少年チャンピオンに掲載されたAIブラック・ジャック、AIがどうより、人間側の「誉められたい病」で、大変な事になってたな。
まず、つのがい先生によるキャラクター作画と、池原しげと先生による背景画など、ビジュアル面には不満無し。
カラー巻頭9ページの「いかにしてAIと人間が創作をしたか」と「ブラック・ジャック作品紹介」は良記事。読み応えあり。
しかしまあ、作品が、なんというか。
オリジナルのブラック・ジャックは、面白い作品ではあるが、別に全話が全話「生命の尊さを描いた感動作」ではないのだよ。
むしろ医療パートは見せ物小屋感覚で、黒男先生の人情話で、感動に持って行くパターンが多い。
そこを履き違えると、今回の作品みたいに。
せっかくAIが「人間に近い、完全なアンドロイドをブラック・ジャックが手術する」という「お、GOD手塚がご存命なら、いかにも描きそうだネ!」というプロットを出して来たのに。
人間側が「全身が人工臓器の少女の話」に置き換えちゃって。
「人間と機械の違いとは」
「生命とは」
「機械に支えられる生命は、本当に生きていると言えるのか」
みたいに、幾つも思わせぶりに、問題提起だけしておきながら、作中で解決せず。
ラストに倒れたドクター・キリコを助けて、ウヤムヤにする、みたいな中学生が書きがちな、ひでぇ話になっちゃうんだよな。
(ここは人間側が足したエピソード)
AIの性能がどうのこうのより、「エンタメの敵は、誉められ様とする事である」という事が、よくわかるプロジェクトだった。
プロジェクトに大学の研究室とかを絡めちゃうと、もう宇宙人やミイラを手術する話は、書けないという事だ。
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