mixiユーザー(id:4535387)
2021年05月13日02:56
319 view
憲さんの歴史的大発見！江戸時代、日米安全保障条約は存在した！『安政の日米安保条約』！��
憲さんは東京都新宿区箪笥町(たんすちょう・正式にはたんすまち)で生まれ、以前の本籍地はそこにあった。
そして、あまり記憶にはないが三歳まで、そこで暮らしていたようである。
かの地には、まだ母方の伯母が住んでおり子供のころはよく遊びに行ったものである。
この、新宿区の神楽坂・牛込界隈は我が町「葛西」のように地名統合されることなく古くからの地名が奇跡的に残っている都内でも数少ない土地柄である。
憲さんの元本籍地「箪笥町」もその語源は、引き出しのある「タンス」を思い浮かべるが、この箪笥町の「箪笥」は、"家具"ではなく"武器"に関係するものだそうだ。
江戸時代、この箪笥町の辺りには、幕府の武器をつかさどる具足奉行・弓矢鑓奉行組同心の拝領屋敷があり、当時、幕府の武器を総称して「箪笥」と呼んだことから、正徳３年（1713年）町奉行支配となった際、牛込御箪笥町となり、その後「牛込」がとれ現在の箪笥町という町名に至ったのだそうだ。
参照
↓
【箪笥町】
https:/
その、箪笥町から歩いて数分のところに「市谷山伏町」(いちがややまぶしちょう)がある。
この地の名称の由来は江戸時代、山伏がこのあたり一帯に住んでいたからという。
参考
↓
【山伏町】
https:/
本当か？
山伏とは山に住むから「山伏」ではないのか？と疑問に思う。
参考
↓
【山伏】
https:/
実はこの市谷山伏町には江戸時代の儒学者・林羅山(らざん)代々の林氏の墓所がある。林家（りんけ）は林羅山を祖とする日本の儒学者・朱子学者の家系であり、３代・林鳳岡(ほうこう)以降「大学頭(だいがくのかみ)」に任じられ、昌平黌(しょうへいこう)をおこし、幕府の教学たる正当朱子学の宗家として代々続いてきた家柄である。
すなわち、徳川政権御用達のバリバリの「御用学者」の家系なのだ。
というより、「御用学者」とは文字通り林家に当てはまる称号なのである。
そして、この市谷山伏町には元禄11年より、林家の別邸があったのだが、その屋敷の一角に一族の墓所を造り、林家の人々は歴代当主をはじめその家族も亡くなるとこの地に葬られることになったそうだ。
明治になってからも引き続き林家の管理下にあったが、大正15年に国史跡の指定を受け、昭和50年に新宿区が林家より墓地を買い取り、史跡として整備することになり今に至っている。
参考
↓
【林氏の墓】
http://
実はこの墓地は儒教式の珍しい墓地であり、お墓マニアの憲さんとしては一度見学したいのであるが、年に２日しか一般に公開されておらず、今までそれはかなっていない。
今回はこの林家についての話である。
憲さん、歴史が好きなのだがこの林羅山を祖とする林家にはあまり好印象を持っていなかった。
というのも、やはり世襲の「御用学者」というイメージが拭えなかったからである。
さらに、この日本における朱子学者の系列は藤原惺窩(せいか)にはじまり、その学統は室鳩巣(むろきゅうそう)に連なるのものであるが、憲さんこの室鳩巣が大嫌いである。
赤穂浪士の処遇についての室鳩巣の意見も含めて、まともな学者とは思えないのだ。
それはまた後日述べるとする。
また林羅山も、以前憲さんが随筆に書いた「方広寺の鐘銘問題」の黒幕の一人であり、その主張は正しいかもしれないが、かなり粘着質である。
参考
↓
「憲さん随筆アーカイブス ifの日本史 方広寺鐘銘問題は徳川家康のインネンか？」
https:/
【方広寺鐘銘事件内 林羅山の見解と清韓の弁明参照】
https:/
そして、この林家の八代目が林述斎(じゅっさい)である。
実はこの述斎は養子である。
彼の先代林錦峯(きんぽう)は27歳で死去したが、子がなかったため、ここに林羅山から続く血統的家系は断絶した。
そして、林家は将軍徳川家斉の命により美濃国岩村藩主松平乗薀の三男・乗衡が林家8代となり、林述斎（じゅっさい）と称して林家が再興されたのだ。
