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2022年05月25日01:20

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『トーマス・ヒル・グリーン研究』 その33 (再投稿)

評価 その5 もちろん、グリーンの自由観やその論拠になっている諸能力の実現、理想的自我の実現という概念が、ただちに超国家主義的性格をもっていると主張するわけではありません。それどころか、グリーンが「我々の価値の究極的な基準は、人格的価値の理念である。他のあらゆる価値は、人格に対する、人格のもっている、人格のうちにある価値に関連している」と力説しているのを熟知しています。しかし、ハロルド・ラスキがいうように、「自由の探求は、自由のために自由を実現することではなく、自由の実現によってもたらされるもののために自由を実現することである」ならば、自由を実現することではなく、自由の実現によってもたらされるもののために自由を実現することである」ならば、自由を実現する目的がグリーンのいう諸能力の実現、理想的自我の実現ということで万事解決できるでしょうか。
 およそ生きとし生けるものには、自己を保存したいという根源的な自愛の衝動が存在するといえましょう。しかし、人間には、それとともに、自己以外の物や人をすべて自己のための手段と考える思いあがった自己中心的態度の底にひそむ利己的な自愛の衝動も存在することを認めないわけにはいきません。根源的な自愛は、エーリッヒ・フロムのいわゆる生存の存在様式において生きることに満足を見出すことができますが、利己的な自愛は、自我実現の衝動にもとづくものとして、他者の犠牲のうえに成り立つ所有的生存様式を求めるものです。

この続きは別項で。
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