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2024年02月06日13:40

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映画「パーフェクトデイ」

舞台は東京で主演は役所広司。
そんなことは見る前に知ってたんだが
冒頭の、夜明け前の街の夜景きらめくシーン。
あそこで「ここでないどこか」に連れていかれてしまった。
ここでない、少なくても日本の東京ではない。
あえて言えばアメリカの地方都市かな、でもアメリカには
あんなに狭い高速道路はないし、あんなに整備されたトイレもない。

主人公はThe Tokyo Toiletの専属掃除人。
すけすけガラスで中が見えるトイレのカギをかけると中が見えないすりガラスになる。
そういう不思議なトイレができたとニュースで見たが、
あれは渋谷区のトイレイノベーション企画だったのだね。
それで不思議で使いやすそうなトイレがいっぱいできたわけだ。
不特定多数が使用する場所をいつまでもきれいなままにするのは難しい。
その難しい仕事を、主人公は全くクチをきかずに淡々とこなす。
掃除すべき場所ややりかたはおそらくマニュアルがあるんだろうけど、
主人公は自分で使いやすい道具を選び、自作し、車に詰め込んでいる。

実家がお金持ちらしいこと、
今はボケて施設にいるらしい父親との関係で家を出たこと、
今のアパートに住み、今の仕事を始めたのは7,8年前らしいこと、
がだんだんわかってくるが、この映画の主題はそういうことじゃない。
毎日を、まじめに一生懸命に、自分の好きなように自由に過ごすのは、
とても大事だけど難しい。
難しいものを守るために、何かを選び何かを捨てなくてはならない。
捨てて捨てて、必要最小限の大切なものに囲まれて、過ごす。

なんてすばらしいんだろう。

BGMは主人公が車で聞く60から70年代のアメリカンポップス。
この音楽のせいで、東京の街が「ここではないどこか」に見えてくる。
主人公は、背の高いやせた黒人のおじさんでもいい。
口数は少ないが、ちょっと顔を動かしたり手で動作をしたりして意思を示す。
顔見知り程度だが心が通じる友達があちこちにいる。
決まったやり方でコミュニケーションをとり、お互い安心する。
久しぶりに会った(家出してきた)めいっこの世話をし、
その母である妹に連絡する。
運転手付きの高級車で迎えに来た妹と少しだけ話をする。
ハグして別れる。
モーガン・フリーマンがもう少し若いときだったらぴったりだ。

主人公の車ではカセットで音楽が聞ける。ぴかぴかで新車みたいなのに。
…きっと時間のあるときは一生懸命磨いているんだろうな。
部屋の掃除は濡らした新聞紙をちぎってまいたのを、ほうきではく。
電話はガラケー、風呂は「電気湯」という銭湯の一番風呂、
洗濯はコインランドリーで、待つ間に古本屋で毎晩読む本を探す。
仕事以外で出かけるときは自転車。
…本当は飲酒運転はダメなんだよ、自転車は。
ここではないどこかなのに、なつかしい。

こんなふうに人生を送れたらいいのに。最後まで。
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