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2023年09月17日21:46

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SARD UNDER GROUNDと私の直接会話　埼玉県羽生市への旅9月10日（日）～あの夏の恋は眩しくて～　絶滅危惧種ムジナモ、コツメカワウソ　オスロ合意　ウクライナ情勢　ZARDの坂井泉水　夜景東京都北区「北とぴあ」

　　　＜埼玉県羽生市への旅　あの夏の恋は眩しくて　2023年9月10日（日）＞

　目次
・第1章　午前中　市内サイクリング　水郷公園でコツメカワウソと出会う。
・第2章　江戸の町並みへ
・第3章　SARD UNDER GROUNDリリース記念イベント
・第4章　物語の結末

　今回の旅の舞台は、埼玉県北部に位置する人口5万4300人（2021年1月時点）の羽生市である。都市圏から外れ、利根川を挟み、北は群馬県板倉町、東側は加須市、西側は行田市と接する。市内は、起伏がなく、真平らな土地を開墾して、利根川の水を引き入れ、古くから稲作を行ってきた。東京都市部の浅草までの所要時間は1時間強、列車一本で都市部へ通える利便性から、プチ田舎暮らしには理想的である。市の方も緑豊かな環境をアピールし、移住者を募っていた。

　写真　掲載元　埼玉の地域情報より

　今回旅のテーマは、ZARDのトリビュートバンドとして2019年9月18日にデビューしたSARD UNDER GROUNDの一曲「あの夏の恋は眩しくて」である。同曲は2021年9月1日に、グループとして3枚目にして、初のオリジナルアルバム「オレンジ色に乾杯」の収録曲、青春を謳歌する男女を描いたナンバーである。

　作詞者は、ヴォーカルリストの神野友亜、彼女は2021年2月10日にリリースされた3rdシングル「ブラックコーヒー」以降に発表したオリジナル曲の作詞を担当した。ZARDの坂井泉水に倣い、恋愛や友情をテーマに物語を紡ぐ。坂井泉水が生きた時代は、昭和から平成に跨る。日本が世界でも経済的に豊かな時代だった。対照的に西暦2000年9月14日生まれの神野友亜は、経済成長を遂げた頃の日本を知らない世代である。彼女が物心ついた頃から、物価上昇とは無縁で、「少子高齢化現象」について政治の場で議論されていた。パソコンは一家に一台は所有し、ガラケーからスマホへと進化し、物事を調べることが楽になった。やがてSNSの登場により、国を越えて、人と繋がれるようになった。昭和の強い女をコンセプトに作詞活動を続けた坂井泉水の思いを引き継ぎつつ、神野友亜は、令和を生きる女性目線から物事を語っている。

　SARD UNDER GROUNDは、デビュー4年目を迎えるにあたり、8月下旬から9月下旬にかけて、全国5箇所でインストアイベントを行う。9月20日に発売予定の6thシングル「役者犬のうた」を先行披露する。リリース記念イベントに並行する形で、9月18日（月・祝）には、Zepp Hanedaで、10月1日（日）には、Zepp Nambaで、年に一度の東阪ライブツアーを開催する。リリース記念イベントの4会場目が、埼玉県羽生市のイオンモールだった。

　同グループが発表した「あの夏の恋は眩しくて」の歌詞を振り返りながら、市内の旅物語と共に、リリース記念イベントの様子を紹介する。

前回SARD UNDER GROUNDのリリイベ　2022年5月18日付の模様
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第1章午前中　市内サイクリング　水郷公園でコツメカワウソと出会う。

コツメカワウソ関連日記

　2023年5月31日（水）世界カワウソの日、札幌のヒグマ、コツメカワウソ、サメの一種シロワニ　その他コロナとインフルの感染者数
　https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1985176797&owner_id=32437106

　9月10日（日）午前8時50分、一人の青年が、東武伊勢崎線の羽生駅で降り立った。9月になり、暦では秋を迎えたとはいえ、残暑厳しく、じりじりと日差しが照りつけた。観光協会で、身分証の提示と引き換えに、自転車レンタルの許可をもらった。地図を広げ、目的地を確認して、出発した。

