韓国の人気ダンスボーカルグループ「EXO」のチャンヨルが映画初主演を果たし、音楽だけが共通点の2人の男が、それぞれの人生を変えるために旅する姿を描いた音楽ロードムービー。新人発掘の才能はあるが運に見放され、借金まみれとなってしまった音楽プロデューサーのミンスは、ある日、ギター片手に歌う青年チフンと出会う。その歌声に感動したミンスは、躊躇するチフンを半ば強引にスカウトし、10回のライブ出演を契約させてしまう。しかしチフンは、天才的な歌の才能があるものの、少年時代のある出来事がトラウマになり、人前では歌えないという。ミンスはそんなチフンのために、冷蔵庫用の大きな段ボール箱を用意する。その箱の中でなら歌うことができるチフンを連れて、ミンスはライブツアーに出発するが……。(映画.comより)
<2022年5月12日 劇場鑑賞>
韓国アイドルなんてほとんど知らないし、見分けもつかない。でも、この映画は評判が良かった上に、都会でも限られた劇場でしか上映されてない作品なのに、公開日が遅れることなく田舎でも上映が始まった。しかも、朝からちゃんと上映されてる(田舎で珍しい映画がやってる!と思っても夜だけなんてことも多々ある)。これは行くしかない。
話は、目新しいものではありません。落ち目の音楽プロデューサーが、才能ある若者を発見する。でも、若者は過去のトラウマから、人前に出ることができなくなっている青年だった・・・とまぁ、どこかで聞いたような展開です。でも、さすがに「今」作られるだけあって、リアリティのある見やすい映画になってました。おじさんプロデューサーも、ハッパかけるばかりではなく「成功したくないか?ビッグにならないか」と持ち掛けて「僕、人前で歌えないんです」と返されたときも「そっか、じゃ囲ってやる」と、すんなりダンボール(冷蔵庫用)を買って組み立て、本当に彼を箱の中に入れて歌わせるのです。「いい人なんだな」と思いました(単純でゴメン)。もちろん、だからと言ってうまく行くわけではありません。強烈なトラウマを思い出してしまった青年は、ダンボールの中でも気を失って倒れ込んでしまうのです。
その後はロードムービーの態をなしてゆくのですが、道中、いろんな人と巡り合います。その中には盲目の女性歌手もいますし、流れ民族ロマの人々もいます。みな一様に、精一杯彼に協力してくれますが、やっぱりそう簡単にはいきません。見ているほうは、もどかしい。でも、人生はそれほど単純ではないことも、知っている。なかなかに見ごたえのある映画でした。
アイドルの青年も、うまい。楽器はまんべんなく演奏するし、歌もクラシックな洋楽からアジア系まで、まんべんなく歌えて、うまい。欲を言えばもう少し声量があった方がよかったかな。でも、そこは若いから大目に見よう(上から目線、ごめんなさいね)。今のアイドルは、本当に何でもできて器用ですね。顔もかわいいのに、奢ったところもなく。若い子の賢さに感嘆します。
<ここからネタバレ>
それにしても、イ・ビョンホンの「それだけが、僕の世界」並みの家庭内暴力、見ていて本当につらかった。ビョンホンの映画では、川に身投げしようとしたお母さんは、誰かに止められて助かっていたけど(それでも帰れなかったからビョンホンがほったらかしになってしまったんだけど)、青年のお母さんは助かったのかな。まだ幼かった彼はギターを抱いて逃げていたけれど、誰かに助けられたのかな。細かいことは描写されなかったけれど、道まで追いかけて、あんなにしてまで妻を殴る男って、そして子供にまで当たる男って、なんなのだろうと思った。韓国映画って、こういう描写、よくあるように思うけど、そんなに一般的なのかな。それとも、私がそういう邦画を見ないだけで、日本でも同じくらい描かれているのかな。悲しすぎる。
独り身(と思われる。でも、どちらかの薬指にリングしていたようにも思う)のプロデューサーは、お母さんに料理を作ってもらって食べていたし、そのお母さんは「息子のお客は久しぶりだよ。一杯食べてね」とか青年に対して言ってて、対比になっているのかなぁって、少し思いました。かわいそうに。でも、青年も母親には愛されていたのだろうけれどね。逃がしてくれたのだから。そう思いたい。
すべての子供は、愛されるために生まれて来るのです。よく「子供は親を選んで生まれてくるのだ」と言う人がいますが、私はそんなことないと思っています。殴られ、どつかれるためにそこを選ぶ子供はないと思います。あるいは、母親が半殺しの目に遭うのを見るとわかっていてそこを選ぶ子供もないと思います。やっぱり、子供は親を選べないのだから、皆で守るべきと思っています。
もちろん、ハッピーエンドの映画ですし、主演のふたりも大変に魅力的なのですが、私的には少し辛かったです。
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