何年生だったか失念しましたが、小学生の時に川崎重工業の社宅に住む山本君の家に遊びに行ったことがあります。ボクたちが「かわじゅうてっきん」と呼んでいた、ごくありふれた白い箱状の団地でした。
それから二十年ほど後に、団地が何棟も建ち並んでいたところ(兵庫県神戸市東灘区の住吉川東岸)は再開発され、大規模なマンション「オーキッドコート」が建設されました。
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これがメチャメチャ高級で所謂「億ション」。その豪華なことと言ったら！
寿司屋や中華料理店がある(住人専用？)、サウナもゴルフレンジも20m室内温水プールもある、敷地内に川が流れ池や滝もある、という具合です。
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ラウンジもすこぶる広く、コンサートを開催していましたね。行ったことはありませんが(畏れ多くて)。
この億ション、パンフレットを貰いました。モチロン冷やかしでね。そこに掲載されていた最安値の物件は忘れもしない95m2のワンルーム、9200万円。なぜかトイレが3ヶ所もありました。
デベロッパーがこの億ションを計画した時は未曾有の好景気だったのでこのような高級物件は売れると踏んだのでしょうが、完成して分譲を始めたのは1992年の春。その頃には景気が下向きになっていて売れ残りワンサカとのウワサが。
そう、世間では既にバブルが弾けていたのです(1991年2月)。余韻が続いたのも1992年2月頃までです。
1985年9月22日のプラザ合意(先進5ヶ国による為替レート安定化策)以降、アメリカの貿易赤字削減・輸出競争力増強のために円高・ドル安が誘導され、$1＝￥240前後だったのが1年後には￥150台になりました。
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こんな急速な円高下でも金利は5％に据え置かれ(高止まり)、利息が重くて借りることを躊躇する企業が続出した結果、お金の流通量は抑えられて(金融引き締め状態)インフレ率は低下しました。
「こりゃ逆行するぞ。近いうちに金利が下がりインフレになる」と予想した投資家が「利子が減って銀行預金ではカネは増えなくなる。モノ(資産)に移行しよう」と不動産や株式に投機するようになりました。
実際に翌1986年になると、投資家の予想通り金利は下がり(借りやすくなって企業のフトコロにはカネがジャブジャブ＝金融緩和)インフレに。資産がどんどん高くなるバブル景気が始まったのです。1986年12月です(1991年2月まで)。
インフレと資産家の投機の結果、株価はみるみる上がり土地やマンションの価格も天井知らず(東京都の山手線内側の土地だけでアメリカ全土が買えると言う経済アナリストも出てくるほど)。個人も企業も不動産投機に走りました。その象徴が1989年に三菱地所が8億4600万ドル(約1200億円)で取得したニューヨークのロックフェラー・センターですね。
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今日より明日、明日より明後日と毎日カネが増えて世間が浮かれていましたから、資産を持っていない人たち(恩恵はない筈)も金持ちになったように錯覚して、皆さん羽振りが良いことと言ったら！
会社の近くの飲み屋はどこも連日満員で帰宅はみんなタクシー。それも一万円札をちらつかせて流しの空車タクシーを停車させるんです。
銀行もロクに審査せずに誰にでも貸すもんだから、ゴルフ場の会員権を買い漁る人も。
(次回�△愨海�)
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