評価 その9 ただ、グリーンの倫理理論そのものについては、あるいはA・J・M・ミルンのいうように、「グリーンの仕事は、結論としてではなく出発点として、我々にとって価値がある」というべきかも知れません。そして、「私はグリーンが何らかのトピックについて究極のことばを語ったとはいわない。しかし、もし我々が社会哲学を発展させることに関心があるならば、グリーンがすでに始めていた仕事をいっそう推し進めることによってこそ、我々はもっとも進歩するだろう、と私は示唆しているのである」。このミルンの示唆は、そのなかの社会哲学という語を倫理学または倫理理論という語に置き換えれば、「グリーンの倫理思想」を結ぶことばとしても、それで適切でしょう。
次回からはT・H・グリーンの宗教思想について。
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