シルベスター・スタローン扮するランボーシリーズ、その第三作に「ランボー・怒りのアフガン」というのが有りました。
ベトナム帰還兵に対する一般社会からの冷淡な姿勢、それに対する葛藤を描いた社会派映画だった第一作と異なり、この頃になるとランボーもすっかりアクション映画。
悪のソ連軍と、それに抵抗する正義のイスラム戦士という構図だったと記憶しています。
さて
それはともかく、アフガニスタン情勢が緊迫しています。
あっという間に国土の大半をタリバンが掌握し、前政権を追い出しました。
政府軍が士気旺盛だったとは思えませんが、タリバンもそこまで広く支持されているようにも見えず、これほど急速に返り咲くとは…予想外でした。
かつてソ連軍を追い出した後、混乱の末に同国を支配したタリバン。
イスラム神学校の学生達であり、急進的原理主義者というイメージでした。
そして、新たにこの国の支配者として戻って来たタリバン。
米軍が来る前の構成員がどれだけ残っているのか不明ですが、今のところ、当時程の急進的な姿は影を潜めているようにも見えます。
むしろ、穏健で現実的と言えるかも…
海外の援助を引き出す為、或いは権力をしっかり掌握するまでのポーズかもしれませんし、タリバン内部での主導権争いなどが有るのかもしれません。
そうした流れで思い出したのは、幕末の長州藩です。
ペリーの黒船来寇以降、日本中に攘夷思想が広まりました。
その中でも最も急進的だったのは、吉田松陰門下生らの長州藩です。
何しろ、幕府が本気でやるつもりも無いのにポーズで命じた攘夷活動を本当に実行してしまい、四ヶ国連合艦隊との戦争になってしまいます。
一方、京都では夷敵嫌いの天皇を利用していましたが、クーデターで京都を追われ、復権を狙った禁門の変で敗北し、更に池田屋で大打撃を受けました。
そして長州征伐により藩政庁は交代し、暫しの逼塞後、高杉晋作のクーデターで再び歴史の表舞台に戻ってきます。
この辺り、掘り下げ出すとキリが無いので割愛しますが、旧政権である幕府を打倒して、薩摩などと共に長州が支配勢力となりました。
あの過激だった長州藩の中で、桂小五郎(木戸孝允)は比較的穏健な方だったかもしれませんが、その木戸は「岩倉使節団」にて長期の海外視察に出ています。
つまり最急進派が一度下野し、穏健派に路線変更して戻って来た…という構図でしょうか。
もちろんそれは一面に過ぎないと思います。
今回のタリバン復活劇に、その長州藩と似たものを感じるのはこじつけ過ぎでしょうか。
今後のタリバンが長州藩のように新たな国家建設に乗り出していくのか、それとも前回と同様の支配を復活させるのか。
それは、正に神のみぞ知る…です。
現時点では。
こじつけついでですが、ソ連軍侵攻時に「パンジシールの獅子」の異名を持つアフマド・マスードという反政府ゲリラの司令官がおりました。
用兵能力にたいへん秀でた人物だったようで、ソ連軍にしばしば大きな打撃を与えていたよう。
前回のタリバン政権時代も北部同盟の司令官でしたが、あの9.11の前々日に爆発テロで殺害されています。
そしてそのマスードの息子が、現在もタリバンと対立している北部同盟を率いて戦っているのだとか。
こちらは、神出鬼没な戦い方で大軍を翻弄した楠木正成、及び楠木正行を彷彿とさせます。
今後のアフガニスタンがどうなるのか、まだまだ分かりませんが、どれほど優れた思想が有ったとしても、それを実行出来る力が無ければ画餅に過ぎません。
米軍の威光で存続している政府ではその力を持ち得ないのも確かであり、ならばタリバンを否定するばかりでなく、タリバンをいかに変質させて行くか?の方が現実的な気がします。
そう、長州藩が明治政府となっていったように…です。
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