　SARD UNDER GROUNDが発表した「あの夏の恋は眩しくて」は、遠距離恋愛する若者像が映る。

　Aメロの歌詞：「君が隣にいる相変わらずの毎日は、雨の音がいつもより少し大きく聞こえる」

　好きな人がそばにいると、心臓の鼓動から、雨の音にも敏感に察してしまう。青年は、恋人が待つ「羽生水郷公園」へ向って、田んぼの中の道をひたすら走り続けた。その心境は続く歌詞に表れている。

「過去よりも今　君が君がもっと愛しい、疑ってたくさん無くしたけれど、その度に強くなれた」
　
　離れて暮らしていると、その人が恋しくなる。久しぶりに会うと、これまで気付かなかった些細な変化も見えてきた。

　スマホのナビを頼りにしながら、田園地帯の中のこんもりと緑が生い茂った水郷公園へとたどり着いた。時刻は朝9時50分、広い駐車場のわき道を抜けると、待っていた恋人がそこにいる。

　歌詞：「初めて君と出会って、目があった時のイナズマ」

　再会した恋人の印象は、初対面のように新鮮さがあった。青年は次のように問いかけた。

　歌詞：「大事なものがたくさんできたよ。君からの言葉、思い出の動画」

　時は令和、スマホ一つで、写真や動画が撮れるようになった。X（旧ツィッター）やインスタ、Tiktokとスマホをリンクすることにより、リアルタイムで写真や動画を、アップできる。今では、人気の写真スポットについて「インスタ映え」ともいう。
　青年が、水郷公園で見たかった場所は、絶滅危惧種ムジナモの自生地だった。日本では、1890年に江戸川の用水地で、牧野富太郎により、初めて発見された。世界でもまれに見る独特な生態を持つ。植物分類学上、ウツボカズラ目モウセンゴケ科に属し、本種のみで「属」と「種」を形成する。

　国の天然記念物を保護する観点から、自生エリアは立ち入り禁止だった。唯一見晴らし台から、全体像を望むことができた。一面下草が育つ中、全くムジナモの姿はなかった。青年は、恋人から、公園内の「さいたま水族館」へ入ることをすすめられた。埼玉県の淡水魚を中心に展示されているとはいえ、絶滅危惧種ムジナモを育成しているという。中でも、野外で飼育されている動物分類学上食肉目イタチ科カワウソ亜科の一種コツメカワウソの兄弟は、アイドル波の人気を集めている。水族館でのデートも決して悪くはない。続々と窓口で入場券を買う親子連れを見ると、自分達の将来像を彷彿とさせる。入園料510円、決して敷地は広くないとはいえ、中へと入った。

　
写真＝自生エリア　　　　　　　　　写真＝水族館のケース内

　ムジナモは、透明な水槽の中で育てられていた。プランクトンを捕らえる植物であるとはいえ、一見すると普通の藻のようにうつる。動かない植物であるものの、感覚器官を持つ補虫葉で、動物プランクトンを丸め込み、酵素を出して、栄養源にするという。捕獲速度は50分の1秒、葉の大きさも5mmにとどまる。我々の肉眼では、ほぼ止まっているようにみえてしまう。捕食から、種子を飛ばす繁殖する行動から、命があることを実感できる。

　野外では、子供たちがケージにしがみつくように観察するコツメカワウソの兄弟が暮らす。野生下では、インドや東南アジアに生息する。渓流などにも適応し、魚類や甲殻類を好む。さいたま水族館において、岩を配して、人口の渓流を設け、兄弟が滑っていく様子を観察できる。青年も彼女も、周りの子供たちと一緒に、夢中になって、カワウソを追いかけていた。餌となる貝を掴み、尖った牙で噛み砕く姿から、肉食動物の威厳さえ感じられる。気性の荒さから、ペットにはなりにくいという。

　詳細　羽生水郷公園　https://www.parks.or.jp/suizokukan/guide/001/001095.html

　

