2022年03月20日 14:00開演
会場：ヒビキミュージックサロンリーヴス
企画・Ｐｆ：大西真衣
使用楽器：ベーゼンドルファー
ゲスト：Ｖｎ：巖埼友美
ロベルト・シューマン(1810〜1856)作曲
色とりどりの小品「３つの小品」Ｏｐ.99より第１曲 速くなく親しみをもって
ヴァイオリンとピアノのためのソナタ第１番イ短調Ｏｐ．105
15分休憩
ヴァイオリンとピアノのためのソナタ第２番Ｏｐ．121
私のツイッターをフォローして下さっているピアニスト大西真衣さんが
R.Schumann Zykius 2022を企画された。第１回はソロ、第２回はヴァイオリンとの
デュオ、第３回はピアノトリオ、第４回はピアノ四重奏、第５回はピアノ五重奏と云う
面白くも壮大なプロジェクトである。理論上そのような演奏会が可能なのは理解
できるが実際にやるとなると話は別。話を聞いたのが昨秋10月。最終的に通し券を
買ったが先月まで迷った。その原因の一つが今回。
シューマンは片手間に聴いてきた傾向があり選り好みもした。
シューマンのヴァイオリンソナタは、これまで何が何でも聴きたい作品ではなかった。
当座１番のＣＤがあり、予習で聴き始めたら思いの外、自分の中で手応えがあり
良いコンサートになりそうな感を持って会場入りした。
第２回でもソロで小品を弾くと予告されていたが冒頭に。今日は大西さんの解説付き。
Ｏｐ.99は後年の出版であるが、作曲年代は1834〜1841年。1834年は前回弾かれた
交響的練習曲が作曲された年である。兎に角シューマンの初期の作品にはピアノソロ
曲が多くてＯｐ．23まで全てピアノ曲と云うのは初回の驚きであったが、
本曲は20年経って出版された。
同じく前回弾かれた「子供の情景は13曲から成りますがシューマンは、もっと沢山、
曲を作っていた。入れられなかった曲の中から選抜してＯｐ.99を作ったと云うのが
一つの説です。」
初めて聴く作品であるけれども色とりどりのシューマンを楽しめる小品であると
感じた。「シューマンの世界へ、ようこそ」と云う感のウェルカムミュージック。
おかげで深みに嵌りそうであるが。
冒頭にＯｐ.99-１を持ってきたのは理由があった。第１回は初期に固まっていたが
第２回のメイン、ヴァイオリンソナタ２曲は何れも後期の作品である。「前期と
後期、前回と今回を繋ぎたくて」
もう一つ理由がある。冒頭にヴァイオリンソナタ１番は曲調から何か違う、と
思われたとの事。それは全く同感。シューマンは本曲に喜怒哀楽あらゆる感情を
込めた、と大西さんは説く。それがゆえに私にとって取っつきにくい作品となった。
あるヴァイオリニストからの依頼であったが何と１週間で作曲した。天才。
「私たちは物凄い時間をかけてリハをしているのに」と苦笑された。
初演は1853年、ゲヴァントハウス管弦楽団コンサートマスター、フェルディナンド
ダーヴィドとクララ・シューマンによって演奏された。
本曲は大曲とは言えないが名曲である。情感的なのに明確に形がある。紛れもなく
ソナタである。第１楽章第１主題は暗くて実に幻想的。ヴァイオリンとピアノが
掛け合う。ユニゾンが印象的。第２主題はハ長調で平行調なのに別世界。
第１楽章がイ短調で第２楽章がヘ長調と云うパターンはシューマンの十八番。本曲は
ロンド形式を採用。Allegretto
以前ドイツ語で楽想指示するのはベートーヴェンが始めてシューマンが受け継いだと
書いたが、本曲は全くそれで、終楽章シューマンはドイツ語で「生き生きと」と楽想
を指示している。これまで生演奏を聴いて来なかった事を後悔させる生き生きとした
演奏である。最後は主調イ短調のアルペジオで真っ逆さま。
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