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2021年07月19日04:07

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憲さん随筆アーカイブス 今なおイギリスに取り憑くサッチャーの亡霊

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※画像はくだんのブレディみかこさんの時評

※この随筆は2020年5月27日に書いたものに加筆修正しました。

昨日の東京新聞のイギリス在住のコラムニストブレディみかこさんの社会時評は大変興味深い。

イギリスのジョンソン首相がコロナウィルスに感染して生死の界をさ迷っていた事実を明かし、イギリスの国民保険サービス(NHS)の医療提供者に対して感謝したことについて、イギリス国民の反応をあげている。

イギリス国民曰く

「死ぬ目にあわなきゃわからなかったのか!」

「ようやくこちら側の人間の気持ちを味わったんだね。」

なかでも秀逸なのが、イギリスの文豪ディケンズの『クリスマス・キャロル』の主人公で、無慈悲な守銭奴がクリスマスイブに超常現象を体験し、寛容で情け深い人間へと改心した「スクルージ」になぞらえて…、

「イースターに、過去と現在と未来の亡霊がジョンソン首相の死の床に訪れて…」

「首相はスクルージなのね」というところなどはイギリス国民のかなり辛辣な政権批判が現れている。

参考

【クリスマス・キャロル】
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%9E%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%82%AD%E3%83%A3%E3%83%AD%E3%83%AB_(%E5%B0%8F%E8%AA%AC)

この時評では、イギリスの現在のコロナウィルスにおける緊縮財政からの急転換を「偽善的」だという声が挙げられていることを紹介しているが、これは我が国でもあてはまる。

1970年代後半から登場したサッチャリズムと新自由主義政策の強行により、イギリスがどれだけ疲弊しているかも紹介してくれている。

曰く

「過去10年の間、個人と、そして致命的に弱められた共同体の対応力に多くの損傷と窮乏をもたらしてきた(後略)」

「英政府の政策が貧しい人々を悲劇に陥れている。(中略)長年にわたる緊縮のダメージは深く、そう簡単に地域共同体の体力を回復させることはできない。」

「(前略)共同体の団結力や社会インフラにもたらした被害は、永久に残る可能性が高い」

「このパンデミックは、多くの国々で社会的支援のシステムが破産状態になっていることを剥き出しにした。」

「これは英国だけではなく、他の国々にもあてはまる。」

「緊縮とは、政府が財政再建を優先し、財政支出を削減したり、増税を行ったりすることである。それは、個人の貧困も増加させるが、福祉や教育、医療などの公共サービスも貧しくさせ、長期的なダメージを残す。」

これが、以前「ゆりかごから墓場まで」と言われたイギリスの惨状である。

参考

【ゆりかごから墓場まで】
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%82%86%E3%82%8A%E3%81%8B%E3%81%94%E3%81%8B%E3%82%89%E5%A2%93%E5%A0%B4%E3%81%BE%E3%81%A7

イギリスではいまだにサッチャーの亡霊にとりつかれているのだ。

参考

【サッチャリズム】
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%83%83%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%AA%E3%82%BA%E3%83%A0

これについては私はイギリスにはいったことはないが、映画で目の当たりにしている。

例えば映画『ブラス!』や

参考

【映画『ブラス!』】
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%83%96%E3%83%A9%E3%82%B9!

ケンローチ監督のイギリスの国内を描いた作品群をみるとよくわかる。

参考

【ケン・ローチ】
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B1%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%81

そして、これはまさに会わせ鏡で日本の現状を見ているようではないか!

現在イギリスでは、木曜日20時に医療従事者のために多くの国民が拍手をしているそうだが、これは「私たちは今、あなたたちの職場を劣化させるような政治を選んではいけないということを身をもって学んでいます。」という意味をこめて医療従事者たちにエールを送っているそうである。

イギリス国民は本当に学んだのか、それは見ものである。

しかし、日本の国民はイギリスの、そして我が国の「惨状」をみて覚醒するのであろうか?

それもまた見ものである。

退院後のジョンソン首相が国民保険サービスを褒め称える映像を見ていた20代の若者が、醒めた目付きでこう言ったそうだ。

「そう思うならもっと金を出せ。」

もっともだ。

日本もスカイツリーを青く染める金があったら、医療の再生に回すべきではないだろうか?

参考

「ライトアップ、青のエール 新型コロナの医療関係者らに」
https://www.asahi.com/articles/ASN59363TN58UQIP01X.html

この論評、最後にこうしめくくる。

「今だけじゃない。コロナ後もそれを行う政治を私たちは選んではいかなければならないのだ。」と。

これはイギリスだけではなく、日本においても同じことを痛感した。

どーよっ!

どーよなのよっ
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