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2023年02月26日17:14

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憲さん随筆アーカイブス 野村芳太郎監督の映画『砂の器』はなぜ傑作なのか? 2019年版ダメダメドラマ『砂の器』との対比から考える!

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※この随筆は2019年3月29日に執筆したものに加筆修正しました。

※画像は映画版『砂の器』のポスター

昨日の少年隊東山紀之さんの『砂の器』みた?

こちら

2019年版フジテレビ『砂の器』
https://www.fujitv.co.jp/sunano_utsuwa/index.html

憲さんたまたまチャンネル合わせたらやってたので結局最後まで観ちゃったけど・・・

結論から言うと・・・

全然ダメダメ〜っ!

もー、滅茶苦茶だよ。

あれじゃ、松本清張の原作「砂の器」が台無しだよ。

生きてりゃ110才になる清張さんも草葉の陰で怒ってるよ。

(´Д`)=*ハァ〜

『砂の器』は野村芳太郎監督の映画が有名だけど、あの映画は憲さんに言わせれば歴代日本映画ベスト3に入る最高傑作だし、原作者の松本清張をして「原作を越えた」と言わしめてるからね。

参考

【砂の器】
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E7%A0%82%E3%81%AE%E5%99%A8

じゃ、今回のが何がだめだかって?

どうせ、もうみないでしょ?
だからネタばらししちゃうからね。

憲さん原作は読んでないから、あの傑作映画版との対比になるのだけど・・・

映画では殺人事件の発生が当然ながら昭和の設定で国鉄蒲田操作場。

今回のドラマは現代(平成)の設定で渋谷のハロウィン会場。

もうそれだけで興を削がれる。

刑事も今風で映画で丹波哲郎が演じた本庁捜査一課の今西刑事を東山さん、映画で森田健作演じた所轄の刑事を若い役者が演じているが、丹波哲郎、森田健作があれだけ靴の底をすり減らして歩いて捜査しているのに対して今回のドラマはスマホと録画ビデオ捜査。

トホホ・・・。

犯人、和賀英良を映画版は円熟の加藤剛が演じたが、今回はジャニーズの人でこれまた演技が下手。それに、まだ役柄も若すぎて人間に円熟味がない。

被害者の三木謙一は映画は元警察官だが、ドラマでは児童養護施設の職員となって、映画では退職後の伊勢参りの途中で上京して犯人の和賀英良に会いに行くのだが、ドラマでは海外帰りの成田空港の帰路となっている。

和賀英良の愛人が犯人のシャツを捨てるシーンは映画では中央線、ドラマではわたらせ渓谷鉄道と国鉄の主要路線から観光鉄道に設定変更されていて、愛人の死亡原因は映画は流産、ドラマでは自殺となっている。

などなど、当然昭和の設定から現代に舞台を移している故に細かい部分も含めいろいろと変わっている。

ただ、犯人が天才作曲家であること、婚約者が閣僚の娘など、さらに犯人を突き止めるキーワードの「亀嵩(かめだけ)」など映画との一致点も多い。

しかーしっ!

この、映画の本質はなぜ犯人和賀英良が被害者三木謙一を殺さなければならなかったというところにあり、それは自分の出自と生い立ちを隠蔽するために、命の恩人でもある三木謙一を殺さなければならなかったことにあるのだ。

そして、映画では原作に基づき、それを国家が主導して患者をいわれなく差別してきたハンセン氏病(癩病)のためだと設定しているのである。

参考

松本清張と『砂の器』
http://kagawa-jinken.org/smarts/index/69/detail=1/b_id=393/r_id=6/

※ちなみにこの映画について、「隠すべき〈社会的負性〉の象徴としてのハンセン病という偏見自体が、同作の中で全く疑われていないのは問題であろう」との意見もありこれについては耳を傾ける必要があろう。

参考

松本清張著 『砂の器』とハンセン病
https://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/prdl/jsrd/norma/n278/n278015.html