　二人は、一端他の来場者に場所を譲り、ベンチに腰掛けた。非日常的な空間から開放され、リラックスできる。夏の日差しを浴びながら、二人は語り合った。

　サビの歌詞：「あの夏の恋は眩しくて、目を閉じたまま愛しあってた、ずっと。悲しい色に染まる前に、いっそこの恋に鍵をかけてしまいましょう」

　離れて暮らす二人、今日一日を共に過ごしても、日が暮れる前には別れてしまう。一抹の寂しささえ感じた。

第2章江戸の町並みへ

午前11時代、水郷公園から、田んぼの中の道を二人で走り、羽生サービスエリアの上り線「鬼平江戸処」へと向った。その名のとおり、周囲一体田畑に一戸建てが点在する環境下で、江戸時代の古き良き、三角屋根の長屋が出現する。鬼平とは、歴史作家として後世に名を残した「池波正太郎」の物語に出てくる人物だという。

羽生駅に着いてから田園地帯を走り抜けてきた青年には、江戸の町並みにひきつけられた。恋人も青年に寄り添いながら、ベンチに座り、水分を補給した。
　

　Bメロの歌詞は、今の二人の心情を表している。

　恋人が青年に問いかけた。「マイペースだね、君が隣で呟いた。いつも通りの瞬く朝、その声は優しかった」

　青年の方も正直に気持ちを伝える。

「遠回りして迷う事もあったけれど、守りたいものは、いつも同じ、今日の風を受けて」

　

　夏の日差しを感じたとはいえ、着実に季節は進み、秋のさわやかな風も吹き込んでいた。田んぼには、収穫前の稲がびっしりと生い茂っている。

　続く歌詞は、恋人から青年への思いを綴っていた。

歌詞：「新しい探し物をしている君の瞳は　あの頃のように輝いている　君となら醒めることはないね」

　若いうちは、体力的にも充実している分、外へエネルギーを開放する。一端都会へ働きに出てきた青年は、故郷羽生市へと戻り、収穫前の稲を見て、自分自身の成長と重なった。故郷へ残した恋人からも、一味違った自分を見せることが出来たのである。結末は最終４章へ続く。

第3章 SARD UNDER GROUNDリリース記念イベント

　ここから私自身の視点に立って、物事を語っていく。実際物語りに出てくる青年と同じ順路を辿った。サイクリングの際、方向感覚を正確につかめず、スマホの地図と共に、時に地元住民に目的地の行き方についてもたずねた。山や谷と共に、高い建物がない分、目印になるものが見つかりにくいのである。サービスエリアの次に向うのは、イベント会場のイオンモール・羽生店である。

　店内の開けた空間に、特設ステージを設定し、ミニライブと共に特典会を行う。主催者は、HMVイオンモール羽生店だった。午後12時30分に、優待エリアの入場が始まり、午後1時から第1部がスタートする。

　セットリスト　第1部

① 君がいない　②　空っぽの心　③役者犬のうた　④負けないで

トークにおいては、埼玉県が推進する自転車が話題になった。海なし県であるがゆえ、魅力の乏しさから「ださいたま」の言葉さえ生まれた。県内では、西部の秩父地方を除き、平野部に位置し、起伏がなく、お年寄りでも自転車に乗りやすい。メンバーは、観衆に向って、「埼玉県在住の方はいますか」とたずねた。川越市や上尾市、県庁所在地さいたま市の名があがった。中には、たまたま買い物の際に訪れ、初めてSARD UNDER GROUNDを知った方もいた。彼女たちは、コロナ禍前の2019年9月にデビューして以降も、インストアイベントを重ね、アピールをしていた。何よりも1000人規模のライブと異なり、客との距離が近い分、直接声を聞くことができる。

　曲の方は、始めに披露した「君がいない」はリリース30周年を迎えたZARDのカバー曲、リズミカルなメロディーがショッピングの空間に響き渡った。2曲目、オリジナルナンバーの空っぽの心は、昨2022年4月から9月末にかけて、日テレ系列のアニメ「名探偵コナン」のエンディングをつとめた。同年5月20日に4thシングルとして発売された同曲は、3月から5月にかけて、全27会場にてリリース記念イベントを行っていた。アップテンポなナンバーにより、一段と会場のボルテージが高まっていた。3曲目の「役者犬のうた」は、一種の物語風の作品である。リリースに合わせて、メンバーは詳しく語った。

