２日目　イダの浜へ　巨大ウミガメとの遭遇

　旅行記　２日目

　朝食後、港のバス乗り場へ向かう。８時ちょうどのバスに乗る。
　西表島の路線バスは2台で運行しており、4往復のダイヤ。本数は少ないのだが、うまく利用すれば割と使えると思う。ただ、利用客はものすごく少ない。正直、採算が取れているとは考えられない。地元民も使っているのだけど、たった４往復では生活にはかなり不便と言わざるを得ない。せめて１時間に１本のダイヤを組めれば買い物や通勤通学にもある程度使えるだろう。しかし、島の人口は４０００人ほど、バス路線は４０ｋｍ以上の長さがある。低い人口密度で利便性を追求するのは根本的に無理だし、かといって観光客頼みでは戦略的に無理がある。貨物輸送などを取り入れて収益向上を目指すという方法もありそうだが、バスの運転手にそうした作業をこなすようなシステムはやはり難しいだろう、鉄道とは大分勝手が違う。
　バスは島の周りを反時計回りに回って、大原から上原方面に、そしてさらに西に進んで終点の「白浜」まで行く。９時３０分に到着。１時間半もの旅だが、途中で休憩はない。
　ここから今度は船に乗る。他の島に行くのではなく、西表島の中なのだがこの先には「道路」が通ってない。１０時５５分の船に乗り１０分足らずで「船浮」の集落へ到着。何もない辺鄙な場所なのかと想像していたのだが、割と生活感があって建物も沢山ある。常時住んでいる人は少ないのだろうけど、長期滞在できそうな民宿のようなものもいくつかある。学校もある。
　この集落を抜けてさらに一山越えると「イダの浜」がある。道は良く整備されていて、途中のジャングルには植物の名前が書かれた札もあり、天然の植物園と言ったところ。熱帯の植物や美しい花、チョウチョなどが楽しめる。しばし歩くと浜に到着。全長は３００ｍほどもあろうか、白いビーチが広がっている。同じ船に乗ってきてこのビーチへ来た人は６・７名といったところ。それが今ビーチにいるすべての人。
　海水浴をするにはとてもいい場所。ただし、海の家などはなく、勿論シャワーもトイレもない。本当に何もない、ただ白浜と静かな海が広がっているだけの場所なのである。アクセスさえ良ければ、物凄く沢山の人が訪れるだろう。仮に昨日１４時２０分の船に乗っていればギリギリ昨日のうちに船浮の集落までたどり着けたから、やる気があれば１泊２日で行けない場所でもない。でも、そんなことをするのはもったいない。この島の、ゆっくり流れる時間に身をゆだねるのがいい。

　海に入ってみると下が砂地なので魚は少ない、少し沖の方に泳いでいくとサンゴがあってそこには様々な魚がいる。しばらく魚を見ながら泳いでいると、１５０ｍぐらい離れた場所で一人の女性が、

　「カメがいる」

　と叫んでいる。
　
　亀がいる事実を伝えたいようだが、１５０ｍも泳いでいる間、カメがその場所にとどまっているわけもなかろう、、、、

　のんびり泳ぎながらその女性の方に向かうことにしたのだが、５分ほどして彼女がまた

　「カメさんがいますよー」

　と叫んでいる。
　どうしても、カメがいることを伝えたいらしい。

　仕方ないので、まじめに泳いでいくことにした。
　とはいえ、どんなカメがどこにいるのかもわからない。沖の方に泳いで逃げたら見つけられないままということもあるので、ちょっと沖の方に回り込むように泳いでいく。
近くまで行くと澄んでいたはずの水がかなり濁っていてあまりよく見えない。その中に突然、体調1.5ｍほどのカメの泳ぐ姿が、、、、

　カメは海面で呼吸すると、また潜って海底の草をむしゃむしゃ食べている。
　その草を食べる様子はウマとかシカが草を食うのとそっくりだった。

　ウミガメの種類までは分からなかったが、海の中で泳ぐウミガメを生で見たのは初めて。１５年ほど前にグアムで、「サンゴ礁の外にウミガメがいる」という情報に乗せられて、沖合まで泳いで行ったら、そこは太平洋の真ん中、死ぬかと思った。みたいな経験があるだけで、ウミガメにお目に掛かれたことは一度もない。なんか突然すごい経験をした。

　お昼は家から持ってきた行動食。業務スーパーで売ってるカロリーバーみたいなもの。それと昨日買ったバナナとパイナップル。
　午後も　少し泳いで、あとは砂浜の木陰でのんびりする。

　帰りは１５時３０分の船に乗り込む。学校が終わって小学生や先生たちも乗り込んできた。白浜港へ戻ると、15時50分の最終のバスが既に待っていた。またバス旅で戻る。
　途中、橋の上からピナイサーラの滝が見えた。その後、カンムリワシが飛来したとかでバスに急ブレーキが掛かるトラブルがあったが、ワシとは接触しなかった模様。カンムリワシを見ることは出来なかった。

　宿に戻ったら、スーパーで購入したオリオンビールでご馳走をいただいた。すっかり疲れたので布団に入る。

　おやすみなさい。