この述斎という御仁は精力絶倫の子沢山で、息子の一人に「蛮社の獄」で有名な鳥居耀蔵（ようぞう）がいる。
ということで、あの悪名高い“蝮（マムシ）の耀蔵”の実の親となればそれはそれはとんでもない家系なのだろうと勘ぐってしまうのだ。
参考
↓
【鳥居耀蔵】
https:/
で、今回の主人公はこの鳥居耀蔵ではない。その弟の林復斎(ふくさい)である。
先日、松平忠固(ただかた)について憲さん随筆を書いて日米修好通商条約は不平等条約ではなかったと熱く語った。
今回はその条約から遡ること４年前、ペリーが浦賀に来航して翌年1854年に結ばれた日米和親条約についてである。
前出の「松平忠固」本に参考図書として挙げられていた加藤祐三著『幕末外交と開国』という本を図書館で借りて読んだ。
この著者について「松平忠固本」の著者関良基氏がこのように書いていた。
「歴史学者の加藤祐三は、アヘン戦争で負けて不平等条約を結ばされた中国を『敗戦条約国』、それに対して交渉によって通商条約を結んだ日本を『交渉条約国』と呼び、日本が結んだ条約は『不平等条約』ではないと早くから論じてきた。」
Σ(￣□￣;)ハッ！
関氏は歴史に対する造詣が大変深いが歴史の専門家ではない。
しかし、この加藤祐三氏は東大の東洋史学専攻博士課程で学びその後横浜市立大学や都留文科大学の学長を歴任したバリバリの歴史家である。
参考
↓
【加藤祐三】
https:/
そして、この人もその著作の最後でこう言っている。
以下、本書引用。
日本の開国を決めた日米和親条約は、たしかに最恵国待遇をアメリカだけに付与する片務性があること、条約に期限がないなど、幾つかの面で不平等な内容が残る。しかし交渉条約により、日本は国際社会へのソフトランディングに成功したのである。幕末維新の政治過程は、これを前提として進む。
(中略)
ところが日本人はこの画期を正しく理解せず、それから150年の時間が経過した。幾つかの原因があろう。歴史の一国主義的理解が世界史の理解を歪めたことも、またペリーの行動や片言隻句を針小棒大に誤解・歪曲したり、歴史学が当然に踏むべき資料の収集・批判を軽視してきたこともある。150年後の現在、あらためて正しい歴史認識の重要性を痛感する。
以上、引用終わり。
ここであるっ！
憲さんが言いたいのは！
まさに、薩長の連中が作り上げてきた「勝てば官軍」の傲慢極まりない「明治維新史観」により現在の保守、革新双方がどれだけ間違った「歴史修正主義」的「史観」を垂れ流してきたか！
しかし、それはこの先生も言うとおり、憲さん言わせれば「意図的」に「資料の収集・批判を軽視してきたこと」に起因するのである！
そして、それから150年経過した現在もその呪縛から逃れられないでいるのだ！
しかーしっ！その間違った歴史認識を疑問視する声も日増しに高まっている。
そして、それを学問的に裏付けてくれるのが加藤先生であり、関先生なのだ！
頼もしい限りである！
この著作の概要はこのブログに詳しいので参考にされたし。
↓
https:/
できれば、通読されることをお勧めする。
おっと！
話が少し飛んでしまった。
今日、話すのはその本の中に書かれた、日米和親条約の締結過程の日米の交渉についてである。
日米交渉と言うと、先にも述べた「日米修好通商条約」でのアメリカ側全権ハリスと日本側全権下田奉行井上清直と目付岩瀬忠震(いわせただなり)のスリリングな交渉過程が思い浮かぶ。
ちなみに、憲さんはこの岩瀬忠震は歴史上好きな人物なのだが、この随筆を書くために調べていてはじめて知ったのだが、この岩瀬も実は林家の血筋であった。
参考
↓
【岩瀬忠震】
https:/
岩瀬は前出林家八代目林述斎の外孫であり、今回の主人公林復斎とは叔父、甥の関係にあたる。
かように、林家は代々優秀な人材の外交官を排出しているのだ。
で、今回のテーマはその林復斎が日本側全権で、アメリカ側全権がペリーの「日米和親条約」いわゆる神奈川条約の交渉過程についてである。
これについて、歴史の教科書では�〔鞠修碧詆椶�、��強大なアメリカの軍事的圧力に屈し、�６肪爾壁塋薪�条約を結んだ。といった三段論法で語られる。
