ネタバレ　「プリキュアオールスターズF」

※この記事には、映画「プリキュアオールスターズF」のネタバレが含まれています。

ご鑑賞済みの方か、見る気がない方だけ、お進み下さい。

「プリキュアで描かれた黙示録」

それが公開中の映画「プリキュアオールスターズF」だ。

監督の田中裕太さんと、脚本の田中仁さんは。

前回組んだプリキュア映画「映画スター☆トゥインクルプリキュア」で、ジュブナイル版「2001年宇宙の旅」ミーツ「惑星ソラリス」をやったので。

今回も、何か、かましてくるな、と身構えていたが。

まず言いたいのは、普通の「プリキュア集合映画」として面白い、という事だ。

放送中の「ひろがるスカイ！プリキュア 」の主人公ソラが、悪夢（伏線）から目覚めると。

そこは見た事のない不思議な世界で、ソラはいきなりモンスターに襲われる！

そこに駆けつける、先輩のキュアプレシャスと、キュアサマー。

お馴染みの、変身からの「あなたもプリキュアだったの」展開が繰り広げられる。

こんな感じで、不思議な世界の四カ所（春夏秋冬モチーフ）で出会った、四チームのプリキュアたちが。

キャンプをしたり、飯盒炊爨したり、列車を追いかけたりしながら、謎の世界の中央にある、お城を目指す！

この前半の「旅パート」が凄く楽しい。

個人的には「トロピカル〜ジュ！プリキュア 」のローラって、誰と組ませても話が盛り上がる、美味しいキャラクターだな、と思いました。

そしてお城のある都市に着いたら。

人間は皆、同じ様な事しか言わない。
お店や建物は、書き割りで中に入れない。

なんじゃこりゃ？と思ってると。衝撃の事実があかされます。


プリキュアオールスターズとは。

不思議な世界に迷い込んだプリキュアたちが出会って仲良くなり。

その世界のゲストキャラクターと出会い。

その世界を苦しめている魔王的存在を倒し。

その世界の人々を救い、現実に帰還する。

この骨組みを、上手く利用し。

この骨組みに沿っていると観客を錯覚させて。

この映画は、中盤で、観客を驚かせる。

実は、時系列がずれていて

「プリキュアオールスターズ」のパターンに沿って展開していると思われた、この映画は。

物語の、終盤からスタートしていたのだ。

そう、プリキュアたちが、世界を滅ぼす存在プリムと戦い。

戦いに敗れ、世界は崩壊し。
人類が滅亡した後の世界で。
今までの物語が、展開していたのだ。

ソラが映画冒頭に見た悪夢は、実際にあった「プリキュアたちが、敗れた戦いの記憶」であり。

彼女たちが旅をしてきた世界は、「一度、壊された世界の、必要な部分だけを組み合わせて作った実験場」だったのだ。

（ちなみに、ここまで役立たずのお嬢様キャラクターの様に描写されてきたキュアアース＝風鈴アスミだけが、この事に気づいていた事がわかり、グッと来る）

「じゃあ、パパやママは……」と絶句するプリキュアたちに、プリムは言い放つ。

「必要のない物は、作っていない」

幼児層を対象にしたプリキュアだから、配慮したセリフですが。

この映画の世界では、人類はもう、滅亡しているんですよ！

君も僕も、もういないんですよ！

という訳で

原作版デビルマンや、ターミネーター もビックリの、人類滅亡黙示録「プリキュアオールスターズF」。

かつて皆が妄想した「プリキュアが負けたら、どうなるの？」が初めて描かれた映画であり。

主人公のソラの脳裏に、敗北の記憶が甦る時。

「吹っ飛ばされるミルキィローズ」というイメージが展開するのがいい。

「yes！プリキュア5GO GO」での追加戦士であり。

ファンには、パンチで地面に大穴を開ける、強キャライメージでお馴染みのミルキィローズ。

もちろん、今回の映画には、ここまで登場していない。

そんな「伝説の強い大先輩」が、あっさりと吹き飛ばされる絶望感！

この映画は、ほんとよく出来てます！

もちろん、人類が滅亡したままでは困ってしまうので。
後半、怒涛の大逆襲もありますが。

ここからのアクションが、凄く、熱いので、全人類は、見ろ。