閑話休題

故に、この『砂の器』という映画はサスペンス映画というジャンルを越え社会の矛盾を痛烈に批判した社会派映画として燦然と映画史に輝き続けているのである。

また、その過程を明らかにする捜査会議での丹波哲郎演じる今西刑事の報告とオーバーラップするかたちで、犯人であり天才作曲家和賀英良が自分の過去を振り返りながら奏でる『宿命』の協奏曲とそれに重なりスクリーンに映し出される、癩病の父、加藤嘉演じる本浦千代吉と和賀英良こと本浦秀夫の全国を行脚して廻る孤独ながらも親子が差別されながらも心通わせた遍路姿が映画を観る人の心を揺さぶるのである。

まさにこの映画こそ、映像、脚本、役者、音楽が一体となった総合芸術の極地であろう。

しかーしっ!

振り返るに、今回の犯人の和賀英良の生い立ちは、幼少のころ兄が幼女を殺害して殺人者の家族をもち、さらに父親の本浦千代吉もその事件を契機に殺人を犯してしまうという、未成年が犯人だった神戸児童連続殺傷事件や、宮崎勤事件を彷彿とさせる設定で、ちっとも犯人に感情移入できやしない。

さらに、映画では和賀英良が戸籍を変える手段として大阪の空襲という戦災に設定してさもありなんと思えるのだが、今回のドラマは豪雨災害ととってつけたよう。

その上、ドラマは遍路姿がさらにとってつけたよう。

映画版に対するオマージュなのかもしれないがちっともオマージュになってやしない。

だめ押しは映画の加藤嘉演じる父親本浦千代吉を今回は柄本明が演じるのだが、憲さんにとっては彼の「バカ殿」や「寅さん」のイメージが強すぎて、笑ってしまう。というかあの役は加藤嘉を越える演技は誰にもできないでしょう。

参考

【加藤嘉】
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E5%8A%A0%E8%97%A4%E5%98%89

だめ押しついでに、映画では本浦秀夫の来歴を合同捜査会議で報告する丹波哲郎演じる今西刑事が、感極まってもらい泣きするのであるが、今回のドラマも東山さんが泣くのだが、「は〜?何で?」って感じ。

そして、ドラマでは結局、映画のタイトルがなぜ『砂の器』かわからずじまい。

総じて映画は、脚本の善し悪しであり、私の独断と偏見で想像するに映画版は巨匠橋本忍と山田洋次が一年近く練りにねって脚本を作ったのに対して、今回の脚本は映画専門学校の生徒が卒業課題に3日かけて現代版に仕立て直したって感じ。

こんなの作っちゃ、原作者の松本清張さんにも今はなき橋本忍先生にも申し訳ないでしょうに。

参考

【松本清張】
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%BE%E6%9C%AC%E6%B8%85%E5%BC%B5

【橋本忍】
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E6%A9%8B%E6%9C%AC%E5%BF%8D

フジテレビには猛省を求めたいですな。

あんなドラマ作る時間あったら、映画版をノーカットで放映した方が全然有意義ですな。

是非ともみなさんには、映画版『砂の器』を観ることをお勧めします。

参考

映画『砂の器』シネマコンサート予告画像
https://youtu.be/qMMeRDsKW4I

あの映画は必見です。

ラストの丹波哲郎と森田健作のやりとりも深く心に響きます。

いや〜

映画って本当にいいですね!

( ̄ー ̄)ムフフ

どーよ?

どーなのよっ?

※参考サイト

“東山紀之VS中島健人”新たな視点で描かれるスペシャルドラマ「砂の器」今夜放送
https://s.cinemacafe.net/article/2019/03/28/60895.html

東山紀之&Sexy Zone・中島、『砂の器』出演も「最悪」「ぶち壊し」と批判噴出
https://www.cyzowoman.com/2019/02/post_222199_1.html

暗闇の中に世界がある ーこの映画を観ずして死ねるか!ー
http://blog.livedoor.jp/sinumadeni-mitaieiga/archives/16644631.html
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