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2021年07月18日11:02

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楠木正成の亡霊を呼び起こしてはならない!

フォト


※画像は13日に発表された日本の「防衛白書」の表紙

添付の画像の絵を見ていただきたい。

これは、本年の防衛白書の表紙に描かれた騎馬武者の墨絵だが、何をモチーフとしているか、銅像マニアならピンとくるはずである。

これは、皇居前広場に建つ楠木正成像に他ならない。

こちら

【楠木正成像】
https://www.sumitomo.gr.jp/history/related/kusunoki/

馬の脚の形、武者の身体の捻り具合、全てそっくりである。

この銅像は、憲さんから言わせると上野公園の西郷隆盛像、靖国神社の大村益次郎像と並び、東京の「ぶっ倒したい」三大銅像の一つである。

参考

憲さん随筆アーカイブス 「賊軍」・ライヴズ・マター 憲さん銅像考
https://hatakensan.cocolog-nifty.com/blog/2021/06/post-09e163.html

楠木正成と言えば、江戸時代に水戸学の会沢正志斎などの尊皇の史家によって、天皇の守護者として神として祭祀された。
そして、明治になり、南北朝正閏論を経て南朝が正統であるとされると「大楠公」と呼ばれるようになり皇国史観の下、戦死を覚悟で大義のために従容と逍遥と戦場に赴く姿が「忠臣の鑑」、「日本人の鑑」として讃えられ、修身教育でも祀られたといういわく付きの歴史上の人物である。

まさに、皇国史観の権化のような人物なのである。

なので、この皇居前広場の楠木像は本来であれば敗戦と共に万世橋駅前の広瀬中佐像や三宅坂の寺内正毅騎馬像と同じように引き倒され鋳潰されなければならなかったのだ。

参考

「東京旧万世橋駅−広瀬武夫中佐『幻の銅像』の痕跡はあるか?」
https://blog.goo.ne.jp/hmb09/e/1d69ee02237c3e9bc6fa920a33497b59

寺内正毅像台座跡と三宅坂
https://senseki-kikou.net/?p=4983

憲さんがこの事実を知ったのは今日の東京新聞、前川喜平さんの「本音のコラム」の「楠木正成の亡霊」というコラムである。

短いので全文引用する。

以下、引用。

2021年防衛白書が公表された。台湾情勢の安定が日本の安全保障にとって重要との記述が盛り込まれたが、このような記述は専守防衛の原則を逸脱している。 
 だが、僕がまず違和感を持ったのはその表紙が皇居外苑の楠木正成像を描いた墨絵だったことだ。高村光雲と弟子が造ったこの銅像は確かに傑作だが、なぜそれが防衛白書の表紙なのか。 戦前の皇国史観において、楠木正成は天皇に忠義を尽くした忠臣と称えられた。七生滅賊(七回生き返って朝敵を滅ぼす)は正成が残した言葉だ。
 高村光太郎が敗戦後に書いた「楠公銅像」という詩がある。楠木像の木型を天皇にご覧に入れたときの楔を一本打ち忘れたため、風が吹くたびに劔が揺れた。「もしそれが落ちたら切腹と父は決心していたとあとできいた」「 父は命をささげていたのだ。 人知れず私はあとで涙を流した」この詩は父光雲の忠義を賛美しているのではない。
それに感動した自分を深く反省しているのだ。
 光太郎は「典型」という詩で自らを「三代を貫く特殊国の特殊の倫理に鍛えられ」た「愚劣の典型」と呼んだ。 楠木正成に象徴される忠君愛国の倫理を捨て、その倫理に染まっていた愚劣な自己と決別したのである。私たちは光太郎の精神的転回を追体験すべきだ。 楠木正成の亡霊を呼び起こしてはいけない。 (現代教育行政研究会代表)

以上、引用終わり。

高村光雲は、上野の西郷像も手掛けており憲さんから言わせるととんでもない彫刻家である。

参考

【高村光雲】
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E9%AB%98%E6%9D%91%E5%85%89%E9%9B%B2

これに対し息子の高村光太郎は戦争中に多くの戦争協力詩を作ったことを自省するなど進歩的な知識人であった。

参考

【高村光太郎】
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E9%AB%98%E6%9D%91%E5%85%89%E5%A4%AA%E9%83%8E

そして、光太郎はこの楠木像や、上野の南洲西郷隆盛像など、父親光雲の作品を「芸術」としては認めていなかったようだ。

「父との関係―アトリエにて2―」でこのように書いている。

父の作品には大したものはなかつた。すべて職人的、仏師屋的で、又江戸的であつた。「楠公」は五月人形のやうであり、「南洲」は置物のやうであり、数多い観音、阿弥陀の類にはどれにも柔媚の俗気がただよつてゐた

憲さんも同意見である。

光太郎の『楠公銅像』という詩は知らなかった。

以下である。

楠公銅像

――まづ無事にすんだ。――
父はさういつたきりだつた。
楠公銅像の木型を見せよといふ
陛下の御言葉が伝へられて、
美術学校は大騒ぎした。
万端の支度をととのへて
木型はほぐされ運搬され、
二重橋内に組み立てられた。
父はその主任である。
陛下はつかつかと庭に出られ、
木型のまはりをまはられた。
かぶとの鍬形の剣の楔が一本、
打ち忘れられてゐた為に、
風のふくたび剣がゆれる。
もしそれが落ちたら切腹と
父は決心してゐたとあとできいた。
茶の間の火鉢の前でなんとなく
多きを語らなかつた父の顔に、
安心の喜びばかりでない
浮かないもののあつたのは、
その九死一生の思が残つてゐたのだ。
父は命をささげてゐるのだ。
人知れず私はあとで涙を流した

