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2024年05月16日10:28

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メインコンテンツの第二弾 → 倫理学の歴史 89 「絶対主義の時代 徳と快楽」

 モンテーニュ自身、きびしい徳行をとくにストア派をうけ入れはしましたが、けっして鵜呑みにしたわけではありません。彼はこう言います。

「哲学は徳を目的にするが、その徳は、学校の教えるように、険しく近づきがたい断崖の頂きにすえられているのではない。木かげが多く、芝草が生え、花々のかぐわしく咲く道をたどって、たのしげに、空の穹窿(きゅうりゅう.弓形に見える大空)の坂道もかくやと思われるなだらかな坂をへて、そこに達することができる。徳の道具は節制であって、強制ではない。徳は人間の諸々の快楽を生む母である。徳は諸々の快楽を正しくすることによって、それを確かな純粋なものにする。それらを節することによって、香りと味わいを保つ。徳は生命を愛し、美を愛し、栄光と健康とを愛する。しかしその独自独特のつとめは、それらの富を適度に用いるみちを知ることであり、またそれを毅然として失うみちを知ることである」


参考文献

 『エセー I 人間とはなにか』、『II 思考と表現』 、『III 社会と世界』
                 荒木昭太郎(編訳) 中公クラシックス
 『モンテーニュ 随想録』上・下  松浪信三郎(訳) 河出書房新社
 『モンテーニュ入門講義』 山上浩嗣(著) ちくま学芸文庫
 『モンテーニュ 人と思想』 大久保康明(著) 清水書院(新書判)
 『フランス絶対主義 歴史と史学史』
   ファニー・コザンデ、ロベール・デシモン(著) フランス絶対主義研究会(訳)
   岩波書店
 『絶対主義国家と身分制社会』 成瀬治(著) 南陽堂書店


 次回は「自然科学の発展」
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