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2024年05月20日15:17

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【映画叙景】アメリカンノスタルジー

『ラスト・ショー』('71/126分/米)…5/4(購入DVD)
『ジュニア・ボナー/華麗なる挑戦』('72/100分/米)…5/18(購入DVD)

ちなみに、
『ラスト〜』は1972年度キネ旬ベスト1位
『ジュニア〜』は1972年度キネ旬ベスト7位
どちらも半世紀以上前に私が10代の頃に見た私のフェイバリット作品であり、どちらも私の中のアメリカという国の原風景の様な作品なので今回は二本まとめての感想となります。

特に『ジュニア〜』の方は近年日本では殆ど見れなくなっていましたし、DVDも高額で中々手が出せなかったのですが、ヤフオクで安値で見つけたので早速購入しました。
しかし、1970年代(私が本格的に映画を見だした時期)から既に半世紀経ったという事実がまだ信じられないのですが、半世紀経つと当然映画の見方も変わるので、当時の私の中の宝石の様な作品を見返すという行為は、楽しみ以上に怖さもあります。
当時よく分からなかった評価の高い名作が今見るとスッと理解でき、あらためて良さを確認出来るというケースは多々あるのですが、逆に当時あれだけ感動したにも関わらず今の目で見ると「つまらない映画」と感じてしまう事は一種の恐怖であり、そうなると非常に複雑な気持ちになりそうで嫌ですからね。

『ラスト〜』の方は、今回の再見でも、ほぼ記憶そのままの印象でした。
特に映像記憶はそのままで、まさにアメリカの原風景であり、私のその後の“青春映画”の原型として定着させてくれた作品の様な気がします。
本作はあくまでもアメリカの地方都市の風景ではありましたが、その後見た世界各国の様々な傑作青春映画の殆どが同じフォーマットであり、違っているのは国と場所と風景と文化であり、世界の若者の共通性が『ラスト〜』の中には全て描かれていました。
そしてそのフォーマットにはもう一つ若者を形作る大きな要素があり、本作では象徴的な登場人物であるサム役のベン・ジョンソン的な“大人”の存在が非常に重要な役割を果たしていました。
勿論、映画の中では善人や善行ばかりが描かれている訳ではなく、むしろ逆の醜さも含む人間臭さばかりであるのだが、ある意味こうした夢も希望もない様な片田舎の街の思い出であるからこそ、ちょっとした思い出が美しく輝きだし、強烈な郷愁となるのが人間の業の様な気がします。今見てもやはり傑作でした。

『ジュニア〜』の方は、サム・ペキンパー監督の中で一番好きな作品と今まで言って来ましたが、再見して記憶していたのはロデオシーン位で、物語についてはほぼ忘れていた事に逆に驚いてしまい、新作を見たような気分になりました。
サム・ペキンパーってバイオレンス映画の巨匠とまで言われていましたが、本作については全くの(伝統的アメリカ映画の)ファミリー映画であり、十代だった私が本作の何処に惹かれたのか?あの頃の私に聞きたくなりましたよ(笑)
いや勘違いされると困るのですが、今観てもやはり好きな映画である事は同じなのですが、恐らく当時の私とは全然違う見方をしていたと思います。
で今回観て、本作も『ラスト〜』同様にアメリカ人のノスタルジーをテーマにしている作品であり、本作では滅び廃れゆくものに対して、家族を通してそれぞれの相対し方の違いが描かれていたように思えました。
物語の時代が『ラスト〜』は1951年で『ジュニア〜』1972年で、約20年後のアメリカ西部。主人公ジュニア・ボナーは恐らく『ラスト〜』の若者達と同年代であり、父親が恐らく『ラスト〜』のベン・ジョンソン(『ジュニア〜』にも出演)位なのが面白い。
ジュニア・ボナーは元ロデオのチャンピョンだが、年齢的に第一線ではないしロデオそのものが廃れ行く競技であるが辞められないのは、どうしても勝たなければならない暴れ牛がいるからである。実業家兄とは気が合わない。愛すべき父親もロデオスターだったが、まだ夢を追いかけオーストラリアに銀を掘りに行くと言い、母親はそんな父親に愛想を尽かしている。
そういう状況の中のロデオ大会までの数日間の物語ではあるが、そこにもアメリカの原風景が描かれていた。
中年のスティーブ・マックィーンが本当にカッコいい。
サム・ペキンパー監督自らも、恐らくもう自分の作品の古さを自覚していたのではないのかなぁ〜。だからこそ、それ以前のペキンパー作品とは違う味わいの優しさが出ていたのでしょうね。もう一度見れて本当に良かったです。
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