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2023年03月17日21:40

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【映画叙景】ああ、生き難い人生

『夜明けまでバス停で』('22/91分)…3/16(第七藝術劇場)
ストーリー説明なし、ネタバレ少しあり

2022年キネマ旬報ベストテン第3位、高橋伴明監督作品。
見逃していた作品で、第七藝術劇場の下の階にあるシアターセブンというミニシアター(初めて行った)で丁度再上映されていたので、観に行ってきました。
いやぁ〜、見逃さなくて良かったぁ。今の社会問題がてんこ盛りの内容でしたが、今のというよりもっと普遍的な問題でもある様な気がしました。
勿論、コロナ禍の社会をいち早く取り上げ、今の問題点を浮き彫りにした映画を観たのは私は初めてですが、それよりも私が身につまされたのは主人公のキャラというか性格や性質の問題の方にありました。
いつもの私の感想なら、この作品から今の社会問題を色々と解析して行くといった感じの事を書き綴って行くと思いますが、今回はこの主人公の性格について色々考えて行きたいと思っています。
何故ならこの人に私は、男女の違いはあれど色々な共通点を感じてしまったからです。いや、違う部分の方が多いのですが生き方が不器用な点で凄く似ている気がしました。
自分で言うのもなんですが、そんなに馬鹿でもなく、仕事も適度に出来る、非常識なこともしないし真面目な方でもある。人付き合いが上手いか下手かは別にして、人に対して横柄でもなく、優しい方でもある。
正直言って、社会生活においてこれだけの性質が揃っていれば、普通の生活が出来る資格はあると、建前的には必要最低限の条件はクリアしていると思っています。
しかしながら、こういう人間でもこの作品の様に社会の最下層にまで落ちてしまう事実というのが、そもそも一番大きな間違いなのだという問題提起の様に思えたのです。

作中のホームレス仲間も根本的に決して馬鹿ではなく、それなりの教養もある設定だったし、逆に悪役の従業員の退職金をネコババする上司や、ホームレスなどペット以下などと公言するインフルエンサーのダイゴならぬケンゴや、インフルエンサーに洗脳されるネット民など、人間的には下種やクズであっても社会では適度に豊かに生活できてしまうという、こうした社会システムに本当に問題はないのか?という疑問を私は若い時から持っていました。
で、私はなんとかこの歳までホームレスにはならずに生きてこられた理由や、彼女と私の微妙な違いを考えると(最低限の)世渡りのヒントが見えてくるのかも知れません。
例えば私、ロールプレイングゲームなどをする時に、最初は攻撃力より防御力の方ばかりを強力に上げてしまう癖がありました。その癖は実生活においても同じで、ホームレスにならない(なる覚悟がないため)を人生の優先順位の最上位に置きそれを目標に生活をしていたので、なんとかそれだけは免れたという事だけなんです。
なので、彼女の様に人の名義のカードで買いまくる別れた旦那の借金返済をしたり、生活が出来なくなっても頼まれるとお金を出してしまうというほど人が良くもなかったし、社会も人間も根本的には信用してはいけないという姿勢は崩せませんでした。彼女に私くらいの危機察知(回避)能力があれば良かった(?)のにと少し歯痒かったです。
なので私の今までの人生は決して豊かでもなく、人間としての真の喜びも分からないままであったかも知れませんが、でも本作の様な善良な人間のどん底人生や、クズ人間の自己満足人生よりはましな生き方だと自分に思い込ませています。
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