以上

『典型』という詩は以下である。

典型

今日も愚直な雪が降り
小屋はつんぼのやうに黙りこむ。
小屋にいるのは一つの典型、
一つの愚劣の典型だ。
三代を貫く特殊国の
特殊の倫理に鍛へられて、
内に反逆の鷲を抱きながら
いたましい強引の爪をといで
みつから風切の自力をへし折り、
六十年の鉄の網に蓋はれて、
端坐薫服、
まことをつくして唯一つの倫理に生きた
降りやまぬ雪のやうに愚直な生きもの。
今放たれて翼を伸ばし、
かなしいおのれの真実を見て、
三列の羽さへ失ひ、
眼に暗緑の盲点をちらつかせ、
四方の壁の崩れた廃城に
それでも静かに息をして
ただ前方の広漠に向ふという
さういふ一つの愚劣の典型。
典型を容れる山の小屋、
小屋を埋める愚直な雪、
雪は降らねばならぬやうに降り
一切をかぶせて降りに降る。

以上。

高村光太郎はこの詩を作ることにより「楠木正成に象徴される忠君愛国の倫理を捨て、その倫理に染まっていた愚劣な自己と決別した」のだ。

現代の民主国家日本に楠木正成はいらない。

事実、この防衛白書は近隣諸国に波紋を投げ掛けている。

韓国メディアは日本の防衛白書の表紙に馬に乗った武士が描かれていることが、竹島領有権などの強い主張がこめられていると解釈。日本の防衛省の狙いについて紹介する一方、「侵略戦争敗戦の結果、『平和憲法』を持つようになった日本が、戦国時代から出てきたような侍が白書の表紙になったことが適切か否かについては、議論を巻き起こす可能性もある」と伝えた。

参考

「日本の防衛白書の記載内容に反発する韓国、メディアは表紙絵の変化に反応」
https://news.yahoo.co.jp/articles/68143b228c88e6fef614c0a48ee53ac6d19820b2

これに対して当の日本側の防衛省の石川武報道官は「自衛隊の力強さと、わが国の強固な防衛意思を表現する躍動感かつ重厚感のある騎馬武者」と説明した上で、ただ「刀を振りかざしていると専守防衛に反する」(同省関係者)という防衛省側の意向もあり、武者は手綱を握りしめている。と述べている。

参考

「109の壁面広告きっかけ 防衛白書の表紙に墨絵の武者」
https://www-asahi-com.cdn.ampproject.org/v/s/www.asahi.com/amp/articles/ASP7D5VWSP79UTFK027.html?amp_js_v=a6&_gsa=1&usqp=mq331AQKKAFQArABIIACAw%3D%3D#aoh=16265703877472&referrer=https%3A%2F%2Fwww.google.com&_tf=%E3%82%BD%E3%83%BC%E3%82%B9%3A%20%251%24s&share=https%3A%2F%2Fwww.asahi.com%2Farticles%2FASP7D5VWSP79UTFK027.html

しかし、刀も持たず丸腰で騎乗する武士などいるはずもなく、また、韓国の人々にとって日本の武者姿はまさしく豊臣秀吉が凶行した壬申倭乱(文禄・慶長の役)を想起させる忌々しいものである。

参考

【文禄・慶長の役】
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E6%96%87%E7%A6%84%E3%83%BB%E6%85%B6%E9%95%B7%E3%81%AE%E5%BD%B9

まさに、近隣諸国に対する何の配慮もない。

その上で日本は韓国のオリンピック選手団が選手村に入り「抗日の英雄」とされる将軍・李舜臣の言葉をアレンジした「臣にはまだ5000万国民の応援と支持が残っています」という内容の横断幕をベランダに掲げただけで、「反日的」だと問題視し、抗議行動まで展開される始末。

参考

「韓国選手団の選手村横断幕 、何がダメ?大韓体育会『代表チーム応援する純粋な意図が歪曲され残念』」
https://news.yahoo.co.jp/byline/kimmyungwook/20210717-00248308/

憲さんから言わせれば李舜臣の方が楠木正成より何百倍もカッコいい生き様ではないか!

参考

【李舜臣】
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%8E%E8%88%9C%E8%87%A3

ソウル市内光化門広場の李舜臣像の何とカッコいいこと!

まさに威風堂々としている!

参考

【忠武公李舜臣像】
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E5%BF%A0%E6%AD%A6%E5%85%AC%E6%9D%8E%E8%88%9C%E8%87%A3%E5%83%8F_(%E5%85%89%E5%8C%96%E9%96%80%E5%BA%83%E5%A0%B4)

そもそも、「政治をオリンピックに持ち込むな」とか言うが、オリンピックそのものが政治的であり、政治そのものではないか!

欺瞞も甚だしい!

国威発揚のための運動会など必要ないのだ!

(´Д`)=*ハァ〜

話が逸れた。

結論を言う。

「楠木正成の亡霊を呼び起こしてはいけない。」

そして、皇居前広場の楠木正成像は民衆の手によって引き倒され、江戸城跡(皇居)は人民広場として私たちに解放されねばならないのだ。

(´Д`)=*ハァ〜

どーよっ!

どーなのよっ
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