「私が子どもの頃は、ホームのすぐ下が海岸でしてねえ、"日本でいちばん海に近い駅"なんて言われていたんですが、海岸沿いに国道ができてから、日本で二番目になったんですよ。一番はどこだったけなあ…。インターネットですぐ出てくるはずなので、気になるのだったら、すぐ調べてみてください」
訪ねているのは愛媛県の中央部、瀬戸内海に面した街、伊予市です。
観光スポット、ばえ(映え)スポットとして知られる、JR予讃線のとある駅で各駅停車の列車を待とうとしたら、次の列車が来るまで2時間以上もあったので、たまらず駅前でタクシーを呼ぶと、運転手さんがそんな話をしてきたのです。
「ほう、東京からですか。映画のせいでお客さんのような方がようけこんな田舎まで来はるようになりましたわ」
愛媛県伊予市は、もともとあった伊予市と、伊予郡双海町(ふたみちょう)と中山町が合併して現在の市域になったのだそうです。
そのため、同じ伊予市でありながら、三つの地域それぞれに独特な特徴があるようです。
街道沿いに古くからの歴史や文化が垣間見えるという中山エリア、商人の街のふぜいが残る伊予エリア、そして、豊かな緑と瀬戸内海の恵みにいだかれる双海エリアです。
双海エリアは東西に細長く広がる海沿いの町で、その海岸線を沿うようにJR予讃線が走っています。
その予讃線の小さな無人駅。海岸線まで急峻な山々が迫る断崖べりにたたずんでいたのが、ついさっきまでいた下灘駅(しもなだえき)なのです。
https://www.youtube.com/watch?v=QF5vPngFBJQ
どこか懐かしい、海の見える駅 ・JR四国 予讃線「下灘駅」
タクシーの運転手さんの説明どおり、日本でいちばん海に近い駅といわれた下灘駅は、まるでホームが海に浮かんでいるかのような、絶景のロケーションを誇る駅でした。
https://www.youtube.com/watch?v=N0kFCV7BRyY
下灘駅:観光客で混雑する映える駅のリアル
(音楽再生よろしく →
https://www.youtube.com/watch?v=PNfwBWD3sII)
そのため、多くの映像作品のロケ地となっています。
渥美清主演の『男はつらいよ』や、木村拓哉のドラマ『HERO特別編』、さらにJRの青春18きっぷのポスターにもたびたび採用されてきました。
https://www.youtube.com/watch?v=TDqCHqmlh0E
【下灘駅】ロケ地 の駅 訪問 主演 木村拓哉 さん 「HERO特別編 」
そして何よりも、そのたたずまいからイメージされるのが、ジブリ映画『千と千尋の神隠し』で千がカオナシと一緒に列車に乗り込む、あの水の中の駅なのだそうです。
https://www.youtube.com/watch?v=EyhFe_AhpGY
映画やドラマ。口コミが発端となり、愛媛県伊予市を代表する観光スポット、ばえスポットとなった小さな無人駅、下灘駅。
晴天に恵まれた今年のゴールデンウイークも大勢の観光客が押し寄せ、あの話好きの運転手さんも、大忙しだったことでしょう…。
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