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2024年03月20日06:35

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 「彼岸」。

 道の端の草叢で、
 互いを打ち負かそうと、
 善悪が論を交わしていた。
 
 それぞれ言い分は、
 それなり理りは在るものの、
 傍らで聴く者等は苛立たしく感じた。

 それは者等が曾て夢中で書物を漁り、
 挙句落ちたアポトロジーに似ていた故だ。

 草叢を掻き分け、
 善悪に立ち入りわたしは、
 双方を日差しに晒して見せた。

 「ご機嫌よう」。

 然るに善悪は分かつでも無く、
「ご機嫌よう」と返して来るとは。

 草叢は静まり返り、
 事もあろうに、
 わたしが囚われの身に成ろうとは。



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