いま放送中の朝ドラ『おかえりモネ』はヒロインが気象予報士を目指しているそうです。そういえば、2002年の『まんてん』のヒロインも気象予報士でした。
宮地真緒が演じるこちらのヒロインは、奄美大島のロケットの打ち上げを見て感激したあまり、なぜか発射場に乱入し、当然のごとく係員に取り押さえられます。
その騒動を聞きつけて、去りかけた毛利衛さん(本人)が戻ってくるのですが、このシーンがジョン・ウーばりのスローモーション&足元アップでなんか香港映画みたいでした。
自分の中に沸き上がった宇宙への憧れを語るヒロインに、「きみもきっと宇宙に行けるよ」と無責任に太鼓判を押す毛利さん(本人)。
いやいや、宇宙飛行士かよ、気象予報士じゃないのかよ、という指摘が入るところですけど、気象予報士も兼ねて最終的には宇宙から大気の状況を観測して気象の分析をするようになります。
別に衛星からの画像でいいじゃないという気もしますが、ドラマの中では「いや、実際に見ることにも意味はある」で押し通します。もちろん、意味がないとは言い切れませんが、はやぶさ以降の宇宙開発のトレンドからすると、それにしたって実際に人を打ち上げるのはコストがかかりすぎじゃないかということになりそうなところ、そこについてはまだあまりシビアでない大らかな時代でした。
ちなみに、宇宙方面でのヒロインの導き手は毛利さんで、気象方面での指南役は大杉漣でした(合掌)。伝説の気象予報士だったけど退職して、ヒロインと出会った時には中華料理店の店員としてその過去は封じていたと思います、たしか。今にして思えば、なんでそんなことを秘密にするのか、意味がわかりませんが。
毛利さんはその後もちょこちょこドラマに再登場しましたけど、そのシーンはいずれも必見でした。毛利さんはとにかく宇宙飛行士としての属性が前面に出てくるので、そういう部分はあまり留意されてないのですが、実はすごく滑舌が悪くて台詞がカミカミなのです。
画面に毛利さんが登場し、どうやら次はいよいよ毛利さんの台詞だという段になると、テレビを観ているこちらの緊張も一挙に高まります。カメラの横のカンペを凝視しながら台詞を読み上げる毛利さん。手を握りしめ、息を殺しながらそれに聴き入る視聴者。そして、ようやく無事に毛利さんの台詞が終わると(すでになにをもって無事とするのか、その基準は見失われていますが)、こちらもほっと胸を撫でおろすのでした。
その間、完全にドラマの進行は停止しています。まさに番組は毛利衛劇場、毛利衛・オン・ステージなのでした。幼稚園のお遊戯会でわが子の台詞を見守る親の気持ちというのは、ああいうものかもしれません。
今作も宇宙に行っちゃうんでしょうか。光速移動により、地球上の時間では数十万年が経過し、すでに人類も死滅した後の地表に降り立ったヒロインが、「おかえりモネ」のメッセージを見つけるというエンディングが思い浮かびましたが、ちょっと違うかもしれません。
ログインしてコメントを確認・投稿する