「しゃちょさん。ありがとございますた。またあそびに来てね。おやすみね。」
わざとたどたどしい日本語を使った方が日本人受けがいいのよ。
フィリピンパブのホステスとして日本に来て、もう25年。
今では、店長でありオーナーであり、複数の同業他社を束ねるまでに私は成長したわ。
つまりは、この日本の片田舎の街に住む外国人女性労働者や外国人妻の、相談役なの。
店が閉店すると、多くの外国人出稼ぎ女性が集まって情報交換をする。
「ママ。もうダメ。わたしの店つぶれる。お客来ない。ぜんぜん来ない。」
この街で一緒にそれぞれの店を切り盛りしてきた友でありライバルでもある彼女も音を上げているわ。
「ママ。うちのパパさんお金ない。若い頃いっぱい稼いできたのに。今、貧乏。国にお金送れない。」
集団でやってきたフィリピン妻たちの声も、一応にそんなもの。
「日本の人口減少は待ったなし。労働力確保の為に移民受け入れをしなくてはならない!」
テレビで政治家は熱弁をしているけど、政治家のおじいさん達って頭悪いね。
この弱体化しきった日本に働きに来たい外国人がどれだけいるというの?
時代は逆転したの。
私は考えた。
困窮する日本人女性たちを集めた。
日本にいては日々の食べ物を買う為だけに働いて働く。それだけの人生でしょ。
誰もが裕福な男との結婚を望むけど、日本にそんな男がどれだけいるというの?
現実の厳しさと、それにすがる虚しさは日本人女性自身が一番理解しているはずよね。
私は考えた。
日本と外国との国境を越えたマッチングアプリを始めたの。
それは直ぐに反響を呼び、私の想像通りに、日本人の女性が世界各地への嫁入りが急増したわ。
アプリで気が合えば、日本人女性は当地へ行き、そのまま結婚した。
かつてあったフィリピーナの集団嫁入りと同じよ。
日本人の女性はモテた。
みんな気づかいができて、おしとやかで、世界の富裕層の男たちが日本人女性のパトロンになった。
そして世界の各地で日本人バーが起こり、日本人風俗店が大繁盛している。
日本人女性は必死に出稼ぎをして日本に金を送っている。
私たちと同じよ。
日本本土にも外国人が押し寄せる。
それをインバウンドだ。と日本人は歓迎している。
でもその実態は日本の男たちが「ようこそ日本へ」と揉み手をしながら、日本の女達を売っている。
当然の話でしょ。円安になれば女も安くなる。
安い日本の女を買いに外国人が押し寄せているのよ。
「これこそ日本の強みだ」と政治家のおじいたんたち満足そうだけど。やっぱり頭悪いね。
時代は逆転したの。
「もう日本に価値は無いね。フィリピンに帰ろうか」
私たちはみんなで日本を去ることにした。
「にほんのみなさん。ありがとございますた。また遊びに来るね。おやすみね。」
残された日本人男性は途方に暮れているみたいね。
日本がまた目覚める日は来るのだろうか。
おやすみね。
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■歴史的円安の背景 日本の“国力低下”【風をよむ】サンデーモーニング
(TBS NEWS DIG - 05月12日 14:25)
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