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2022年01月15日02:09

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岡潔(おかきよし)

 数学者です。京都帝国大学卒。1901年〈明治34年〉4月19日 - 1978年〈昭和53年〉3月1日、76年の生涯です。文化勲章受章者。大阪市出身、現在の和歌山県橋本市で育つ。

 高校生以上の数学や物理学が苦手な私には、数学者としての岡潔の業績について本当のところは分かりません。研究分野は「多変数複素関数論」だったということです。あまりの優れた業績に、先進地・ヨーロッパの数学界では当初、一人の数学者によるものとは信じられず、「岡潔」は数学者集団のペンネームと思われたというエピソードもあります。ノーベル賞には数学という分野はありませんが、あれば間違いなく受賞していたかもしれません。

 では彼の何に注目したかというと、エッセイにあらわれた彼の思想についてです。岡潔は日本人の「情緒」をとても重要視していました。日本民族のもつ真善美妙を大切にせよというものです。真には知、善には意、美には情が対応し、それらを妙が統括し智が対応すると述べているのです。
 また彼は一時、仏教それも浄土宗の山崎弁栄に帰依していました。それにもとづき、人間の心情をいくつかの段階に分け、どれだけ仏の悟りに近いかをエッセイの中で明らかにしています。仏の境地からもっとも遠い心の状態を「無明(むみょう)」としました。無明とは真理に暗い「無知」で、人間の欲望がそれを招いているのだとされます。
 彼の著作は現代の人にとってはちょっとピンとこないかもしれませんが、それは現代人が無明に毒されているからかもしれません。何冊かのエッセイのなかからのおススメは『春宵十話(しゅうしょうじゅわ)』です。これは1963年に出版されたもので,毎日新聞の岡潔のコラム・エッセイを集めたものです。この本では,教育に必要なのは,知識ではなく情緒であると何度もくり返し登場します。いまでも光文社文庫であるはずです。
 また文芸評論家の小林秀雄との対談『人間の建設』(人間の建設)も必読です。小林は文学畑の人ですが、自然科学に関する書物にもよく通じていたので、この対談のなかではアインシュタインなどについても話が及んでいます。とにかく東西の英知の皆合です。

 ノーヘル賞受賞者の湯川秀樹、朝永振一郎らも岡の講義を受けており、物理学の講義よりも刺激的だったと述べております。
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