そして、その「無能な幕府」の代表＝全権がこの林大学頭(だいがくのかみ)、林復斎なのだ。
では、彼が本当に無能だったのか検証してみる。
幕末の日米交渉については日本側、アメリカ側双方に多くの資料が残されており、加藤先生はそれを逐一「収集・批判・検討」してくれて、さらには現代語でそのやり取りをリアルに本書で再現してくれている。
今回はペリーと日本側全権林復斎のそのやり取りをここで再現する。
ちなみに、、ペリーの交渉と言えば一昔前に流行ったこのフラッシュが思い出される。
このフラッシュは衝撃的かつ大爆笑だったが、まさか本当にこんな交渉だったと信じている人はいるまい！
(´艸`)くすくす
これね！
↓
https:/
では、実際はどうだったのか？
以下、再現する。
1853年(嘉永６年)7月8日(陽暦、以下同じ)、アメリカ東インド艦隊司令長官マシュー・ペリー率いる4隻の蒸気船が、アメリカ大統領フィルモアの親書を携えて浦賀にやって来た。
そして、来航６日後の７月14日浦賀奉行所与力中島三郎助ら日本側がペリー一向を艦隊まで迎えに行き、久里浜に上陸させ日本側はペリーが持参したフィルモア大統領の国書を受理した。
幕府にとって今まで国交のない国からの国書受理ははじめてだが、幕閣の最高責任者、老中阿部正弘(当時34歳)は、受理は拒否できないと決断したのである。
賢明な判断である。
フィルモアの国書の中身であるアメリカの要求とは次の3つ。
�‘�本に漂着した漂流民の保護
��外国船への食料及び燃料の供給
��アメリカとの交易
これは実質的な開国の要求に他ならないが、アメリカとしては捕鯨に必要な大量の燃料や食料の補給のための寄港地が必要だったのである。
ペリーは幕府に対し回答の期限を翌年5月とし国書を渡した４日後の７月18日に離日した。
幕府はそのアメリカの国書に対する回答を考えなければならなず、さらに、その交渉のネゴシエーター(交渉人)を選任しなければならなかった。
そして幕府がこの困難な交渉の全権に選んだのが昌平坂学問所の塾頭である林大学頭林復斎であった。
この頃の林家は朱子学の正統的イデオロギーの保持者から脱皮し、朝鮮通信使の対応など対外関係の処理と、官吏要請が主務であった。
則ち、当時細々と行われてきた外交の矢面にたつ幕府の外交官だったのである。
よって、これは順当な人事でもあったのだ。
そして、この林復斎は交渉の最前線に立ち、弱腰外交とはとても呼べないようなタフな交渉をペリーとの間に繰り広げるのである。
翌年1854年(安政元年)2月8日、真冬の厳冬期、ペリーは予定より3ヶ月も早く再度日本を訪れた。前年4隻だった船は7隻に増やし、横浜小柴沖に停泊した。
参考
↓
【小柴沖】
https:/
ペリー再来の４日後2月12日、老中阿部正弘から林大学頭林復斎、町奉行・井戸対馬守、目付・鵜殿民部少輔、儒者・松崎満太郎の四名に江戸城芙蓉の間において羽織が渡された。
条約交渉の「応接掛」への正式な任命である。
このとき、林復斎53歳。今の憲さんとほぼ同じ歳。
学者として脂が乗りきっている時期である。
対するペリー59歳である。
二人とも国を背負っての交渉である。
かたや、新興して77年の若い国アメリカ、かたや歴史は古いが国際社会から遠ざかって久い極東の島国日本。
しかし、交渉は真剣勝負である。
２月16日晩に四人は浦賀に着いている。
まずは、どこで交渉するかですったもんだした。
日本側は浦賀の館浦に応接所を建てたが、ペリー一向は「欧米では、元首の使節は首都でもてなすのが常識である」と、勝手に来たにも関わらず言いたい放題である。
これに対して日本側は「艦隊が江戸へ行くことは我が国法に違反する」と頑なに拒否、ペリー側は浦賀の応接所を検分したが、「狭すぎる！」とワガママ言い放題！そして納得せず、日本側は久里浜を提示したが、「地勢が悪い！」とし、「いずれは江戸へ行く。だが、神奈川あたりはよい場所と見受ける。その辺りでどう？」と妥協案を出してきた。
この間も、ペリー艦隊の７隻は、大師河原(川崎)から羽田沖の首都近くまで侵入している。
ペリーはこれをして明け透けに「脅しを実行に移すことにした」と書いている。
