mixiユーザー(id:5138718)

2024年05月18日04:27

11 view

2004年の今日(5月18日)に亡くなったジャズドラマー エルヴィン・ジョーンズ

 ミシガン州ポンティアック生まれのジャズドラマー、エルヴィン・ジョーンズ(1927年9月9日 - 2004年5月18日)について。

 ピアニストのハンク・ジョーンズ、トランペッターのサド・ジョーンズとの3兄弟の末弟。

 エルヴィン・ジョーンズは、ジョン・コルトレーン・クインテットに参加したことで特に有名になります。
 また、1960年代にはブルーノート・レーベルを中心にウェイン・ショーターやグラント・グリーン、ラリー・ヤングらのレコーディングに参加、歴史的名盤を数多く残しています。

 兄のハンクとは長年不仲だったそうですが、晩年に東京で共演しています。

 この人の特徴はポリリズムとよく言われます。ポリリズムとは「複数の拍子やリズムが同時並行していること」を指します。初めはズレているものの時々重なる部分があるのがとてもスリリングではあります。初めてこの人の演奏を聴いた人の多くが「何がなんだか分からなかった」というのは、このポリリズムなるもののせいかもしれません。
 ポリリズムはドラムソロだと誰にでもはっきりと分かります。
https://www.youtube.com/watch?v=IO89iARVhmI

 …が、それは彼のドラミングについてはあくまでも表面的なこと。
 やたらと細いスティックを使っていたのですが、それでたたき出す「音圧」がもの「凄いんです(泉大八風)」。ブルーノート東京で至近距離から聴きましたけれど、もう圧倒的。かなり晩年だったので、バスドラムを踏むことはもうなくなっていましたけれど、一音一音がずしーん、ずしーんとこちらにまで響いてくるのです。これはCDなんかじゃ分からない、「ナマ」でこその体験だなと思いました。
 その時のバンドの音楽監督はウィントンの弟のデルフィーヨ・マルサリス(トロンボーン)で、彼が他の若手メンバーに指示を出していましたけれど、もうエルヴィン一人が音だけでバンド全体を支配している、という感じでした。

 それからこれはCDなどでも確認できますが、「拍(はく)」の捉え方が独特です。これは小さく叩いている三連のドラミングでよく表れていて、言葉にするのは難しいですが、独特の「うねり」があります。ぐーっと引っ張ってパンと放つ。これが共演者を刺激して常の演奏とは違う魅力を引き出すのでしょう。代表的な例がトミー・フラナガン(ピアノ)の『オーヴァーシーズ』『エクリプソ』の2枚です。抒情的で「女性的(今は許されない形容)」と称されたフラナガンがここではまるで打楽器のようなピアノプレイに変貌しています。
https://www.youtube.com/watch?v=mddEWI0NlXg

 さらに「拍」が伸び縮みすることがあります。ジョン・コルトレーンのバンドではそういうことがたびたびあったそうです。ラリー・ヤング(オルガン)の録音につきあった時にそれらしいものを聴くことができます。
https://www.youtube.com/watch?v=bch-LIUM9Ks

 最初の頃に述べた「音圧」と「拍」の伸び縮み以外は、コルトレーンとの共演作で追体験できます。ほぼどのアルバムでも大丈夫です。ま、やはり「史上の愛」かな。
https://www.youtube.com/watch?v=ll3CMgiUPuU

 プロのミュージシャンに言わせると、エルヴィンがいなければ、コルトレーンの音楽はありえなかった。その逆はない。エルヴィンの存在があればこそ、だそうです。

 エルヴィンの後任のラシッド・アリも良いドラマーだけれど、どうしてもエルヴィンの代わりにはなりえない、のだそうです。

 異色なところでは、ビッグバンドジャズの巨匠、デューク・エリントンとコルトレーンが共演したアルバム。収中のバラード(イン・ア・センチメンタル・ムード.一曲目)ではありがちなブラッシュではなく、スティックで叩いていますが、ロール(トゥルルルル)で見事に空間を作り出しています。
https://www.youtube.com/watch?v=gkdFmq4Nnmk...

 ミュージシャンは自分の勉強のために、よく一流どころの演奏を耳で聴いたものわ「採譜」(五線紙に書き留める)して、またそれを自分で演奏します。クラシックのミュージシャンがジャズに挑戦、ということでこれをやってもCDと同じような雰囲気にはまずならない。「クラシックに比べればはるかに使う技法は少ないのに。まったくジャズは分からない」と言われるゆえんです。
 ジャズメンはそこのところよく承知して採譜→プレイするのですが、このエルヴィンのドラミングだけは絶対に再現できない。どうやっても違うものになってしまうのだそうです。

 この人にはかつて神田神保町にあったジャズ喫茶「響(ひびき)」で出くわしたことがあります。なにやら黒いものがごそごそしていると思ったら、エルヴィンでした。きっとKeiko夫人の里帰りかなにかに付き合った私用での来日だったのでしょう。

 1966年に来日した際、麻薬禍によってしばらく帰国できなくなったエルヴィンは仕方なく東京のジャズクラブに出没して演奏をしました。
 これに対し、「我こそは日本の(ジョン・)コルトレーン」とコルトレーンタイプのサックス奏者が次々に共演をかって出ました。
 ところがどれもこれもみんな討死に。そのドラムスの独特さについてこれないのでした。

 レコーディングに呼んだサックス奏者もプロデューサーに「エルヴィンに言ってよ。酒臭いよ。これじゃさあ」と泣きつく始末。
 そんななか、一人だけ悠々とエルヴィンとプレイしたツワモノがいました。高橋知己です。不思議がる他ミュージシャン達。問うてみると。
「だって俺、コルトレーン一辺倒だからさ、エルヴィンのタイコ、さんざん聴いてるの」
 みんな、だぁー *。:.(○σ´・ω・).:。*
https://www.youtube.com/watch?v=9huAmGECeyc&t=5s
3 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2024年05月>
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031