mixiユーザー(id:7640532)

2023年01月18日22:52

33 view

第5924話  煎れたてぬるめ

どうも、ともんじょです。

日本語の一人称っていうのが世界に比べて格段に多いっていうのは有名ですね。
「わたし」「ぼく」「おれ」「あたい」「わがはい」「うち」などなどなど・・・
使うワードによってその人の地位や育ちや地域までわかってしまう不思議な用法です。
しかしながら英語は「I」なわけです。
翻訳本なんかを読むとそこの使い方が翻訳家のセンスを感じさせる要素でもあります。
ハリーポッターでもスネイプ先生の「我輩」やヴォルデモートの「俺様」は印象的でした。
で、今回読んだ翻訳SF小説の一人称がここ数年で一番印象的でしたね。
「I」をいかに翻訳するか、一応説明すると、主人公は人型の警備ボットです。
一応顔や肌の作りは人間に似せてあります。
ちなみに、このボットは過去にプログラムの故障で五十数人殺害しています。
命令を守るようにプログラムされていますが自主性があります。
趣味はダウンロードしたドラマを見ること。
さあ、どう訳する?
今回読んだ「マーダーボットダイアリー」では、
「弊機(へいき)」と自分のことを呼んでいます。
弊機の一人称視点の日記風で物語が進んできます。
御社・弊社の弊です、謙譲語ですね。
そんな自称「マーダーボット」がある事件に巻き込まれる話です。
警備ボットとして参加していた惑星探査で正体不明の暴走警備ロボットが襲い掛かってきてクルーを守りながら警備ロボットを倒します。
この事件の裏には惑星開拓に関する大企業の思惑が隠されていました。
事件に巻き込まれる中で弊機とクルーの間で絆が生まれるんだけど、弊機は正直それを疎んじます。自由を言い渡されてやったことがクルーたちからの逃亡です。
ボクが海外SFのロボット表現で気になっていた部分があって、どの時代のどんな作品でもロボットの地位っていうのが低い。
R2−D2たC3POそしてレプリカント達、SFのパイオニアのわれはロボットなんかでも人間たちはロボットたちをさげすんだものの言い方をしますし、蔑んでいなくても、
C3POはあくまで人間との関係は主従関係です。
日本のSFではロボットは友達の扱いが多いですよね、ドラえもんやコロ助、その他もろもろ全然上下関係がない。
この違いはなんなんだろうなっていうのを常々思っていました。
ところが今回のマーダーボットダイアリーに出てくる登場人物、特に弊機を取り巻く人たちは弊機を対等に、友人として扱おうとするんです。
これは少し驚きましたね、こういうこともあるんだなって。
新鮮でした。
続編もあるそうなので今後少しづつ追いかけていこうかな。
0 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2023年01月>
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031