岡山県では未だに緊急事態宣言が出ていて、他の市内から岡山市内、倉敷市内にはあまり行かない方が良いのだが、どうも数ヶ月程市内の丸善に行けていないのが不満でこっそりと、久々に市内まで行ってきた。
……まぁ、県内の新規感染者は減っているからね、数ヶ月行けていないから……。
「捧げ銃 南部麒次郎自傳」
本棚見ていて久々に変な声が出た(笑)
まさかの南部中将のしかも自伝という、どっかで結構臭みのある人物であったかの様に書かれていたが……何処だったかな??
というワケで本棚を探ってみたら兵藤二十八という人の「近代未満の軍人達」という本で紹介されていたのを発見した。
筆者は本職がよくわからん人で、軍事に一家言ある人のようだが、本書も概ね……主観が七割、視野の狭い人かな……という微妙な内容であった。
ただそれでも南部中将を取り扱っているのを私がしつこく覚えていたのである。
それでここで自伝の事に触れられているのだが、結局、評価の力点がどこにあるかよくわからなかった、ぶっちゃけると褒めても貶してもない。
ただ軍事に一家言あるというのが、南部自身の兵器開発について機関銃の銃架が最も優れていた、という評価の辺りだけは説得力があった。
取り敢えず、ある種の成功者の自伝なので臭みがあるのは当然だろうし、政治的には無色透明の人だという印象だからナァ……まぁ、暇な時にでも目を通しておこうかと思う。
「二・二六事件を読み直す」 堀正清・著
普通こういう題名の本は読まない主義なのだが、著者はちゃんとした政治史家のようなので興味本位で購入してみた。
それに久々の226事件関係の新刊なのでゆっくり読み進めるかな……と云った処か。
「近代日本の右翼思想」 片山杜秀・著
最近、ちょくちょく出てくる片山氏の著書なのだが、実は新刊ではなく、10年くらい前の本らしい。
もしかしたら以前から本棚にあったのかも知れないが、著者に興味が無ければこんなモノである。
ちなみに10年前の本なので、最近の著者近影よりも随分若くて……笑える(失礼
「官僚制の思想史」 中野目徹・編
最近読んだ本に出典として表記があった気がするのを見て、題名で買った本である。 編集、とあるように複数研究者の論文を集めたモノで、比較的若い研究者の論文なので興味深くある。
「戦後日本記憶の力学」 福間良明・著
歴史社会史・メディア史を専門としている学者さんなのだが、過去に「226事件の幻影」という本を書いており、それが結構面白かったので名前を覚えていたのである。
その人の本で何となく似たような匂いを感じたので勢いで買ってみた……という事で、いつもの自分の興味とは違う時代時期なので楽しめるかは判らないのだが、さて。
とまぁ、こんな感じで最近読了したのが……
「昭和陸軍と政治」 高杉洋平・著
結論から謂えば、面白い内容だった。
ただ、自家出典が多くて評価が仕切れない感じか……ただ筒井教授系列の人みたいで、昭和史講義に宇垣について文章を寄せていたようだし、宇垣を通じて陸軍と政治をテーマで本を書いているようなので、そっちを探してみたいと思っている。
それで論点は、統帥権独立の再評価、或いは再定義とでも云うべき試みで、過去の歴史研究ではこの権能が陸軍の政治的無謬性を担保したと考えられているが、本当にそうなのか、明治期の元勲は屡々、優れた評価を受けるがその末裔足る昭和期の軍人は不肖の存在であった等々。
本書では、陸軍の政治能力の限界を示唆しており、屡々軍事独裁であったかのように云われる東条政権下に於ける翼賛政治体制についても、不完全ではあるが政党のような議員集団は機能しており、独裁とはほど遠かった事を主張している。
あと、面白かったのが永田について、これは実名を出していたのだが、森靖夫氏の永田研究について批判を呉れている。
森氏の著書はミネルヴァの人物叢書は持っているが内容はあまり覚えていないが、今回の論点となっている、永田が陸軍大臣文官制に賛成していた、というモノで根拠が薄い、という話しであった。
僕も永田が他の陸軍軍人の中でも進歩的であったという意見には賛成であるが、陸軍軍人としての本質から外れた人物ではなかったと思っている。
いずれにせよ、永田はその経歴と死亡のタイミングの関係でどうしても過大評価される傾向があるので、その取り扱いには眉に唾を付ける必要があると感じている。
最近の研究はこういった感じで、過去の通説を通説を、資料を揃えて評価しなおす動きが活発であるように思えるので新著が楽しくもある。
今後とも期待である。
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