アリストテレスはプラトンと異なって都市民の私的生活や個人の自由の余地を認め、財産や家族の共同をしりぞけ、財産の私有や家族生活や結婚生活を尊重し、個人や人格の倫理的意義を認めました。彼はプラトンのようにまっしぐらに絶対的理想を掲げることなく、相対的に現実に即した思想を展開し、政体に関しても、可能な、そのよろしきを得た政体を、中庸を得た民主政治=ポリティア(politeia)に求めました。
すなわち彼は政体を君主政治_(basileia)、貴族政治、中庸を得た民主政治、潜主政治(tyraniss)、寡頭政治(oligarchia)、衆愚政治(demokratis)と分け、そのうち富者と貧者との中間に位する中流階級の支配する政治であるポリティアこそ、政治中の最善のものである、としました。
参照・参考図書
『アリストテレス全集』 全17巻
山本光雄編(編)、出隆(監修) 岩波書店
『アリストテレス入門』山口義久(著) ちくま新書
『アリストテレス』 今道友信(著) 講談社学術文庫
『アリストテレス倫理学入門』
J・O・アームソン(著) 雨宮健(訳) 岩波現代文庫
『ギリシア哲学者列伝 上 中 下』
ディオゲネス・ラエルティオス(著) 加来彰俊(訳) 岩波文庫
『ギリシア倫理学史 上巻―倫理学成立史』
オットマール・ディットリッヒ (著) 橋本隼男 (訳) 内田老鶴圃
『西洋倫理学史』
アラアスデェアー ・マッキンタイヤー (著) 深谷 昭三(訳) 以文社
『西洋哲学史〈第1〉古代 』
ヒルシュベルガー (著) 高橋 憲一 (訳) 理想社
『倫理学概説』 小坂国継・岡部英男 (編) ミネルヴァ書房
次回は「観想的生活」。
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