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2022年01月11日09:34
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文学と論理国語は本当に分けられないのか？ 憲さん、国語教育を考える
※画像は新潮文庫版森鴎外著『舞姫』の表紙
憲さんもう読むことはないであろう。
今回は引用を多用する。
10日の読売新聞の社説に以下の文章が掲載された。
全文引用する。
社説
高校の国語 文学と論理は分けられない
感受性の豊かな高校時代に優れた文学に触れることは、後の人生にも大きな影響を及ぼす。文学と実用的な文章を切り離す高校の国語改革には無理があると言わざるを得ない。
高校は４月から、学習指導要領が新しくなる。現代文や古文、漢文を幅広く学ぶ必修の「国語総合」は、実用的な文章を扱う「現代の国語」と、文学や古典に特化した「言語文化」に再編される。
文部科学省は、社会で役立つ国語力の育成を掲げ、「現代の国語」では原則、文学作品を扱わない方針を示していた。
しかし、高校１年生が使う「現代の国語」の教科書選定では、「小説」を掲載した第一学習社の教科書が占有率約１７％で全国のトップになった。
第一学習社は「羅生門」や「城の崎にて」など五つの小説をあえて掲載し、国の検定に合格していた。「小説を扱いたいという高校側の要望を踏まえた」と説明しており、今回の国語教育改革に一石を投じたと言える。
実際、現場からは「再編の影響で、文学を教える時間が足りなくなる」との声が上がっている。一方、他の教科書会社には「まじめに国の方針に従って損をした」という不満がくすぶる。
文科省側は当初、教科書会社側には「『現代の国語』で文学を扱う余地はない」と説明していたとされる。しかし、検定を行う審議会は「文学の掲載が一切禁じられているわけではなく、直ちに欠陥とは言えない」と判断した。
海外では文学作品と論理的文章を細かく区別して指導していないという。両者を無理に切り分けることで、本当に生徒の国語力は向上するのだろうか。
若者の読解力が低下し、リポートを書く力も乏しいと指摘されている。実用的な文章を読みこなし、論理的に書く力を身につけさせることは重要だが、それは文学との二者択一ではないはずだ。
２０２３年度には、２、３年生で学ぶ選択科目も、現在の「国語表現」「現代文Ａ」「現代文Ｂ」「古典Ａ」「古典Ｂ」から「論理国語」「文学国語」「国語表現」「古典探究」に再編される。
今後は大学入試に出題されやすい実用文中心の論理国語と古典探究を選ぶ生徒が増えるとみられ、学会などが「文学の軽視につながる」と懸念を表明している。
批判の多い改革を強引に推し進めるべきではない。文学と論理にあえて線を引かず、一体的に学べるように改めることが必要だ。
以上、引用終わり。
参考
↓
読売新聞社説
「高校の国語 文学と論理は分けられない」
https:/
毎日新聞も以前、同様の論調の社説を載せている。
こちら
↓
「高校教科書の改革 現場軽視では行き詰まる」
https:/
我らが東京新聞では文芸コラム「大波小波」を主戦場にやはり同じような論調を展開している。
例えば2019年11月30日のこれ。
以下、全文引用。
大波小波
国語教科書批判の浅薄さ
「共通テスト」における「国語」の記述式問題の導入が議論を呼んでいるが、この改革の本質は大学受験だけでなく、「国語」の「実用」化であることを忘れてはならない。高校の指導要領が変えられ、「論理国語」によって「文学」が片隅に追いやられることは本欄でも何度も指摘されたが、これまでの教育の何が悪かったのか、具体的な検証はなされていない。多くの批判は浅薄で感情的なものだ。
たとえば、『ＡＩ ｖｓ． 教科書が読めない子どもたち』が話題になった新井紀子の教科書批判は次のようなものだ。
「『この多様性の低さは、いったい何だ』と思ったんです。高校の女子生徒が、捨てられた舞姫や、自殺してしまう「先生」の奥さんに気持ちを重ね合わせたり共感できるかといったら、できませんよね」（『週刊文春』、池上彰との対談）
しかし、「共感」できない他者がいることをそもそも「多様性」というのだ。感情的に好きになれない相手が、なぜそのような言動をとるのかを論理的に解明することにこそ文学教材の意味がある。全くもって的外れな批判と言っていい。
性急に「国語」のあり方を変えようとする側こそ「論理」が欠如しているのではないか。具体的で納得できる検証を。（露地子）
以上、引用終わり。
この「露地子」も結構感情的である。
(´艸`)くすくす
この問題に関しては各紙がほぼこのように同様の論調の展開である。
骨子はこうだ。
若者の読解力が低下し、リポートを書く力も乏しいと指摘されている。実用的な文章を読みこなし、論理的に書く力を身につけさせることは重要だが、それは文学との二者択一ではないはずだ。
(読売新聞社説)
