mixiユーザー(id:14438782)

2021年12月04日11:37

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Kindle読書

 昔、四千円ぐらいだった最も安い白黒のkindle端末でいろいろ読んでいた。こいつはかなり過酷な使用にも耐えて頑張ってくれたのだけど、それでも力尽きる時は来た。電子書籍は探せばいくらでも安価なコンテンツがあるし、なんなら青空文庫のリーダーとしても使えるし、かさばらなくて便利でもある。次のデバイスを買おうと思って、駅前の量販店をまわってみたら、もうその頃には店頭で販売していなかった。

 リーダーとしてのデバイスは、すでにその座をほぼスマホに譲っていたのだった。それでも、Amazonで注文すれば入手はできたのだけど、そのころはまだあまり通販になじみがなかったので、なんとなく億劫でそのまま電子書籍とは縁遠い生活に戻ったのだった。

 そして、予告されたPHSのサービス終了も近づくなか、使っていたPHSがまた大往生といった感じで応答しなくなった。すでにワイモバイルからさんざん移行をせっつかれていて、たしかに条件も悪くなかったので、この機会にスマホに乗り換えた。
 それからしばらくは、Yahooニュースを見ていたけれど、タイトルだけで神経を逆なでされる記事ばかりだし、コメント欄が目に入ると人間が嫌になる書き込みばかりな上に、なんのやりとりをしているのか通信量がやたら膨大で料金コースをグレードアップさせざるをえない感じになってきたので、通信を抑えるためにKindleで本を読むようになった。
 実は電子書籍というのがあまり安くなくて、コストでいうと契約をグレードアップさせた方が経済的なのだけど、精神の安定のためにはネットニュースを見ない方がいいと思う。目にするほどに自分の中のなにかが蝕まれていく感じがする。

 最初に手を出したのが陳舜臣の『中国の歴史』でこれが文句なくおもしろい。中国史は、学校の授業の世界史の枠組みだとどうしても洋の東西を行き来しながら細切れになってしまうけど、つなげて流れを追っていく方が格段に見通しがよくなって理解がはかどる。
 『中国の歴史』が扱うのは中華民国の成立までで、その後は『中国の歴史 近・現代篇』に続くけど、ここはちょっと読むのがしんどくて(日本もけっこうやらかしているし)、なんとなくそちらには進まなかった。
 陳舜臣は阿片戦争や太平天国や日清戦争で長編を書いていて、そもそも『中国の歴史』を書き始めたのは、近代中国の源流を振り返ってみたくなったからだそうから、むしろ、『近・現代篇』こそが作者にとっては本番なのだろうけれども。
 ただ、歴史を振り返ってみると、王朝の転換期には目の前に脅威が迫っているのに壮絶な内ゲバに終始していて、それに対応できないというパターンにだいたい帰着するので、清朝末期もそういうことだったんだなあと得心がいく。中国自体は地域随一のスーパーパワーなのだけど、そうやって機能不全に陥ったところで小が大を飲みこんで全体としてさらに大きくなるという経緯をくり返してきている。

 というわけで、次は同じ作者が中国の古代からの歴史を扱いつつも、大胆にフィクションを取り入れた『小説十八史略』で、こちらもたいそうおもしろかった。

 その後はなぜかナンシー関へ行った。この人が書いていたのはまだSNSがなかったころだけど、メディアと受け手の相互の関係性に注目していたので、書かれていることはいっこうに古びれないというか、ますます今に突き刺さってくる感じが増していると思う。
 あと、読んでいて今になって判明したこともあるのだけど、自分が先代の円楽だと思っていた人物はどうやら別の人だった。顔は知っていたけど、名前のわからないつもりだった落語家が実は円楽だった。そして、自分が円楽だと思って人が誰なのかは、依然、謎として残されているのだった。

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