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2022年05月29日05:40

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善児というアサシン

 NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」には善児(演者.梶原善)という不気味な男が出ています。
 主人公の北条義時(小栗旬)の平泉行に同行していましたが、それまでに、鎌倉にいた静御前(石橋静河)の産んだ男子を殺害する非情な役割を担っていました。『吾妻鏡』においては、頼朝の命を受けて静の子を殺したのは、安達新三郎という雑色でした。
 それ以外にも善治は。初回において、源頼朝(大泉洋)と八重(新垣結衣)の間にできた千鶴丸を川に沈めて殺したり。北条義時の兄・宗時を刺し殺したり。主君である伊東祐親とその子・祐清を躊躇(ちゅうちょ)なく殺したりしてきたシーンに、視聴者は戦慄してきました。義時に同行した平泉では、藤原秀衡(田中泯)の六男の頼衡(川並淳一)を一瞬で亡き者にするなど大活躍。善児はもとは伊東祐親(浅野和之)に仕える下人でした。
 義時にとっては善治はわが子を殺めた憎い仇のはずですが、溺死したと思わされていたので平気で行動を共にしていたのです。
「梶原の旦那様に言われたんですよ。お供しろって。何かと役に立ちますよ」
 平泉での義経との再会後、義時は義経を見てどう思ったかを問います。
「爪の間に泥がへばり付いていました。あれは百姓の手です。やっちまいましょうか。寝首をかくのは造作もないことだ」(ここで、善児がもとは農民だったことが判明)。
 流石にこのときは義時に「余計なことはするな」と注意されました。
 義時の兄・宗時が善児に殺された可能性があると思っているのは畠山重忠と梶原景時です。鎌倉占領時に善児を捕らえたときに彼が宗時の持ち物を所持していたことからその可能性があるとにらんっでいますが、梶原は「こいつは使える」と思って善児の身柄を引き取って家人にしました。実際、上総介謀殺の折に善児を使っています。梶原はともかくとして畠山はなぜかそのことを北条家に伝えていないみたいです。伝えていたら北条家は善児を放っては置かないでしょう。もし義時が奥州から帰ってきて「梶原殿の家人といっしょだったよ。善児とか言うやつだった…」と少しでも八重に漏らしたら最後、善児の命運はつきるわけです。
 この善児は三谷幸喜が作り出したフィクションの存在です。ただしモデルは存在していました。金窪太郎行親という義時に仕えていた人物で、御家人の一人が謀反を企てたとき、夜中に寝静まっていた彼らをたちまち皆殺しにした暗殺者(アサシン)です。義時の死後もしばらくは生きていたようですが、行方不明になっています。三谷さん、よく目をつけたものだなあ…。
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