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2024年05月18日14:51

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映画 ”水深ゼロメートルから” 高校演劇映画化作品 山下敦弘監督

”水深ゼロメートルから” 高校演劇映画化作品 山下敦弘監督

四年前、ハマりにハマった高校演劇最優秀作の映画化”アルプススタンドのはしのほう”、
その第二弾企画作品ということで、応援の意味を込めて観に行くことに。

徳島の高校2年の夏休み。ココロとミクは体育教師の山本から、
特別補習としてプール掃除を指示される。水の入ってい ないプールには、
隣の野球部グラウンドから飛んできた砂が積もっている。
渋々砂を掃き始めるふたりだが、同級生で水泳部のチヅル、
水泳部を引退した3年の先輩ユイも掃除に合流。
学校生活、恋愛、メイク……。なんてことのない会話の中で時間は進んでいくが、
徐々に彼女たちの悩みが溢れだし、それぞれの思いが交差していく

等身大の高校生、というか女子高生の映画でした。
アホっぽかったり、キラキラしてたり、大人の真似したり、子供のままでいたかったり。
男子にはわからない化粧のこだわりとか生理のこととか、女性の生きづらさとか。
高校生にしか作りえない、けれど高校生とは思えない完成度の脚本でした。

ココロは化粧好きの一軍女子ながら、花形の野球部マネジャーになれなかった、
ミクは阿波踊りの踊り手、でも小さい頃から慣れ親しんだ男踊りが恥ずかしい、
水泳部のチヅルは水泳部のエースながら、想いを寄せる野球部の楠に負ける、
チヅルの先輩ユイは、自分より実力のあるチヅルを応援しているが理解されてない、
体育教師の山本は生徒のことを思って厳しく当たるが生徒に煙たがられる、
化粧も友人との付き合いも我慢して生徒と向き合っているのに、
登場人物それぞれの悩みがたわいもない会話から徐々に浮かび上がってくるのが
見事でした。

それを”リンダリンダリンダ”以来の高校生ものとなる山下敦弘監督の
会話を中心にした演出と映像でみずみずしい青春映画になってました。
夏なのに砂だらけの水のないプール、腹ばいになって泳ぐ真似をしてる生徒、
砂を掃いてる生徒、飛び込み台で化粧をしている生徒、
夏を感じる江口寿史のような絵面がすごく印象的。

予告編のトップにも”アルプススタンドのはしのほう”に続く、
と出るくらい高校演劇推しの作品ですが、
個人的にはやはり主人公たちの会話に野球の試合が絡んでクライマックスに
向かうというドラマ性があった、”アルプス〜”の方が面白かったです。
ちなみにこの映画でもほぼプールで話が展開するワンシチュエーションもの
という点と、野球部がプールの隣で練習してますが、
あえて部員たちの顔は映してません。そこは”アルプス〜”と一緒。

ただ、こういう形で高校生の良い作品がちゃんと映画化されるのは素晴らしい。
特にこの作品は高校生時代に脚本を描いた本人が、映画脚本を手がけているのが
いいです。

最後のシーン、ミクの決意が現れるあのポーズ、あれは高校演劇のラストにはなくて、
山下監督が映画的なラストにしようということで提案したシーンだそうです。
すごく印象的ないいシーンで、脚本家も感動したとか。
あと、雨が降ることによって砂だらけのプールが文字通り水深ゼロの
スタートとなること。
若い才能をベテラン監督がさらに輝かせる、まさにこれこそが高校演劇を映像化する
ことの意義だと思いました。

この最後のシーンからのスカート(feat.上白石萌音)の主題歌の入り方も良かった。

個人的にはチヅル役が、好きな番組BS-TBS”町中華で飲ろう”の
新しい町中華姉さん・清田みくり、だったのが良かった。
彼女、和歌山出身で、今後に期待。
ただ、チヅルのように制服で砂だらけのプールに腹ばいになったりするのは、
男子でもあんまりしないと少し違和感があったのと、
砂を掃くのに何故端からきちんとやっていかない、とその要領の悪さに
彼女たちにおじさんは指導したくなりました。
 
水深ゼロメートルから、第一歩を踏み出していく彼女たちの
これからを応援したくなる、そんな作品でした。
昔、女子高生だった人たちには特におすすめ!

https://www.youtube.com/watch?v=kq00HHoooQ4&t=108s


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