NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」に関連して。
主人公の義時(小栗旬)、その姉の政子(小池栄子)、そして二人の父の時政(坂東 彌十郎)は北条氏ですが、そもそもこの一族がどういう出自だったのかを中心に深堀してまいりましょう。まずはこちらで概説を。
https://ja.wikipedia.org/wiki/北条氏
北条氏
ここでも北条氏の出自についての研究が諸説あることが紹介されています。成立に北条氏が深く関わった『吾妻鑑』にも書かれていません。この書物は幕府によるいわば「大本営発表」ですから、北条氏に都合の悪いことなど載っているはずがありません。となると、北条氏の祖先は伊豆のかなり弱小の土豪であったと推測されます。
『続群書類従』には、北条時政の曽祖父である聖範は「阿多美禅師」と称されており、北条氏の本拠・伊豆にほど近い熱海を連想させます。
その孫・時兼は北条介であり、その兄弟の時家は北条史郎大夫と称されています。この系譜では、時家は時政の父とされています。『尊卑分脈』では、時家は時政の祖父として伊豆介とされており、「時家」が時政の父なのか祖父なのかもはっきりしません。かなり出自があやふやなのです。となると官職すらなかった小規模な武士一族だったのかもしれません。
以仁王の「宣旨(せんじ.命令書)に応えて源頼朝()大泉洋が挙兵したときにもわずか50騎しかかき集められなかったことからして、やはり弱小勢力であったことが偲ばれます。比企一族や同じく合流した相模の豪族三浦一族のほうがよっぽど大きな勢力でした。しかも旗揚げ戦(石橋山の戦い)に敗れた頼朝が安房に逃れて再起したときに彼の元に馳せ参じた坂東豪族たちはもっと大きな勢力でした。
そうなると頼朝と結びつける最大の要因となった政子の「恋愛結婚」は北条氏の運命を決定づけたのてした。仮に時政が頼朝を支持したとしても、閨閥抜きでは北条氏は頼朝の家臣団のひとつにしか過ぎず、周囲にはもっと大きな豪族がいてそちらから頼朝の近臣が出てきたでしょうから義時の出番はなかったろうと思われます。
そういうことで時政が舅として重用されたのは納得できますが、なぜ息子の義時が秘書のような役割に抜擢されたのか。これにははっきりした回答は見つかりませんでした。考えられるのは、時政が武将としてだけでなく、文官としても能力を発揮したことからなのかもしれません。だからこそ時政はいささかの失敗があっても京都の守護に任命され、後白河法皇(西田敏行)に西国にも鎌倉幕府の守護・地頭を置く許可を得るための交渉に臨ませたのです(大河ドラマでは義時も同席)。
頼朝は義時を手元に置いておのが姿を見せ、将来は幕府の中枢に置こうと期待したのでありましょう。
しかし平家軍本隊との戦争(富士川の戦い)や一の谷・屋島・壇ノ浦の戦いなどにも小勢力であった時政・義時は目立つ戦効を上げておりません。そんな親子が頼朝亡き後、どのようにして権力の頂点にまで昇りつめられたのか。そして政子の関りは。それは今後の大河でも明らかにされていくことでしょう。こちらもネタバレにならぬよう、ドラマの進展に合わせて投稿していく所存です。
ログインしてコメントを確認・投稿する