mixiユーザー(id:9724239)

Javascript の設定が無効になっているため、一部の機能を利用できません。

詳細はヘルプをご覧ください。

2024年02月20日00:07

137 view

蟹満寺、萬福寺、清凉寺　R06 (2024) .02.19

島田裕巳『この寺社を見ずに死ねるか』角川新書　二〇十六年

39寺社の選定については流石と思わせる所があるけど、解説は人並み。よって立ち読みだけで済ませたけど、この選定は参考にはなるかな。殆ど行っている所が我ながら凄い！

（因みに☆が未参拝の所ですが、御朱印を頂きたいのは西芳寺と蟹満寺と萬福寺と清凉寺くらいかな）

ＰＡＲＴ１「一生に一度は行きたい寺社39」
オススメ度★★★（星３つ）の寺社11
　法隆寺
　東大寺
　薬師寺
　興福寺
　大神神社
　三十三間堂
　竜安寺
　西芳寺
　平等院
　中尊寺
　東寺

オススメ度★★（星２つ）の寺社18
　向源寺
　観心寺
☆富貴寺
☆蟹満寺
☆瑞龍寺
　神護寺
　三千院
　円成寺
　浄瑠璃寺
　宇佐神宮
　室生寺
　比叡山
　厳島神社
　春日大社
　唐招提寺
　広隆寺
　高野山
　園城寺

オススメ度★（星１つ）の寺社10
　法華寺
　六波羅蜜寺
　浄土寺
　熊野三山・青岸渡寺
　當麻寺
☆清凉寺
　石清水八幡宮
☆萬福寺
　飛鳥寺
☆恐山

ＰＡＲＴ２「行ったことがあっても、意外と知らない見どころ満載の寺社18」
　明治神宮
　浅草寺
　靖国神社
　鶴岡八幡宮
　鎌倉大仏（高徳院）
☆円覚寺・建長寺
　成田山新勝寺
　日光東照宮
　清水寺
　金閣寺
　銀閣寺
　伏見稲荷大社
　八坂神社
　伊勢神宮
　出雲大社
　金刀比羅宮
　熱田神宮
☆豊川稲荷

ＰＡＲＴ３「世界の宗教、日本の新宗教施設で訪れてみたい場所」
☆東京ジャーミイ
　天理教教会本部
☆バグワン・マハビールスワミ・ジェイン寺院
　斎場御嶽（せーふぁうたき）

島田裕巳『仏像鑑賞入門』新潮新書　二〇十四年

最早ネットで検索しただけで済ませてしまったけど、島田はんよう分かってはりますなーという選定ではあります。なんやこの上から目線は。しかしそうなると未参拝である富貴寺と瑞龍寺と円覚寺・建長寺と豊川稲荷もそうでしたが、立石寺と真野寺と熊野磨崖仏は気になりますね。要するに、結局は何だかんだ言いながらも行ってしまうんだろうな…。

8章の「これだけは見ておきたい究極の仏像たち」
★中宮寺の菩薩半珈思惟像　奈良県生駒郡斑鳩町
★観心寺の如意輪観音像　大阪府河内長野市
★向源寺の十一面観音像　滋賀県長浜市
☆蟹満寺の釈迦如来像　京都府木津川市
　唐招提寺の如来形立像　奈良県奈良市
☆立石寺の慈覚大師頭部　山形県山形市
☆国東半島の熊野磨崖仏　大分県豊後高田市
★円成寺の大日如来像　奈良県奈良市
☆真野寺の千手観音像　千葉県南房総市
★六波羅蜜寺の空也上人像　京都府京都市東山区

しかしこの10選の中の半数（★）は私にとっても特に敬愛している仏像なので納得できるのですが（観心寺の如意輪観音像は未だ拝観していないけど）、残りの半数は「究極の仏像」というだけあって、もう本当にマニアックなまでに突き詰められていますね。それは “不完全なものにこそ美が宿る” であったり、蛭子の様な存在に超越性を見出す日本人に特有の宗教意識にまで踏み込んでいると思います。私はどちらかというと完璧なものに心惹かれるし、だからこそ不完全であるが故に救われるのだという信念を抱いています。私は南無阿弥陀仏は唱えないけど、やはり家の宗派は浄土真宗なのだなと強く思います。

