長編デビュー作「キャラメル」が高い評価を得たレバノンの女性監督ナディーン・ラバキーが、貧しさゆえに親からまともな愛情も受けることができずに生きる12歳の少年の目線を通し、中東の貧困・移民問題を抉り出した人間ドラマ。中東の貧民窟で暮らす12歳のゼインは、貧しい両親が出生届を提出していないため、IDを持っていない。ある日、ゼインが仲良くしていた妹が、知り合いの年上の男性と強制的に結婚させられてしまい、それに反発したゼインは家を飛び出す。仕事を探そうとしたがIDを持っていないため職に就くことができない彼は、沿岸部のある町でエチオピア移民の女性と知り合い、彼女の赤ん坊を世話しながら一緒に暮らすことになる。しかしその後、再び家に戻ったゼインは、強制結婚させられた妹が亡くなったことを知り……。2018年・第71回カンヌ国際映画祭で審査員賞とエキュメニカル審査員賞を受賞。(映画.comより)
<2021年3月16日 録画鑑賞>
悲惨過ぎる。主人公の男の子は、こんなに賢い子なのに、なんでこんな境遇に。思うに、最貧民の層だから、たぶん両親も悪意があるわけではなく「貧しいんだからこれ以上子供は作らないでおこう」とか、そういう認識ができないだけなんだろうけれど。そして日本と違い「11歳で嫁に行く」「出生届を出していない」「学校へ行かない」等のことが、それほど特異ではない国なのだろう。多分それだけのことなんだろうけれど、幾重にも重なると悲惨過ぎることに。そして、あまりの境遇に家を飛び出した主人公(ゼイン)だけど、どこへ行っても不法移民や人身売買など、どの界隈も悲惨なばかりでどこにも救いなんてなかったということ、これが徹底的に描かれます。出生証明書すらないと、お金を貯めても(希望があるかもしれない)海外にも行けないし、薄汚い子供なんて誰も助けてくれないし。同じような人たちしか寄る辺を持てないし、すると皆同じような境遇に陥っていくし。
見ていて辛すぎました。あまりに救いがなさすぎる。少年はこんなに賢い子なのに。なんだってできるのに。もちろん、映画ですから、ラストで少年はわずかに微笑みます。でも、彼の後ろには、きっと数えきれない”第二のゼイン”が存在するのです。なんで世界って、人類って、こんなになってしまったのかな、と思いました。
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