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2022年03月20日08:44

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『鎌倉殿の13人』第10回「根拠なき自信」

 江口のりこ演じる亀が亀にエサをやっていた。この新しい愛人については、頼朝に情けをかけられたがゆえに北条政子の逆鱗に触れたというような、どちらかといえば被害者として描かれがちだったけれど、本作では八重の扱いをめぐって不穏な動きも見せていて、また違った解釈がなされているらしい。

 その違いはおそらく政子の立ち位置の相違による。これまでの政子といえば、男まさりの気性の激しさが強調されることが多かった。たしかに頼朝死後も幕府に隠然たる影響力を保持し続けたことを考慮すれば、そうした側面も見逃せないけれど、承久の乱での行動とそれへの御家人たちの反応からすれば、それだけで十分とは思えない。
 現代の日本人からすると、あの異様にプライドが高く自分本位な御家人たちを瞬く間にまとめた事実からすれば、普段から面倒見がよく、なにかと反目しがちな彼らをなだめすかして協力させていたであろう働きも見えてくる。となると、逆算して亀の側にそうした政子のなんらかの反発を招く振る舞いも想定される。承久の乱に焦点を合わせると、政子の人物像はけっこう変わる。

 石橋山で頼朝を叩きのめしたのに、房総半島で立て直してこられるとひとたまりもなかった大庭景親が捕まっていた。「こんなことなら、頼朝をめぐって伊東と北条が対立した時に調停しなければよかった」と自嘲していたけれど、あの時はしっかり伊東にも北条にも恩を着せていたのだから、自分の都合でもあったわけであまり言えた義理でもない気はする。
 上総広常に斬られていたけど、「おまえも気をつけろよ」と予言めいたことを口にして不敵に笑い、広常も別にそこは否定していなかった。結局、まあそうなるんだろうなと思わせる、國村隼と佐藤浩市というベテラン二人の演技だった。
 ここでは、当初は味方につくと思われていた山内首藤経俊が頼朝の乳母の縁にすがって見苦しく命乞いをして、見下されながらもちゃんと許されていた。当時の乳母の存在の大きさがよくわかるシーンになっていた。
 このドラマがよくできている点として、一つのシーンにいくつかの意味が重ねられていて、見ながらいくつもの今後の展開をずっとトレースし続けてしまうため、見ていて手持無沙汰にならないことが挙げられると思う。そうなるように全体の構成も練られている。省けないけどわかりきった説明のシーンが続くと、どうしても飽きてくる。

 乳母といえば、同じ乳兄弟の比企義員がまた出てこなかった。常陸の佐竹を攻めたのなら、領地の近くを通ったはずだけれども。
 佐竹は今回、やられるために出てきたみたいな扱いだったけど、室町時代の末になっても小田原の北条とやりあっているし、東北の伊達政宗がらみでもなにかと名前が出てくる。このドラマに出てくる家がだいたい滅ぶか衰微しても、ずっと一線で暴れていたのだから本当に大したものだと思う。

 あと、オープニングロールを見ていて気づいたけど、藤原泰衡を演じていたのが山本浩司という俳優だった。三浦義村役の山本耕史と現場でどう呼び分けているのか気になったけど、こちらは奥州の人なので撮影で一緒になることはなさそうだった。
 文覚の市川猿之助がまた出てきたのにも驚いた。

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