強調していた。新たにネタニアフ首相を、ナチス・ドイツのヒトラーになぞらえ、ガザの虐殺者と表現し、全ムスリムの敵だと呼びかけた。2023年10月7日の衝突から1年、ガザでは4万2065人が死亡した。一方イスラエルでは、ハマスの襲撃により、1206人の命が失われた。

 イスラエルが、イランへ報復すれば、ますます被害が拡大する。10月10日付でイスラエルは、安全閣僚会議を開き、報復の対象について絞込みを行った。アメリカのバイデン大統領は前日の10月9日に、ネタニアフ首相と電話会議を開いていた。10月1日のイランからのミサイル攻撃以来、アメリカは、イスラエルの報復に理解を求めるものの、核施設を避けるように要請してきた。10月11日に、フランス、イタリア、スペインの3カ国の首脳が、足並みをそろえて、イスラエル軍による国連レバノン暫定軍(UNIFIL)に対する攻撃を非難した。3カ国は、UNIFILに兵士を派遣し、レバノンの治安維持に当たってきた。共同声明において「国連安全保障理事会決議のほか、国際人道法の下でイスラエルが負っている義務に対する重大な違反となる」と指摘した。「全ての平和維持要員は保護されなければならない」と任務に当たった兵隊を擁護した。もはや一寸先の見えない事態に直面している。

 詳細 Reuters 2024年10月12日午前4時38分付 


https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=4&from=diary&id=8054478
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