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2023年07月11日22:04

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【映画】『キャロル・オブ・ザ・ベル 家族の絆を奏でる詩』

1939年、ポーランド領スタニスワブフ(現ウクライナ、イバノフランコフスク)。ユダヤ人が暮らす母屋に、店子としてウクライナ人とポーランド人の家族が引越してくる。歌うことが得意なウクライナ人の娘ヤロスラワ(ポリナ・グロモヴァ御嬢様)は「キャロル・オブ・ザ・ベル」を歌うと幸せが訪れると信じ、大事な場面ではいつもその歌を披露していた。やがて第2次世界大戦が勃発すると、スタニスワブフはソ連軍やドイツ軍の侵攻を受け、ソ連に占領されてしまう。



東京都並びに文部科学省選定(青年、成人向き)、そして「次世代への映画推薦委員会推薦映画」と華々しく御墨付きが付いた作品ですが、この映画を御家族で観ることは本当にお薦め出来かねます。予告編から受けた印象からは想像も出来なかった程ヘヴィーな作品でありまして、親御さんは良くても御子様からの質問攻めに遭うこと必定です。
以下、大幅に内容に触れますので改行致します。



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今回この映画の監督を務めたのがウクライナのキーウ在住のオレシャ・モルグネツ=イサイェンコ監督であり、劇場用長編映画二作目とは俄かに信じられない程、画面の配色と構図が完璧でして、此処迄秀逸な映像は久々に御目に掛かりました。例えば物語前半では赤いドレスを着ていると室内の壁が補色となる緑色だったり、アンドリー・モストレーンコさま演じた音楽家がキャバレーにて『リリー・マルレーン』を歌うところは、観客席を三角形の構図で切り取っていたり、またユダヤ人の大家さんが保有していた建物の階段の踊り場にはアール・ヌーヴォー形式のステンドガラスが入っていたり、良い意味で絵画的な構図と配色に溢れているのです。

そして、1978年のニューヨークから回想が始まるところも、「大河浪漫」大好きな自分としては、ツボを押されまくりでしたが、まさかラストで繋げてくるとはこの映画の脚本家のトマシュ・ソブチャク先生の力量が遺憾なく発揮されているところであり、大家さんがユダヤ人であったことが後半での招かれざる入居者への伏線と繋がってくるのは流石だと感じました。


この映画に一貫しているのは「子供には罪は無い」と言う事でして、招かれざる住人の父親と母親は戦況が悪化すると、何と我が子を見捨てて逃げて行ってしまいます。それでも、その子を引き取ったのは良いのですが……と言う事で、ナチス・ドイツよりもスタリーニズム禍のソ蓮の方を悪者に描いている事に今の情勢を重ねてしまうのは自分だけでは無いと思いました。


それにしても、ラストで三人が揃って、辛かった「あの時」に一瞬戻ると言う演出は、なんだかんだと大変だったけれども「あの時」が一番幸せだったんだなぁと、ティッシュペーパーを手にした自分が居たのでありました。


https://carolofthebells.ayapro.ne.jp/


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