下のホームページの方も良く分かっていらっしゃるというか、上手く纏めていますよね。

株式会社野村美術：仏像の歴史まとめ
https://nomurakakejiku.jp/column/post-16612.html

㊧　蟹満寺の山門
㊨　本堂

京都府木津川市山城町という少々辺鄙な所にある蟹満寺は本当に小規模なお寺で、歴史的な建造物はないし、目当ては国宝の銅造釈迦如来坐像だけなので、ここに辿り着いた方はそれなりの仏像マニアだと思います。古代の丈六金銅仏としては、この蟹満寺の釈迦如来坐像の他は、飛鳥大仏、興福寺(山田寺)仏頭、薬師寺金堂薬師三尊像、薬師寺大講堂弥勒三尊像の5躯だけです。しかしこの中では蟹満寺が圧倒的に影が薄いと思われるので、世に知らしめる為にも島田氏は敢えて選出したのでしょうね。当然それだけ優れているという思いは強いのでしょうが、私にとっては薬師寺金堂薬師三尊像こそが至高と考えているので、正直微妙でした。

今、蟹満寺が熱い！～シンポジウム行ってきました - 観仏日々帖
https://kanagawabunkaken.blog.fc2.com/blog-entry-3.html

㊧　萬福寺の三門
㊨　天王殿

㊧　大雄宝殿
㊨　本尊の釈迦如来坐像と、脇侍の迦葉尊者立像と阿難陀尊者立像

㊧　法堂
㊨　開梆

「日本の近世以前の仏教各派の中では最も遅れて開宗した黄檗宗の中心寺院で、明出身の僧隠元を開山に請じて建てられた。建物や仏像の様式、儀式作法から精進料理に至るまで中国風で、日本の一般的な仏教寺院とは異なった景観を有する（Wikipedia）」

下道で滋賀県の西大津バイパスを利用する時には、大抵は京都外環状線を通る事になるので、その近辺にある萬福寺は、中国風の異質な寺院として常に意識していました。島田氏は宗教学者なので、仏教の受容過程において、明らかに毛色の違った寺院として貴重であるからこそ選出している筈で、日本に居ながらにして異国の文化に触れる事が出来るのは面白いと思います。中国と日本が近しい関係にあるからこそ、逆にその異質さが際立っている様にも思われるし、境内で見掛けた中国人観光客がどの様な感想を持っているのかと興味深くはありました。それと共に伽藍は見渡す限りの重要文化財の数々で、その規模と共に圧倒される思いがしました。しかし幾つかの仏像を目にした途端に強烈な違和感があって、本尊である釈迦如来坐像と脇侍の迦葉尊者立像と阿難陀尊者立像も、帰依するには微妙に思われました。

㊧　清凉寺の仁王門
㊨　本堂（釈迦堂）

㊧　忠霊塔と弁天堂
㊨　鶴の松の庭園

清凉寺を訪れて先ず目に飛び込んで来るのが重厚感のある仁王門で、「嵐山に掛かる渡月橋をまっすぐ北に行くとこの門に突き当たる。その姿から『嵯峨野の顔』とも称される（Wikipedia）」そうです。拝観料を支払わずとも広い境内を散策できる所も良くて、しかし多くの方の目当てはやはり本堂に安置されている国宝の釈迦如来立像でしょう。本堂で400円を支払えば拝観できて、しかも渡り廊下を渡って大方丈や庭園まで楽しめるので非常にお得です。釈迦如来立像は「三国伝来の釈迦像」や「生身の釈迦」とも称されており、像内納入品の中に絹製の内臓の模型があった事で知られています。私は先に西大寺で清凉寺式釈迦如来像の典型作とされる重要文化財の本尊を見ていて、どうにも感情移入のし辛い仏像だなと感じていたのですが、摸刻ではないそのオリジナルを間近で拝する事が出来て、確かに形式ばった仏像ではあるけれども、より人間としての釈迦に近付けた様に思われました。そしてイエスキリスト像の様な釈迦の仏像を、運慶が無著菩薩・世親菩薩立像の様な造形で作り出していたらと夢想していたのでした。

0 0