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2023年10月23日00:55

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【艶笑奇譚】映画『春画先生』

 
10月20日(金)、ユナイテッド・シネマ橿原にて鑑賞。観客3人。
おじいさん1人、おばさん2人(私ともう1人)。公開2週目で早くも閑散。


公式 https://happinet-phantom.com/shunga-movie/



私は子供の頃から浮世絵ファンだ。
永谷園のお茶漬けのりにパックされていた
広重の「東海道五十三次」ミニカード収集が趣味だった。笑

小学生になって新聞を読むようになると、記事下などで時々見かける
「春画頒布会」の広告に興味を持った。春画って何?

大学生になると浮世絵の美術展(たいていは海外からの里帰り)を観に行った。
けれど、「春画」の現物を見ることは、ほぼなかったと記憶する。

2016年2月、京都の細見美術館で、私は初めて大量の春画を肉眼で鑑賞した。
当時の私は重い病気だったが、2度とないチャンスと感じ、執念で観に行った。


【笑い絵】細見美術館「春画展」  2016年02月26日
 https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1950620437&owner_id=1833905

【友人の友人まで公開の春画展アルバム】
https://photo.mixi.jp/view_album.pl?album_id=500000098435619&owner_id=1833905


「春画」は、驚くほど幅広い上、ユーモアをたたえた奥深い世界だった。
西洋美術に多大な影響を与えたことも随所で感じられた。日本が誇る文化だ。

「大蛸と海女」や「蛸とアマビエ」などは、パターンが出尽くしてしまった末に
「普通に飽きた」人々の歓心を得るため、ひねり出された奇策だ。

紹介作品は数少なかったのに、わざわざそういうセレクトをした映画の作り手に
私はちょっとガッカリした。「春画 = 変態」ではない。一般に誤解を与える。



でも、世にも珍しい艶笑変態映画は、そこそこ面白かった。笑

「局部を大きな文鎮で隠して鑑賞させる」アイデアは、なるほどな!と思った。
でも、あの絵は着物の湿り気云々以前に、まず「枕屏風に描かれた梅の花」に
注目すべきだろうと思った。春画はいろんなディテールの読み取りが大事だ。

「歌麿はプレイボーイで北斎は画狂人」は、浮世絵ファンなら周知の話。
それぞれの生き様が作品のテイストに反映している。


春画先生の住まいはタイムスリップしたかのような世界。美術はとても凝っていた。
主人公弓子(北香那)は勤め先の喫茶店で春画先生にナンパされ、彼の家を訪ねる。
そこで「タダで教わるのは嫌です」と言ったら速攻で家政婦にされてしまう。笑
しかも、絣の着物(なかなか良い品だった)で働けと。毛筆の女中訓を渡された。
弓子はよく台所に立っていたが、いつも鰹節削りしかしていなかった。笑


弓子は春画先生のお供として、春画鑑賞の催しに連れて行かれるようになる。
最初のパーティーで着たレースのワンピースは比較的新しいデザインだったし、
白い厚底ヒールも今の流行だが、バッグはなかなかの値打ち物だった。
あの手のビーズバッグは作れる職人がとっくの昔に消えたため、かなり貴重品だ。

春画先生の亡妻(安達祐実)が使っていた木彫りのドレッサーも立派な品だった。
春画と同様、そうした「ディテールを味わう」ことは本作を楽しむ作法と感じた。


やけに馴れ馴れしい春画大全の編集者(柄本佑)と、弓子は体の関係を持つように。
弓子は春画先生に恋焦がれているのに、若い編集者とばかりセックスしていた。
しかも、彼は情事の声をスマホで春画先生に送っていた。(先生の要望だった)

物語の倒錯ぶりは最初からフルスロットルだったが、あまりにもぶっ飛んでいて
あれあれ、この話はいったいどこへ行くのだろう?と面白可笑しくなってきた。



やがて、北斎の「大蛸と海女」鑑賞会に、亡妻そっくりの女(双子の姉)が登場。
彼女も春画先生の元カノだった。嫉妬する弓子。そして、謎めいたSっぽい姉。
(姉は「ボストンから帰ってきた」と。浮世絵研究家なのだろうか)

「大蛸と海女」を回る寿司みたいに見せる趣向は正直いって意味不明だったが、
あの執拗に書かれたト書きを読み上げるアイデアは(素晴らしい)と思った。
色っぽい女優に読ませるのではなく、あえて枯れた爺さんに棒読みさせていた。

フォト

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亡妻の墓参りとか、春画先生宅でのロマンチックな蛍鑑賞とか、春画買付け旅とか、
いくつかのエピソードを経て、弓子の心と体はどんどん開花していく。

そして、「傑作を譲る条件に、君を一晩貸せと言われた」と春画先生に泣きつかれ、
弓子は「帰ってきたら伝説の七日間を私と過ごしてください」と頼んで引き受ける。

目隠しされ連れて行かれた屋敷で、あっと驚く超ど変態なクライマックスが…!笑

結末はぜひ劇場でお楽しみくださいませ。



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徹頭徹尾「ど変態」を貫いた、大人の恋愛コメディ。
ちょっとレトロな純文学の香り。画面も美しかった。

浮世絵ファンとしては、紹介作品数が少なすぎる上、テイストも限定されすぎなのが気になった。浅薄な紹介で「これが春画だ」と言われるのは残念。
江戸時代の春画は「嫁入りのテキスト」「武運長久のお守り」「火伏せのまじない」「衣類の虫除けのまじない」など、いろんな役割があったのに…。

主人公・弓子が春画先生に借りた付箋だらけのぶ厚い縦長本は、2016年の大英博物館「春画展」図録だ。私は京都の細見美術館であれを読破してきた。笑 高価(13,000円くらい)で重たく、自宅に置くのも憚られたので。

【笑い絵】細見美術館「春画展」鑑賞記
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上半身貧相な(骨格ウェーブ体型)北香那の懸命な体当たり演技に★4を進呈する。

エロダンディな内野聖陽は、放映中のドラマ『きのう何食べた?』ケンジ役とのギャップが激しすぎて驚いた。安達祐実は凄みのある美しさ、柄本佑は飄々としていた。


Filmarks  https://filmarks.com/movies/110099
映画.com  https://eiga.com/movie/99546/


大倉里司さんの感想日記  2023年10月17日
 https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1986150998&owner_id=1471688


【INDEX】映画/舞台 関連日記(3)
 https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1984169789&owner_id=1833905

【INDEX】アート 関連日記
 https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1973808525&owner_id=1833905

 
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