mixiユーザー(id:14438782)

2022年09月17日19:59

37 view

『鎌倉殿の13人』第35回「苦い盃」

 京へ赴いた時政とりくの子、政範が急死した。医療技術も発達していなかった当時、それだけなら別にさして騒ぎにもならなかったろうけれども、ここで同行していた畠山重忠の嫡男が平賀朝雅に疑念を抱いたことから、事態は急速に緊迫していく。

 そもそも武蔵における主導権をめぐって北条と畠山がきな臭くなっていたところへ、自分が疑われていることを知った朝雅が逆に政範密殺の黒幕として畠山を讒言したため、両者の対立は抜き差しならないところへ至ってしまう。

 武蔵に色気のある時政も、さすがに畠山とことを構えるのには慎重で、政範の件ではりくを宥めようとするが、逆にますます彼女は畠山討伐を強く主張する。ついには、「このままでは政範にとどまらず、自分も命を狙われるようになる」と時政を焚きつけるのだった。
 もともとが朝雅に唆されて自分で煽った案件なのだから、マッチポンプもいいところなのだけれど、そこまで状況が煮詰まってきているのも事実なのだった。

 ところで、ここで彼女が「比企だけでなく、畠山も安達も」と比企と畠山に並べて安達の名前を挙げているところは興味深い。安達も武蔵の出で比企側だった一族である。となると、もともと伊豆と武蔵の武士団の間に対立があって、比企の滅亡後はその地位を畠山が継いで続いているだけなのかもしれない。
 たしかに畠山は北条の縁戚に連なっているけれど、地縁集団の結びつきの方が強く、史実としてはそちらの立場から北条と対立していた可能性もある。

 とはいえ、ここ2週間ほど死者は出ていなかったけれど、次回はいよいよ本格的な武力闘争へと至って、けっこうな数の犠牲者が出ることになりそうである。鎌倉の平穏はまだまだ遠い。


 その他の件については、実朝がなにについて悩んでいて、たとえば婚儀についても喜ぶ様子がないのか、明かされないままなのが気になっている。もちろん、ただなにかと気に病むタイプの人間なだけで、悩みの内容が謎のままである可能性もあるけど、彼がなにに悩んでいるかがこの後の展開に影響するような気配もある。
 大竹しのぶ演じる歩き巫女に、おまえの悩みはおまえだけのものではない、昔の人もずっと同じことで悩んできたし、先々の人たちも同じように悩んでいくのだという言葉からすると、ごく普遍的な彼の悩みをめぐってこれからの物語が動いていくこともあるのではないだろうか。
 あと、彼女が実朝に言った「雪の日には出歩くな」というのは、鶴ケ岡八幡宮での暗殺のことを指しているような気がする。

 他に冒頭、新しく義時の妻になったのあの実情を知った泰時が「父上はなんであんな女子に」と言った後、彼の妻である初の意味ありげなアップで画面がしばらく留まるけれど、あれは「あんな女子」という線引きがあくまで男の都合によるものでしかないことを暗示しているような気もする。
 八重、比奈とあまり男と争わないタイプの妻との生活しかなかった義時が、政権中枢で抗争をくり広げつつ、家ではなにかと妻に責めたてられる展開になるのかもしれない。大変だなあ。

2 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2022年09月>
    123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930 

最近の日記

もっと見る