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2023年08月19日15:07

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甲斐荘楠音の全貌 後期

前期の展示が良かったので、後期の展示も行って来ました。
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↓前期の感想はこちら。
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1985441105&owner_id=429476

沢山展示替えがあったわけではないですが、大観や松園ならいざ知れず、楠音さんの場合、次、いつ纏まった展示が行われるか分からないですもんね。京都画壇の人なので、京都ならまだ機会はあるでしょうが、東京となるとね。
1回観たから、サクサク観られるだろうと思ったのに、結果4時間くらいいたという(^_^;)。あれだ、映画の予告編映像をほぼほぼ又、全部観ちゃったからだ。

私は、楠音さんの絵の多くは自分の自画像なんじゃないかな?と思ってます。自分が女性の姿になって、それをモデルに描いたからってのもあるのかも知れないけれど、それ以上に、絵にじんわり本人が滲み出てくるんじゃないかな?
前期もあったけれど、冒頭の『遊女』の絵。これもじーっと観ていたら、楠音本人に観えてきた。

後期展示の『露の乾ぬ間』エキゾチックな顔立ちの女性。1本弦が切れた三味線を持ち佇んでいる。後ろは神社なのか?賽銭箱が見える。女性の表情は少し笑んでいるようにも見え、悲しんでいるようにも見える。傍らには扇と撥もある。
とても詩情豊かな絵で、スッキリしたデザイン画のよう。横に『横櫛』が並んでいたけれど、同じ絵師の絵に思えないかも。着物の鹿の子模様も美しく、私はとても気に入った。

『金針を持つ女』エキゾチックな仏像のような顔の豊満な女性像。裸婦。手には編み棒だろうか…金針を持っている。髪飾りもエキゾチックで、菩薩がつけてる飾りのようにも見える。しかし、何故に背景をこんなおどろおどろしい配色にしたのだ楠音さん(^_^;)。赤、青、緑が混ざったおどろな感じで。この辺り、やっぱり楠音さんだと思う。

『青衣の女』後期のみの展示で、これが観たくて行きました。良い絵だった。屏風絵。緑の着物に赤い帯の女性が座っている。モデルは学友の丸岡比呂史の妹トクで、楠音とトクさんは結婚の約束をしていたらしい。でも、この絵が描かれた翌年、トクさんは別の人と結婚してしまった。解説に「青と赤の配色の衣は、聖母マリアの象徴なので、聖母マリアなのかも?」とあった。楠音さんは、トクさんを聖母と捉えていたのかも知れない。トクさんの写真があったのだが、写真のトクさんは細身で可愛らしい感じの人だけど、絵の女性は、ややぽっちゃりで貫禄があるようにも見えた。でも、顔は寂しげだったな。

前期展示にもあったが『櫓のお七』。可愛いお七さん。横に描かれた男性はお七の想い人かなぁ。でも、丁髷だな。お七さんの想い人って、お寺のお稚児さんじゃなかったっけ?あまり楠音の絵っぽくないかも。講談雑誌の挿絵テイスト。火には巻かれているが、可愛いお七。

民生歌舞伎公演プログラムの裏(かな?)に、“全部片づける”“去年の秋(片付け火鉢のところ)”とか書いてあるのだが、これって、舞台進行に関するメモなんだろうか?舞台監督が出す指示みたいで。

衣装展示も少し展示替えがありました。丹下左膳の衣装がまー恰好良い。文字が書かれた着物。“諸行無常”とか“至人無 為大聖”とか書いてある。解説に「手書き」とあったが、美術スタッフさんが字を書いたのかな?(字を専門に書く人もいそうだけど)

旗本退屈男 謎の暗殺者のプレスの丘さとみさんと花柳小菊さんのお色気対談が面白過ぎて全部読んでしまった。何回「お色気」と言うんだ、この人達(笑)。丘さんが「私は顔が丸いから、マンガみたいな花魁になったらどうしよう?と思ってた。」とか、花柳さんが「野性のあるお色気」とか言ってて面白い。謎の暗殺者は、会場に予告映像が流れていたと思う。丘さん可愛かったよ。
そして、私は鳳城の花嫁という映画が気になる!お殿様が用心棒に化けて花嫁探しするやつ。面白そう。
『雨月物語』コーナーも又じっくり観て来た。

映画のメモスケッチもちょっと展示替えしてたと思う。錫杖持った人物の横に「デロリン祭文(サイモン)」と書いてあって、これ何だろう?と。楠音さんが書いたのよね?「長襦袢ステテコ女物」とも書いてあった。これは衣装の指示だね。

そして、私はやっぱりスクラップブックが好き。面白い!!ずっと観ちゃう。
ヌードのピンナップガールがあるかと思えば、麗子像の絵があったり、ホイッスラーっぽい絵もあったり。丸山(美輪)明宏と三島由紀夫の2ショットの写真があったり、若かりし頃の立川談志の高座の写真があったり。イケメン俳優の写真や、お芝居のシーンを写した物も多数。
私はどうしても、にこるんが宣伝してた、創作のヒントを出してくれるアプリの画像みたい!と思ってしまうのだが、現代アートにも観える。てか、これは、このままスクラップブックという作品だと思う。
X(旧ツイッター)に「みうらじゅんじゃん!元祖みうらじゅんじゃん!」という呟きを見つけ、笑うと同時になるほどとも思った。

最後の未完の大作。又、じっくり観て来た。『畜生塚』の迫力。ドラマチックさ。『虹のかけ橋(七妍)』の太夫たちの着物の模様の細かさや艶やかさ。そして、最後の太夫の絵にも私は楠音本人の面影を見るのである。
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『あやしい絵展』で撮影した“畜生塚”。

未完の作品もあれど、楠音さんは、興味のままに自分の好きな仕事をしているように見え、結構幸せな人生だったのではないかなぁ…と思う。
彼にとっては、絵を描くのも、映画の衣装を作るのも、自分が女性になってポーズをとるのも、全部表現の一つで、並列に並んでいるんだろうなと思えてくる。彼の中では表現で何が上とか下とかそんな野暮はないんだろう。

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後期でも、グッズをちょい足しで購入。楠音さんのポストカード作ってくれたのは嬉しかったけど、「どうして女形のやつ作ってくれなかったの〜」とは思う(^_^;)。女形の楠音さんポストカード欲しかったなぁ。あと、やっぱり男性のヌードデッサンも観たかったなとは思う(男性器描いてるのは無理だとは思うけど)。

展示は8月27日までです。
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