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2023年11月30日00:00

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信州・小布施町(おぶせまち) 3 「クラブ」「カレシ」とドビュッシーの交響曲と来年登場する新千円札と

 晩秋の紅葉と落葉で色づく町並みは、多くの観光客でにぎわっていました。
 訪ねたのは長野県の北東部、千曲川の水面(みなも)から広がる町、小布施町です。

 テレビの情報番組でこの町が取り上げられていたときに気づいたのは、「小布施」というアクセント。
 語の初めの「お」を高く、強く発するのが関東弁ですが、地元・小布施町の人々の言い方は違うのです。昔の"大人の社交場"の「クラブ」ではなく、今のZ世代がつどう「クラブ」。平坦な発音なのです。「彼氏」ではなく、「カレシ」。「小布施」ではなく、「おぶせ」です。

 「小さい」という字に、布施明の「布施」と書いて「小布施」と読む地名ですが、そもそも小布施の地名の由来はどうなのかと言いますと…、
 これには諸説ありますが、水がからんだ由来もあります。そう。松川です。

 小布施の町は大河・千曲川と横手山を水源とし、千曲川へ注ぐ川、松川に囲まれています。
 この千曲川と松川の合流する地点、逢瀬(おうせ)であったことから、この「おうせ」という言葉が転訛(てんか)して「おぶせ」となった説…。

 また、古代の人々は川に臨む小高い自然の堤防の上や扇状地の上にあり、背後に雄大な山々を背負った地形を、「水を防ぐ」という意味をもつ「坊(ふせ)」と呼んでいました。
 この「ふせ」が小布施の地名の由来となった説もあるのです。


 小布施町と聞いてイメージするものは、「栗の町」、そして葛飾北斎ゆかりの町でしょう。
https://www.youtube.com/watch?v=sCVVCOZBi0g
   小布施でモン活 栗ずくし

 葛飾北斎というと、浮世絵版画の画家として知られていますが、晩年は肉筆画家へと転じているのです。
 北斎が小布施の豪商の高井鴻山(たかいこうざん)に招かれ、小布施へとやって来たのは、画号を「画狂老人卍」と改名していたそのころ、83歳の時でした。

 その後も北斎は江戸から歩いて片道四日間かけ、たびたび小布施を訪れています。

 高井鴻山の支援のもと、高価な金箔を使って描いた岩松院(がんしょういん)の天井絵、八方睨み鳳凰図(はっぽうにらみほうおうず)が葛飾北斎88歳から89歳の作品です。
https://www.daiwaresort.jp/nagano/feature/1055658/index.html
   小布施に行ったなら必見!岩松院の葛飾北斎直筆の八方睨み鳳凰図

 そしてこの大作を完成させると、その翌年、江戸の浅草で長い生涯を終えているのです。90歳でした。

 70年におよぶ創作活動で残した、葛飾北斎の作品は、日本だけでなく、海外でも高く評価され、さまざまなアーティストに影響を与えています。
 エドゥアール・マネ、クロード・モネ、ピエール=オーギュスト・ルノワール、ポール・セザンヌ、エドガー・ドガ、フィンセント・ファン・ゴッホ、ジェームズ・マクニール・ホイッスラー、ポール・ゴーギャンら多数の画家が北斎からの強い影響を受けたとされています。
 音楽家のクロード・ドビュッシーや彫刻家のカミーユ・クローデル、ガラス工芸家エミール・ガレなど、他の分野の芸術家への影響も言及されているのです。
 葛飾北斎の『冨嶽三十六景』の1つ「神奈川沖浪裏(かながわおきなみうら)」をモチーフとしたこれがそう ↓
https://www.youtube.com/watch?v=SgSNgzA37To
   交響詩「海」 ドビュッシー
   Claude Debussy: La Mer (Lucerne Festival Orchestra, Claudio Abbado)

 すでにパスポートでは北斎の「富嶽三十六景」が用いられていますが、来年登場する新千円札にも「神奈川沖浪裏」がデザインされているとのこと。
https://www.adachi-hanga.com/ukiyo-e/items/hokusai040/
   葛飾北斎 富嶽三十六景 神奈川沖浪裏

 …間違いなく世界でもっとも有名な日本人クリエーターである葛飾北斎。
 私もこの人のように生きているかぎり、SNSを舞台として(その時点ではYahoo!掲示板)投稿を続けようと決意した、そんな気概の生まれた、長野県小布施の町への旅なのでありました。
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