２月22日は初代アメリカ大統領のワシントンの誕生日である。
アメリカ側は日本に事前に祝砲を打つ旨申し入れをした上、22日当日通告通り祝砲が鳴り響いたが、空砲とはいえ、これも砲艦外交の一形態であった。
２月25日、林大学頭に江戸から「神奈川宿で応接してよい」の書状が届き、ここに横浜応接が決定した。
だが、実際は東海道の宿場があった神奈川宿ではなく、そこから少し離れた当時は寒村の戸数わずか90ほどの横浜村(現在の横浜市関内地区)としたのである。
そして、ペリーはこの提案を受け入れた。
そして、検分の日を２月29日(この年は陽暦で閏年ではないのだが…本書記載のまま)としたが、応接所の普請に手間取り、検分は延期となり、そしてその日には帆船サラトガ号が到着しペリー艦隊は８隻となった。
３月５日ペリーは遅々とした条約交渉の遅れに苛立っており、更なる脅し文句を日本側に投げる。
「条約の締結が受け入れられない場合、戦争になるかもしれない。当方は近海に50隻の軍艦を待たせてあり、カリフォルニアにはさらに50隻を用意しており、これら100隻は２０日間で到着する」と。
ペリーの大法螺(ホラ)の脅し文句であった。
当時アメリカ海軍は併せても合計100隻の艦船は持ってはいなかったのだ。
この辺はペリーの人間としての底の浅さが良くわかる。
彼の言動は歴史の検証の前には耐えられないのである。
横浜応接所は３月６日に完成した。
３月８日、横浜応接の日を迎えた。午前11時半、ペリー一行は横浜村に上陸した。日本側の記録では総数446人であった。
ペリーにとっては前年の夏の久里浜以来2度目の日本上陸であった。
仮設の大広間に通されたのはその内の約30名。
アメリカ側はここを「条約館」と呼んだ。
このとき、初めてペリーと林大学頭は対面した。
ペリーはまたもって祝砲を打ちたいと述べ徳川家に21発、応接掛に19発の祝砲を轟かせた。
以下、林大学頭が認(したた)めた「墨夷(ぼくい)応接録」とペリーの交渉経緯を表すノートにより記されたペリーと林大学頭の交渉は以下のようなものであった。
林「昨年夏の貴国大統領書簡で要望されたもののうち、薪水食料と石炭の供与は差し支えない。また、漂流民救助の件も我が国法にあるとおりである。以上の二件は了承するが、交易(貿易)等の件は承諾しかねる。」
と、林は交渉内容の�，鉢△呂垢鵑覆�OKし��ついては拒否したのである。
すると、ペリーはこれには答えずまずは別件を切り出した。
ペリー「我がミシシッピー号の乗員が一人病死した。海軍の慣例では、その地で当方の自由に埋葬するが、貴国には厳しい国法があるようなので伺いたい。地形などから考えて夏島(金沢にある後に伊藤博文の別荘が建った島)」をと思うが、ご承諾願いたい。」
参考
↓
【夏島】
https:/
林「はるばる来られた上の病死、不憫に思う。軽輩とはいえ人命に軽重はない。日本では寺に葬るのが常であり、いずれかの国の人であっても(夏島のような)無人の地に葬るのは不憫である。浦賀の灯明台の下はいかがか」
極めて人道的な、対応である。
ペリー「ここから浦賀に送るのは不都合で手間取る。今回の協議により、どこかの港にアメリカ人の滞在が可能となるはず、その都度浦賀まで行くのは大変である。」と、ペリーはもう横浜を開港させる気満々である。
林「浦賀には外国船は入れないので、墓参が必要になれば、そのときに改葬されてはどうか」
と、極めて現実的な対応。
ペリー「ありがたきご配慮、都合により改葬するのも良い。なにとぞお願いする。」
ここで、ペリーは話題を変える。
ペリー「我が国は以前から人命尊重を第一として政策を進めてきた。自国民はもとより国交のない国の漂流民でも救助し手厚く扱ってきた。しかしながら貴国は人命を尊重せず、日本近海で難破船を救助せず、海岸近くによると発砲し､また日本へ漂着した外国人を罪人同様に扱い、投獄する。日本国民を我が国人民が救助して送還しようにも受け取らない。自国人民をも見捨てるようにみえる。いかにも道義に反する行為である。」
確かに、そうであればペリーの言うとおりである。