　写真＝役者犬の歌のリリースに合わせたオフショット　神野友亜　2023年9月12日 Xアカウント　https://twitter.com/yua_sard/status/1701551891522671076/photo/2

モチーフは、人間の身勝手な理由で振り回された一匹の犬である。主役の犬は、宛てもなく、放浪した末に、とある映画のスタジオに迷い込んだ。一時はスタッフから、保護されるものの、決して心を通わせることはなかった。スタッフは、役者犬としての能力を確かめるために、一方的に命令するのである。芸に秀でていれば、道具として仕えると期待しての行為に過ぎない。意思が強い主役の犬は、命令に従わず、再び捨てられたという。作詞を担当した鮫島琉星氏は、実話を基に描いたという。鮫島氏は、彼女達のプロデューサーである長戸大幸（ながとだいこう）氏に、放浪の身となった役者犬の存在を伝えた。人間の都合で振り回される犬を無くしたいとの思いは、長戸大幸氏の心に響いた。長戸大幸氏は、鮫島琉星氏が作成した詞に、新たに曲をつけた。そこで、若者からZARDの現役時代を知る中年まで幅広い世代に共感を呼ぶ、SARD UNDER GROUNDへシングル曲としてリリースを打診したのである。動物好きの彼女たちは、不幸な犬への思いを、歌を通して伝えることを誓った。今回シングルとして発売する3形態のうち、初回限定版TypeBの3トラック目には、ヴォーカリスト神野友亜の朗読が収録されている。最終4曲目に披露したのは、ZARDで最も知られている「負けないで」である。リリースは1993年1月27日、一般の人々の間でもバブル崩壊を実感し、就職氷河期やリストラ敢行により、世の中暗い雰囲気に包まれた。苦しむ人々に寄り添うかのように、歌を届けたのが、坂井泉水だった。坂井泉水の意思を注ぐ3人と、詰め掛けた観衆が一体となり、ミニライブは終了した。
　続いて、アーティストと対面する特典会へと移る。9月20日にリリースされる「役者犬のうた」を事前予約購入者が対象になった。私は、優待エリアとなる観覧席の外から鑑賞していた。実のところスタッフに、優待エリアの観覧券を持っていることを話すと、開いている席に座るようにすすめられた。丁度一列目の左隅に着席したことにより、係員から最初にメンバーの所へ案内されたのである。

　壇に上り、メンバーの前にくると、まるで来賓を持てなすかのように「こんにちは」と笑顔で迎え入れてくれた。私もしっかり前を向き、頭を下げた。

「失礼いたします。今回イベントの開催により、初めて羽生市へ足を運びました」と前置きをすると、メンバーは「そうなんですね」と頷いてくれた。続けて「天気にも恵まれ、午前中は無事に田園地帯の中をサイクリングすることができました。羽生市へ行くきっかけを与えてくれたことに、この場で感謝を申し上げます」

　メンバーも遠慮がちに、ジェスチャーを交えながら言葉を返してくれた。私は、顔を上げて、本題を切り出した。「ZARDの坂井泉水さんについてお話します」
　ヴォーカリストの神野友亜は「はい」と頷き、続けてくれるように、合図を送った。
「バブル崩壊後、不景気に陥る中、人々を励ましたといわれています。今もなおバブルの崩壊による後遺症は残っています。2020年以降コロナ禍により、閉塞感が漂う中、坂井泉水さんの歌詞は、人々にエールを送りました」
　作詞家でもある神野友亜は、表情が引き締まっているように見えた。彼女のポジションは、坂井泉水と同じくヴォーカリストである。坂井泉水が遺した歌詞を読むことはもちろん、声の出し方なども学んでいるという。坂井泉水に対する人々の考え方は、アーティスト活動においての勉強にもなる。

私は、今の世界情勢を交えながら、坂井泉水の歌詞について話した。「坂井泉水さんは、若者の青春をモチーフに描いています。争いのない平和な世界だからこそ出来たと思います」

