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2024年05月24日10:56

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金曜日のメインコンテンツは日本中世史 → 鎌倉時代と北条氏 55 「北条政子と鎌倉幕府」 上

 九条兼実の弟・慈円は著書『愚管抄』で院政期のことを「女人入眼の日本国」と呼びまた。これは上皇の寵姫や天皇の乳母が政治に介入したためですが、源頼朝の御台所(みだいどころ.正室)・北条政子に代表されるように、この風潮は武家社会でも同じでした。

 頼朝の愛妾・亀の前の家をご家人に命じて破壊させた「亀の前事件」を起こすほど政子は気性が激しかったのですが、頼朝の存命中は父・北条時政が破格の厚遇を受けておらず、彼女が政治にあまり口出ししなかったことがうかがわれます。

 当時の女性は嫁ぎ先の跡取りを出産し、養育することで家内での発言権を獲得できました。乳母の場合は、主人の子を育て上げることで主家での発言権を獲得したのです。つまり、当時は「母権」がかなり強く、頼朝にとっては「妻」である政子よりも、忠義の「乳母」である比企尼の方が尊重すべき存在だったのです。

 夫の死後、政子が幕政に介入できたのも、将軍としては若く未熟な頼家を養育する政子の母権を、御家人たちが当時の慣習に従い認めたからなのであります。


参考文献

 『北条政子 幕府を背負った尼御台』 田端泰子(著) 人文書院
 『北条政子 尼将軍の時代』 野村育代(著) 吉川弘文館
 『異説日本史:女性篇』 下 雄山閣編集局(編) 雄山閣

 『史伝 北条義時 武家政権を確立した権力者の実像』 山本みなみ(著) 小学館
 『鎌倉殿と執権北条氏 義時はいかに朝廷を乗り越えたか』
                 坂井孝一(著) NHK出版〈NHK出版新書)
 『頼朝と義時 武家政権の誕生』 呉座勇一 (著) 講談社〈講談社現代新書〉

 『日本の中世国家』  佐藤進一 (著) 岩波現代文庫
 『源頼家とその時代 二代目鎌倉殿と宿老たち』
           藤本頼人(著) 吉川弘文館〈歴史文化ライブラリー〉
 『鎌倉源氏三代記 一門・重臣と源家将軍』
           永井晋(著) 吉川弘文館〈歴史文化ライブラリー〉 
 『頼朝と義時 武家政権の誕生』 呉座勇一(著) 講談社〈講談社現代新書〉
 『鎌倉幕府の転換点 「吾妻鏡」を読みなおす』 永井晋(著) 日本放送出版協会

 『現代語訳吾妻鏡』 五味文彦・本郷和人 (編) 吉川弘文館
 『愚管抄 全現代語訳』 慈円(著) 大隅和雄(訳) 講談社学術文庫
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