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2023年05月10日20:35

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徒然読書日記23-19《去年の雪／江國香織》

《去年の雪／江國香織》
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https://booklog.jp/users/besokaki-arlequin

本のタイトルから
中原中也の〝こぞの雪今いずこ〟を連想し、
悲しいお話かなと想像しながら
読みはじめたら違いました。
こんな小説がよく書けるなぁ。
発想がすごいなぁと感心せずにはいられない、
びっくりするような内容でした。

この物語には大勢の人が登場します。
名前も覚えきれないくらいです。
数えてはいませんが、
おそらく100人をはるかに超えるのではないでしょうか。
中にはほんの少し、
人間ならざる者も混ざっていたりします。

この小説では、
登場人物の日常の一コマが、
それぞれの視点で語られます。
そこで次から次に語られるのは、
なんでもない
取るに足りない日常の断片ばかり。
いいかえれば、
個々の人生の一部分を切り取ったものです。
でも、このバラバラなお話が、
何かの拍子にふと繋がったりします。
ときには時空を超えてリンクしちゃうのです。
各々のお話はなんてことないのですが、
読み進めていくうちに、
それらがひとかたまりとなって
大きな意味を持ちはじめます。

あぁ、これが
命のいとなみなのかも・・・という思いがしました。
命は生まれて、生きて、死ぬ。
生命の神秘は、
その繰り返しにあるのかもしれません。
ひとつひとつの命は、
まるで雪のひとひらのよう。
いま、この地球上にある命も、
200年後、300年後には、
すべて入れ替わっているはず・・・。
でも繋がっている。
そう考えると面白いですよね。
命はただ、生まれて、生きて、死ぬもの。
けれどずっと繋がっているもの。
そこに意味など求めてはいけないのかもしれません。
だって、答えなど得られないのですから。

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