　話の内容如何によっては、メンバーの後ろに控えるマネージャーの判断により、すぐに次の人へと回されてしまう。今の私には時間を与えてくれた。

　「ウクライナでは、終わりの見えない戦いが続いています。故郷を追われている人々を考えると胸が痛みます」メンバーもウクライナ情勢は、ニュースを通して学んでいるのか、複雑な心情を抱いていた。ヴォーカリストの神野友亜は、口を真一文字に結んでいた。戦争による悲しみを共有することにより、次への話題へと移りやすくなる。

　「戦地はウクライナばかりではありません。実は30年前、1993年9月13日に、オスロ合意により、アラブ人のパレスチナ政府PLOとユダヤ人のイスラエル政府の間で、お互い領土を認め合う約束が交わされました。平和的な解決が期待されながら、争いが度々起こっています」

　写真＝米ホワイトハウスで演説する当時のイスラエルのラビン首相、右側パレスチナのアラファト議長、左側仲介役の米クリントン大統領　1993年9月13日　(c)AFP PHOTO / J. DAVID AKE
　

　
　杉岡泉水も坂本ひろ美も、ウクライナやパレスチナの人々の境遇について、ニュースを通して知っているのか、同情していた。確かに戦争は自然災害とは異なり、我々ヒトが、民族や宗教を超えて、互いに尊重することにより、解決に向うはずである。パレスチナ問題では、アラブ人の入植地、鹿児島県種子島程の面積に、推定200万人が暮らすガザ地区が、2007年以降もイスラエル軍によって包囲されている。アラブ人は、天井のない監獄に閉じ込められているといわれるほど、ユダヤ人によって行動抑制された。もう一つのアラブ人の入植地、エルサレムのヨルダン川西岸地区は、2002年以降分離壁によって、ユダヤ人居住区との行き来が阻まれた。イスラエル側の一方的な締め付け策により、アラブ人の間では抗議の声が起こり、衝突が相次いだ。イスラエルに対する反感を抱くアラブ人の受け皿になったのは、イスラム原理主義を標榜する政党ハマスだった。2007年にパレスチナ政府の実権を完全に握ることにより、PLOとイスラエル政府との間で結ばれたオスロ合意はほぼ無効状態になった。

写真＝ヨルダン川西岸とガザ地区の位置　掲載元　中日新聞　2022年11月8日
https://www.chunichi.co.jp/article/584324

　私は、以上の経緯を説明した後、最後に締めくくった。「新型コロナとは確かに共存する時代が幕を開けました。一方、戦争については、終わりが見えません。互いに共感し合うことにより、解決に向うはずです。パレスチナやウクライナでは、苦しんでいる人々が沢山います。坂井泉水さんは、人々にエールを送ることができました。SARD UNDER GROUNDの方々も同じくできるはずです。ウクライナやパレスチナに残っている人々に勇気を与えるような、曲を作ってください」

　戦争と音楽をテーマにした私の話に、耳を傾けてくれた。ロシア軍によるウクライナ侵攻は新たな局面に入っている。夏前から、ウクライナは反転攻勢に入ったものの、弾薬が枯渇しているのか、ロシアの防護壁を崩せずにいる。冬を前に、前進しなければ、ますます厳しくなると分析されている。ロシア軍によるウクライナ侵攻により世界の安全保障環境は見直された。ロシアと軍事同盟を結ぶアルメニアの国防省は9月6日付けで、米国との軍事演習を9月11日から20日の日程で開くと発表した。自国の安全保障のためには、ロシアよりも、アメリカを頼りにした方が得策と判断したのである。当のロシアのプーチン大統領は、9月13日に、極東のウラジオストクへ北朝鮮のキム・ジョウン総書記を呼び、4年ぶりに首脳会談を開いた。軍事支援を要請する狙いがあるとみられている。

　　長い歴史の中で、感染症は確かに乗り越えてきた。度々襲う地震に関しても、破壊された町を再建した歴史がある。戦争については、一度始まると、抑制が利かず、互いの厳戒に達するまで、やり通す。戦況が長引くたびに、命を失う人がいることを忘れてはいけない。苦しむ人々に一筋の希望を与えることが音楽にはできる。SARD UNDER GROUNDのメンバーは、坂井泉水と同じく、歌を通して、メッセージを発信していく。