現在の国語教育に批判があるのは事実だ。授業が小説などの読解中心になっているとして、「自分の考えを的確な表現で、論理的に相手に伝える力が身に付いていない」と指摘される。
しかし、小説を読み解き、思索を深めれば、論理的思考が養われる。さまざまな作品に接することで語彙（ごい）が増え、豊かな表現力を育むことにもつながる。
改革の狙いは分かるが、手法が性急だったと言わざるを得ない。多くの教師は今まで通り、小説を授業に使いたいと考えており、大きな隔たりがある。
(毎日新聞社説)
性急に「国語」のあり方を変えようとする側こそ「論理」が欠如しているのではないか。
(東京新聞コラム)
しかし。憲さんの見解は違う。
改革の手法が性急だったかどうかは今回問題にしない。
問題はその中身である。
憲さんは� 崋騨囘�な文章を読みこなし、論理的に書く力を身につけさせること」と�◆崗�説を読み解き、思索を深め」ることは厳然と違う学問の領域だと思うし、�，諒�が決定的に基礎となり重要な学問であると考える。
誤解をおそれず言えば�△粒慳笋蓮崋駝�の領域」であると言っても過言ではない。
そもそも、毎日新聞社説の
「小説を読み解き、思索を深めれば、論理的思考が養われる。」との言説は科学的根拠があって言っているのだろうか？
憲さんは森鴎外の『舞姫』を読んで「論理的思考が養われる」とはさらさら思わない。
これを読んで養われるのはコラムで批判されている新井紀子氏ではないが「いけすかないエリート根性」だけではないだろうか？
語彙だって明治の古色蒼然としたものであろう。
憲さんの森鴎外批判はこちらを読まれたし！
↓
憲さん随筆アーカイブス 武士の道徳とは？ 森鴎外『渋江抽斎』に寄せて
https:/
確かに「さまざまな作品に接することで語彙が増え、豊かな表現力を育むことにもつながる。」のは頷ける。しかし、それは文学作品に限ったことではないであろう。
憲さんの問題意識に引き付けて言うと･･･
日本最初の武家法である御成敗式目（ごせいばいしきもく）は、鎌倉時代に、源頼朝以来の先例や、道理と呼ばれた武家社会での慣習や道徳をもとに制定された、武家政権のための法令（式目）である。
これは今で言う法令集であり、武士の実用書であり、ビジネス文書であろう。
参考
↓
【御成敗式目】
https:/
これは、当時の武家社会の歴史を知る上では欠かせない文献であり、これが残っていることにより当時の武家社会の仕組みがより鮮明に理解できる超一級の史料であろう。
しかし、これを読むのと、平安時代の紫式部の「源氏物語」を読むのでは同じ「古文」「古文書」ではあるが学問の領域が全然違うのではないのだろうか？
参考
↓
【源氏物語】
https:/
かたや、当時の武家の法制度を知るための歴史学、法制史学。かたや、古典文学、国文学の領域であろう。
さらに誤解をおそれず言えば、「源氏物語」が現在に残っていなくても当時の歴史は他の史料によって知ることができたであろう。
そのくらい、「歴史学」のフィルターでみるとその価値の差はあるのではなかろうか？
話を戻す。
文学作品や小説に親しむのも、まずは適切な読解力とさらには文章を論理的に書ける力の土壌の上にあるのだ。
暴力的に言ってしままえば、「ハングルの読み書きができない憲さんが、ハングルの原書の有り難い韓国の小説を手にしたところで、豚に真珠。猫に小判である。」と言うことである。
小説などその作家の脳内の文学的表現に過ぎず、どんな小説を読もうが、読まなかろうが、その小説を読んでどんな感想を持とうが持つまいが、それは読み手の勝手なのである。
それを「教育」の名において強制するものではないであろう。
「こういう有名な小説があり、こんな内容が書かれており、多くの人が読んで評価していますよ。是非読んでみてはいかがですか？」との紹介に留めるべきではなかろうか？
国語の授業は国語教師の趣味に付き合わされるべき類いのものではないのである。
文学とはその行間の情緒を楽しむものであろう。
俳句がいい例である。
だから憲さん、俳句を趣味でたしなんでいる。
しかし、あれは学問で研究するものではないであろう。
趣味で、俳句が上手になるために研究することはあっても･･･。
それより、論理的な実用文を的確に読む訓練の方がよっぽど必要ではないのか？
それでなくとも、現代人はちょっとした文章を読むことさえ億劫がり、憲さんのこの分かりやすい随筆さえ読もうとしないのだから！
情けない！
なので、私たち現代人に必要なのは、まずは「実用的な文章を読みこなし、論理的に書く力を身につけさせること」であり、次に古典や漢籍に親しむべきことだと憲さんは考える。
小説や文学は余暇に趣味として味わえば結構。
そう憲さんは考え、これからも憲さんが読んで楽しいと思う小説だけを読んでいこうと思っている。
皆さんはどうお考えだろうか？
少なくとも、これ以上森鴎外の『舞姫』を国語の教科書に載せるのはやめた方がいい。
高校生にとって百害あって一利なしだと憲さんは思う。
どーよっ！
どーなのよっ？
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