事実、無二念打ち払い令のときはそうであった。
ペリーは続ける。
「我が国カリフォルニアは、太平洋を挟んで日本国と相対している。これから往来する船はいっそう増えるはずである。貴国の国政が今のままであっては困る。多くの人命にかかわることであり、放置できない。国政を改めないならば国力を尽くして戦争に及び、雌雄を決する準備を整えている。我が国は隣国のメキシコと戦争をし、国都まで攻め取った。事と次第によっては貴国も同じようなことになりかねない。」
完全な脅しである。
人命を盾に人殺しの戦争をはじめるというのだから、この時点でペリーの理論は完全に破綻していると言って良いであろう。
そもそも、ペリーも単に「脅し文句」でこういっているのであって本当に日本と戦争をやろうとは考えてはいなかったのである。
ちなみに、周りの役人はこれを聞いて青ざめたそうだが、林はこの恫喝にも応じなかったそうだ。
腹の据わった人間である。
林「戦争もあり得るかも知れぬ。しかし、貴官の言うことは事実に反する事が多い。伝聞の誤りにより、そのように思い込んでおられるようである。(中略)我が国の人命尊重は世界に誇るべきものがある。
この三百年(実際は約250年)に渡って太平の時代が続いたのも、人命尊重のためである。第二に、大洋で外国船の救助ができなかったのは、大船の建造を禁止してきたためである。第三に、他国の船が我が国近辺で難破した場合、必要な薪水食料に十分の手当てをしてきた。他国の船を救助しないというのは事実に反し、漂流民を罪人同様に扱うというのも誤りである。漂流民は手厚く保護し、長崎に護送、オランダカピタン(商館長)を通じて送還している。」
まさに、堂々とした反論である。
事実、1824年に起こった大津浜事件でも、英国船数隻が水戸藩領常陸大津浜沖に姿を見せ、12人の英国人が水戸の浜に上陸し、付家老中山備前守の役人に捕らえられたが、尋問の後船内に壊血病者がいるために新鮮な野菜や水を補給するために上陸したことがわかり、これらを与えて船員を船に帰している。
参考
↓
【大津浜事件】
https:/
極めて人道的な措置である。
そして、この事件などを受けてできた「異国船無二念打払令」だが、この法度はペリー来航の11年前に廃止され、この交渉当時は「薪水給与令」という燃料や水の補給を認める法度が施行されていた。
また、漂流民を罪人扱いしたというのは漂着したアメリカの捕鯨船ラゴダ号事件のことだが、これに対しても林は冷静にペリーの認識の誤りを指摘している。
参考
↓
【ラゴダ号事件】
http://
以下、ラゴダ号事件の顛末
「漂流民の年齢構成は20歳台前半の漁夫達が多く度重なる暴走の為に入牢となったが、牢に
繋がれた事実だけが一人歩きをして、日本は漂流民を虐待していると評判になったものと思われる。
松前での漂流民保護から長崎で米艦プレブル号に引渡す迄約11カ月、脱走を繰返すために次第に拘束が厳しくなったが、松前藩初め幕府関係者は彼等を安全に帰国させるべく食事の提供を含め相応に取扱っている。」
林「貴国民の場合も、すでに措置を講じて送還済みである。不善の者が国法を犯した場合はしばらく拘留し、送還後にその国で処置するようにしている。貴官が我が国の現状を良く考えれば疑念も氷解する。積年の遺恨もなく、戦争に及ぶ理由もない。とくと考えられたい」
まさに、年長のペリーを上からたしなめているのである。
林復斎、圧巻！
しばらく考えてペリーが答えた。
「薪水食料と他国船の救助をなされるとのこと、よくわかった。我が国の船が貴国海浜に至り、薪水を得られず困ったことがあった(異国船無二念打払令の時期)が、国政を現在のように改めたとのこと、今後も薪水食料石炭の供与と難破船救助を堅持されるならば結構である。」
このように、ペリーは自説を取り下げた。林が冷静にペリーを論破したことにより、ペリーの「戦争」に訴える脅しは通用しなかったのである。
林復斎天晴れである！
そしてここからの交渉も完全に林大学頭のペースにより進められるのである。
(続く)
※画像は我らが東インド連合艦隊司令長官マシュー・ペリー
0
0
ログインしてコメントを確認・投稿する