　　私は、イベントの第2部までのおよそ2時間のインターバルを利用して、自転車で羽生駅に程近い観光協会へ向った。自転車の返却を済ませると、同じ建物内の2階にある「キャラクターミュージーアム」を見学した。国の天然記念物ムジナモをモチーフにした羽生市発のご当地キャラ「ムジナモン」を中心に、全国から集めたキャラクターマスコットが展示されている。一誠を風靡した「フナッシー」の姿もあった。

　

　職員からは、私が遠くから来たことに対して、感謝の意思を示してくれた。確かに駅前通りは人の姿がまばらだった。市内において、バス便は少なく、自転車に乗っている人も、歩いている人も見かけない。現に自転車の貸し出しをする市民プラザ前の通りは、人もまばらだった。都会へ人口が流出する羽生市において、観光客を大切にする、おもてなしの心を感じることができた。

　羽生駅からバスに乗り、イオンモールへと戻った。午後3時30分から2部が始まる。

　セットリスト　①DANDAN心魅かれてく。②その結婚正気ですか。③役者犬のうた。④Don’t you see

「その結婚正気ですか」は、東京MXで8月から放送される同名ドラマの主題歌を勤める。MCにおいては、サビの中で、ハートマークを作る振り付けを教えてくれて、観衆は温かい心で満たされた。MCを努める神野友亜は、エスカレーターに乗り、2階から見下ろす観客にも、度々笑顔で手を振り、アピールをしていた。最後に披露する Don’t you seeは、サビの部分において、力強く、腕を伸ばして、観衆からの手拍子を誘う。SARD UNDER GROUNDのメンバーはデビューから4年、コロナ禍により、対面でのイベントが出来ない期間、オンライン生配信を通して、ファンの前に姿を表した。ショッピング街でイベントをすることにより、ファンと直接向き合い、意見を聞くことができる。彼女たちは、一心に、特設ステージに駆けつけた人々の視線を集めていた。

　写真＝メンバー3人　掲載元　杉岡泉美　9月10日付け Xアカウント　https://twitter.com/sugioka_sard/status/1700804486330233169/photo/1
　

　第4章物語の結末

　午後4時30分、イオンの最寄となる南羽生駅から、都会へ帰る列車に乗った。物語の主人公も、日が沈む前に駅に着き、都市部へと戻る。列車が近づくにつれて、慌てて駆けつけた恋人の姿があった。帰りの列車は、一人だと思い込んでいた。そこには君がいる・・・

　向った先は、東京都北区JR王子駅前の北とぴあ17F展望台、眼下には、北の埼玉県へと伸びるJRの線路が続いている。暮れゆく町並みを見下ろしながら、二人は心を一つにした。9月10日の夜景のベストタイムは18時12分から22分の10分余りである。

　あの夏の恋はまぶしくてのBメロの歌詞

　「あの夏の恋は眩しくて、目を閉じたまま愛し合っていたずっと」

　写真＝１９時１４分

　照明が程よく落ちた空間には、夜景目当ての人々が訪れる。さすがに遠慮して、カップルとは一定の距離を置く。二人は展望台から、北西方向へ目を転じた。故郷である羽生市へと利根川が続いていく。

　歌詞：「月明かりに肌を染めた　夜はこの愛に鍵をかけてしまいましょう」

　写真＝18時17分

　都会へ出ても、常に心は故郷にある。作詞者神野友亜は、田園地帯の中、城下町として栄えた滋賀県彦根市から、大阪府へと出て、歌手活動を始めた。年末には故郷へ戻り、家族と過ごし、隣接する犬上郡多賀町の多賀大社へと初詣する習慣があるという。昭和から平成を生きる若者を描いた坂井泉水の歌詞には、フィルムカメラやレコードなど、懐かしいアナログ製品が出てくる。対して令和時代を生きるｚ世代の神野友亜は、2021年2月10日に発売された3rdシングル「ブラックコーヒー」に描かれた通り、21世紀に都市部を中心に流行ったカフェでの恋物語をテーマにしていた。互いに世代は異なるとはいえ、それぞれの時代に生きる前向きな若者を描いていた。SARD UNDER GROUNDのメンバーは、坂井泉水の良さをひき出しながら、音楽活動を続けていく。

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