《椿宿の辺りに/梨木香歩》
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海彦山彦の物語をベースにしたお話です。
海彦山彦の物語は、全国各地に伝わる
浦島太郎伝説のもとになったものとして知られていますね。
兄である海幸彦は、古事記では火照命(ホデリノミコト)、
日本書紀では火須勢理命(ホスセリノミコト)と呼ばれています。
弟の山幸彦は、古事記では火遠理命(ホオリノミコト)、
日本書紀では彦火火出見尊(ヒコホホデミノミコト)となっています。
伝説では山幸彦の孫が日本最初の天皇である神武天皇、
一方海幸彦は、古代日本の薩摩周辺に居住していた
隼人と呼ばれる人たちの祖先といわれています。
そのことから海彦山彦の物語は、
天孫族と隼人族との闘争を神話化したものという説があるようです。
とはいえ神話や童話の物語が、この小説のストーリーに
直接絡んでくるわけではありません。
主人公は長年患っている肩の痛み治療を切っ掛けに、
古い屋敷やその土地の歴史、
自分たちの名前の由来、血筋を知って・・・というお話ですが、
死者と生きている者が同時に存在する世界観と、
巧みな文章術にどんどん引き込まれてしまいます。
どうやらこのお話、「f植物園の巣穴」という小説と
やんわり繋がっているようです。
でも、そちらは10年ほど前に読んだので内容を覚えていません。
あらためて読み直す必要がありそうです。
痛みは身体的なものだけではありません。
精神的な痛み、心の苦痛というものだってあります。
身体的なものにしろ、精神的なものにしろ、
生きている限り、誰もがなんらかの痛みを抱えています。
あらゆる痛みから解放される死は、
生きている者にとって救いなのだと思います。
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