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2022年05月24日00:19

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『トーマス・ヒル・グリーン研究』 その32 (再投稿)

評価 その4 しかし、前節においても少し触れたように、グリーンの積極的自由概念を時代の課題に対する解決という歴史的・思想史的視点からはなれて広く一般的に、また倫理理論的に眺めたとき、果たして自由の本質が見事に開示されてるといえるだろうか、という疑問は依然としてなお残るのです。
 すでにハロルド・ラスキも早くから指摘しているように、「行なったり享受したりするのに値するもの」が何であるかについては、意見の鋭い対立・相違が当然に可能であるし、また「実現すべき理想の自我」についても、必ずしも自明の一義的な記述的意味をもってはいないのです。前節でも言及しましたが、アイザイア・バーリンの指摘しているように、積極的自由の概念は、歴史的に見た場合、残忍な圧制をもたらす権威主義・全体主義・独裁政治を容認する路線をたどることになった理想主義的国家論に連なるものであり、事実、グリーンの思想的系譜をたどるF・H・ブラッドリやB・ボーザンケトの国家観が、L・T・ホップハウスによって『形而上学的国家論』と名づけられて批判されているように、個人の自由を否定する超国家主義的なものになってしまったのです。

この続きは別項で。
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