mixiユーザー(id:16007959)

2024年05月18日20:47

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『君を守ろうとする猫の話』夏川草介

十三歳で中学生の幸崎ナナミは、ある日行き慣れた図書館にて無断で本を持って行く「怪しい奴」を見かけていた。
顔見知りの司書に相談するも、忙しいのか「借りているのではないか」と相手にしてもらえない。
それからしばらく後の晩秋の茜空の頃、ナナミは再び「怪しい奴」が本を持って行くところをを見つけて、追ってみる。
姿を見失った書棚の通路が光のかなたまで果てしなく続いているのに誘われて、三度目も追おうとしたら、どっしりとした体格のトラネコに人の言葉で引きとめられる。
危険への覚悟を問われ、それも承知の上で大切なものを取り返すためにトラネコと一緒に行動を開始する。

「怪しい奴」の正体も気にかかりましたが、何よりもそいつとの会話で「気に食わない」ところがありました。
古い本ばかりが内容に深みがあって素晴らしく、現代の新しい本は刺激を追い求めるばかりでつまらなく薄っぺらいと言っているような表現・・・というか、そう発言しているように感じられたのですね。
そりゃ、そういう軽佻浮薄な本も無いとは言えませんが、逆にそう見せておいて実は・・・というものもありますし、どんな物語も受け手によっていくらでも面白く学びのあるものになる一方、小難しくて型にはまったつまらない物にもなるのですよ。

もちろん「怪しい奴」の言動は、物語の流れで必要なもので作者の意見の代弁ではありません。
これから読まれる方々は、その辺りを勘違いなさいませんよう。

ずいぶん話が脱線しましたが、このように一冊の本を読むだけでも空想ばかりか思考も広がっていくところが読書の醍醐味ですよねえ?
そしてナナミじゃありませんが、小説に限らず本は世界に山ほどあって新しい本も大量に発行されており、いくらでも学びはあってそれなのに人生には限りがあるので、とても一生では読みおおせません。
せめて彼女の年齢の頃にこれに気づいていれば、時間を浪費しなかったのになあ。
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