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2021年11月28日04:27

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憲さん随筆アーカイブス 憲さんみちのく一人旅紀行 第三章 “鳴子温泉に寄り道”

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※画像は鳴子温泉の遠景

※この随筆は1995年のお盆休み(8月15日〜)に憲さん(当時28歳)が東北をオートバイでツーリングに行ったときに初めて長文の紀行文を執筆した憲さんの歴史的文章を加筆訂正したものです。

※ただし加筆訂正は一部最小限と注釈にとどめ、ほぼ当時の原文のままに再録します。

※憲さん随筆アーカイブス 憲さんみちのく一人旅紀行 第二章 “仙台から松島へ” から続く
https://hatakensan.cocolog-nifty.com/blog/2021/11/post-85b213.html

『憲さん、みちのく一人旅紀行』 第三章 “鳴子温泉に寄り道”

ふと、気が付くと14時を過ぎている。ここら今日、宿泊を予定している小安の温泉まではざっと7〜80キロはある。いくら夏とは言ってももう夏至も立秋も過ぎていて日も思ったほど長くない。もし野営するのなら明るいうちにテントを張っておかなくては暗くなると苦労する。しかし、さらに先にある牡鹿半島、金華山にも行ってみたい。

参考

【金華山】
https://kotobank.jp/word/%E5%A4%95%E7%AB%8B%E3%81%AF%E9%A6%AC%E3%81%AE%E8%83%8C%E3%82%92%E5%88%86%E3%81%91%E3%82%8B-650966

ここで思案した。その半島の突端にもキャンプ場があるのでそこで一泊しようか?しかし先にも書いた通り、海辺での夏のキャンプはその苦い体験をつい先日したばかりであったし、なによりも蒸し暑く寝るどころではないと判断し、金華山は後の機会ということで、予定通りの道を急ぐことにした。

国道108号線に出て古川方面へと進む途中でその不幸は起こった。

一辺にわかにかき曇り、そう思う間もなく、雨が降り出してきた。

辺りは田園地帯、幸いすぐに農家の倉庫のひさしを見つけ雨宿りすることにした。通り雨だろうとたかをくくっていたが、30分たっても一向に晴れる気配なし。

意を決してカッパを着込み雨中走りだす。

少し濡れた上にカッパを着込み、中が蒸れてくる。さらに私はカッパを着込んでバイクに乗るとなぜか猛烈に眠くなるという変な癖があった。

しかし、まだ先は長い。絶望的な気分となり睡魔と闘いながら走り続ける。

古川手前で雨は嘘のように止んだ。古川市内はアスファルトが濡れていない。

「夏の雨は馬の背を分ける」の例えどおりだ。

参考

「夏の雨は馬の背を分ける」
https://kotobank.jp/word/%E5%A4%95%E7%AB%8B%E3%81%AF%E9%A6%AC%E3%81%AE%E8%83%8C%E3%82%92%E5%88%86%E3%81%91%E3%82%8B-650966

何かキツネにつままれている気分になりながらもカッパを脱いでさらに先を急いだ。

古川市からは国道47号線となる。途中、今晩の夕飯の材料をコンビニで買い込み国道457号線との分岐点についた時には日はだいぶ傾いていた。

目的地の小安温泉はこの国道を右折し、さらに2〜30キロ山を登った所にある。

ここで再び思案した。これからさらに山を登ったら確実に日は暮れる。その中でテントを設営するのは骨だし何よりもさっきの雨で体が濡れて気持ち悪いし疲労も相当たまっている。ここで無理してもしょうがないのでこのまま47号線を直進し、鳴子温泉で一泊することにしよう。

鳴子温泉は東北随一の温泉街だ。日本の源泉の1%をここのが占めるらしい。

参考

【鳴子温泉】
https://kotobank.jp/word/%E5%A4%95%E7%AB%8B%E3%81%AF%E9%A6%AC%E3%81%AE%E8%83%8C%E3%82%92%E5%88%86%E3%81%91%E3%82%8B-650966

なるほど、街は硫黄の匂いでつつまれ、あたかも温泉町の雰囲 気を醸しだしている。しかし、私が期待していたような山間のいで湯といった趣ではなく、山麓の田園地帯にある温泉街であり、気温も思ったほど涼しくはない。

もう夕方近いのですぐに町の中心にある観光協会に飛び込み、宿を探してもらう。「大人一人、一万円前後、二食付き」と希望を述べる。

時期も時期なのでもしかしたら宿が一杯かも知れないと思ったが、すんなりと希望通りの宿を紹介してくれた。

鉄筋コンクリート造り七階建の立派なホテルだ。ホテルでは愛想よく仲居さんが出迎えてくれたが、その人は「もう時間が遅かったもので・・・」とやけに恐縮している。

しかし、その意味するところが部屋に通されてすぐに飲み込めた。その部屋は従業員の寮かと思うばかりの小さな部屋であり、それ以外の部屋が北側の江合川に面した眺めの良い向きにあるのに対し、自分の通された部屋だけは反対側にあり陸羽東線の線路を挟んで山の斜面に遮られて眺めも何もあったものでは無い。

しかし、飛び込みの客であるし疲れているのでこの際、部屋からの眺めは不問に付すことにした。

料理に期待することとし、大浴場へと向かったが、その期待は見事に裏切られることになる。

温泉はさすが屈指の温泉、暑くも無くぬるくも無し、辛くも無し甘くも無し、浸かり心地は最高であった。

風呂から上がると部屋に据え膳されていたが、その味は前述した通りであった。しかしここでも「飛び込みだからしょうがない」と自分を納得させビールを大瓶二本も空けると気分も良くなりそのまま寝入ってしまった。

本日の走行距離555キロ。

次回 第四章 “キャンプ場目指して” に続く
https://hatakensan.cocolog-nifty.com/blog/2022/01/post-30e399.html

乞う御期待!

どーよっ!

どーなのよっ?
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