これまで日本で「かぜぐすり」と呼ばれたものは、
「風邪と呼ばれる疾患の症状を緩和する」ものです。
熱を下げるとか咳を止めるとか、で効果切れるとまた出る。
これまで「風邪」と呼ばれた数種のウイルスによる感染症は、
免疫機構が「ふつう」なら1週間程度で免疫がウイルスを排除できるので、
「かぜぐすり」で少し体を楽にしながら1週間待てばよかったのです。
新型コロナ治療薬は「症状緩和」が目的の薬ではありません。
体内に侵入した新型コロナウイルスを無力化して、
体内で増殖する力を止め、結果的に症状がなくなるのです。
「抗ウイルス剤」です。
モルヌピラビルは、新型コロナウイルスのメッセンジャーRNAに入り込み、
ウイルスが増殖しようとすると間違った情報を複製させます。
間違った情報を持ったウイルスはウイルスとして働くことができず、
つまりまっとうな増殖ができないのでそのうち死滅します。
確実にウイルスを殺すけどちょっと時間がかかる。
しかも、妊娠中女性(気づかない初期でも)の場合胎児の細胞分裂を阻害するので、
「これから妊娠希望の女性」「今妊娠中の女性」は絶対に使えません。
パクスロビドは二種類の薬を飲みますが、
片方は「新型コロナウイルスの殻になるタンパク質合成を阻害する」ものです。
新型コロナウイルスの本体はメッセンジャーRNAですが、
細胞内で増殖して、細胞を壊し、周囲に散らばるときに
メッセンジャーRNAを包むタンパク質の「殻」が欠かせません。
これの合成を阻害しますので、感染した細胞内のウイルスは細胞から出れない。
つまり周囲細胞が感染から守られます。
モルヌピラビルより効果が出るのが早いです。
でも、
タンパク合成阻害剤なので、ちょこっと人体のタンパク合成も阻害するかも。
でもまあ、人間はでかい生き物なので多少阻害されても
「口内炎」「腸炎で下痢」「皮ふ炎症で潰瘍」くらいじゃないかな。
(…大変ですけどコロナで死ぬよりいいか、ってことで)
問題なのはもう一種類の薬で、これは肝酵素を阻害するもので、
これがないとせっかくのタンパク合成阻害剤があっという間に分解されてしまうんですが、
この肝酵素阻害剤って、他の薬の代謝も阻害するので、
持病で他の薬を飲んでいる人はその薬の体内濃度が上昇しすぎて
場合によっては大変なことに。(薬飲みすぎと同じ状態)
コロナは合併症あると悪化しやすいのですが、
パクスロビドは、合併症あって他の薬飲んでいる人間は「使えない」かも?
というちょっと困った薬です。
今、他の仕組みの治療薬も次々開発中だし、
すでに出た薬の改良型も研究中なのですけどね。
今すぐに治療しなくちゃならない場合には、
患者さんの状態によって薬を使い分けなくちゃなりません。
若い女性にはパクスロビド、持病あるお年寄りはモルヌピラビル、って感じですかね。
■ファイザーのコロナ飲み薬を特例承認 「入院や死亡リスク88%減」
(朝日新聞デジタル - 02月10日 20:15)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=168&from=diary&id=6846673
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